第34話 国家転覆初日
「今こそ国家転覆を実行するときですわ!」
国王からの手紙を無視していると、屋敷にアナスタシア王女が現れて今から国家転覆することになった。
「我々もついていきますぞ」
異種族たちはバニラ率いるブラッドウルフを中心に王都に一緒に行こうとした。しかし、中には戦闘に向いていない種族もいる。
「争いに巻き込まれたくない奴らはここで待ってていいんだぞ」
戦闘に向いてない種族が無理する必要もないだろう。正直俺も行きたくない。
俺がそう声をかけると半分ぐらいの異種族が屋敷の周りにとどまることになった。
異種族、騎士団、魔術師団で構成された王女反乱軍は王女の号令のもと、怒涛の勢いで王都を目指した。
ちなみに俺は巻き添えを食らうのが怖いので、バニラの背に乗りながら騎士団の兵士たちにしっかり周りを護衛されながらついていった。
王都には東西南北に門があるのだが、北門が正門になっておりゲイブランド軍はそこから重点的に攻めているようだ。
「まずは父上を王位から引きずり下ろす方が先です。迂回して東門から城内を目指します!」
王女反乱軍は東門から王都に着くや、ゲイブランド軍の魔人たちを時には切り伏せ、時には魔術で無力化し王都の内部に侵入した。
王都内の兵士やゲイブランド軍は第三勢力である王女反乱軍を前に虚を突かれて総崩れとなった。
王都は火の手が上がり荒れている状況で魔人軍、住民、王都の護衛兵で大混乱になっている。そこへ王女率いる反乱軍が異種族とともに乱入したので混迷を極めた。
「あれは噂に聞いた真の勇者じゃないか!?本当に王都を救いに来たんだ!」
住民は俺の姿を見るとなぜか口々に驚いて喜び始めた。真の勇者ってなんだ?俺は反乱軍にただ付き添いでついてきてるだけなんだけど。
そんな不思議なこともありつつ、反乱軍は勢いそのまま城内になだれ込んだ。城内の玉座の間では国王と宰相バルタス、第一王子のベルクが数人の近衛兵に厳重に囲まれていた。
「な、なんだ貴様らは!ゲイブランドの手先か!」
セデリア国王は動揺して俺が引き連れてきた異種族たちに敵意を向ける。
「父上、アナスタシアです。今すぐ私に王位をお譲りください。父上やバルタスが指揮をとってもこのままでは王都が陥落するのは明白でしょう?」
アナスタシア王女は近衛兵を押しのけ諭したが、セデリア国王は苦虫を噛み潰した表情をしており、どうすればいいか分からない様子だった。
「陛下、なりませんぞ。このような訳の分からない者たちに国を守れるわけがない。その上この混迷の中でアナスタシア殿下に王位を譲るなどもっての他!」
割り込んできたのは宰相バルタス。国民からは国王よりも憎まれている男だ。
バルタスの背にはあどけない少年が隠れており不安そうに成り行きを見守っている。この少年が第一王子のベルクなのだろう。
国王は宰相バルタスとアナスタシアの狭間で呻き声をあげ、悩み続けていた。
「かくなる上は!」
そんな様子を見ていたバルタスは何を思ったか、懐から小刀を出しベルクの首にかけた。
「失せろ悪党共。それ以上近づくとベルク第一王子に傷がつくぞ」
「バルタス!何をやっている!」
国王はバルタスの思いもよらない行動に慌てふためいている。
「うるさい!もうアンタのような年寄りの相手も、このクソガキのお守りもたくさんなんだよ。アンタとこのガキを殺し、私が実権を握ってこの国を再興してみせる!」
バルタスはそう言うと小刀を国王に向けて徐々に近づく。周りの近衛兵はしどろもどろになり固まっていた。国王とアナスタシアもその予想外の行動に一歩も動けない。
その時、隣にいつの間にかクラリスが立っていた。見ると剣を握り、鬼気迫る顔をしている。何か嫌な予感がした。
大丈夫かと声をかけようとしたが、次の瞬間クラリスは即座にバルタスの懐に潜り込み剣を一閃した。
剣は炎を纏い、バルタスの首元を焼き斬った。バルタスの悲鳴より先に、その首が玉座の間にゴトリと落ちる。
「これで邪魔者は消えました。陛下、ご決断を」
クラリスは剣を鞘に収め、何事もなかったかのように判断を促す。その凛とした声は静まり返った玉座の間によく響き渡った。
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