骨を気難しい角度で考える。
骨を気難しい角度で考える。
そうか、だめか、このままでは、これはやってしまう、こき、といってしまう、一本。どう考えたって、足を踏み出す角度を間違えた。このままでは足が地面に着いた瞬間、足の骨が可動範囲外へ大胆にねじれ―――前略、骨が終わる。という場面に、襲われたとする。それは一瞬の中に凝縮された破滅と切なさの物語であり、そして、この一瞬の中で、これまでの己の生き様で培って来たのすべてが試されることになる。で、ああ、このままでは、だめだ、ここまま足を踏みだせば終わる。そうだ、このままではいけない、これのままの自分ではいけない、などという方向へ考えたとする。さらに一方では、ああ、いやいや、でもさ、もしかたら、これって案外、いけるのではないか、このままの自分でも、という、急速な楽観主義の登場もありうる。だって、ほら、そうじゃないか、いままでだって、これまでだって、そうだったろ、この足の、この骨でやってきたじゃないか。なあ、おまえと、ずっと、やってきたじゃないか。過去にだって、もう、だめだ、おしまいだ、というときはあった。それでもなんとかクリアしてきたじゃないか、ともにやってきたじゃないか。なあ、そうだろ、足、足の骨よ、おまえは、そんなやわじゃないはずだ。まだまだ、いけるさ。
と。
それでも、骨折。
となったとき、おい、おまえ、裏切ったのか。いつも、一緒だったのに。信じていたのに。過信していたのに。
ああ、もうおまえとは、だめだなのか。
と、そんなふうに、心も折れないように、わたしは生きていきたい。
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