薔薇色を宿敵で考える。
薔薇色を宿敵で考える。
いいかい、これが薔薇色だよ、と、その絵の具を指差して言わたとする、しかし、おのれの主観で丹念に、かつ、わがままに、あとその日に気分とか、空腹具合とか、心待ちにしている玩具の発売日が近づいている高揚感などあるような心境で観察したところ、その絵の具の色は、ただの赤にしか見えない。ポストの赤、りんごの赤、赤信号の赤、それらの赤と同色とした思えない。そうなると、では、薔薇色と赤色を別つものはなにか、と考えざるを得くなる。むろん、この世にはたとえ血眼で考えても答えが出ないことは多々ある。血眼になったら眼科に行く必要もある。それでもなお、考えてしまう、考えることを手放せない、放棄できない。この世界にとって、薔薇色とは如何に。と考え、考えに考え過ぎて、ついには夜、眠れなくなる。そうなると、睡眠不足となる。睡眠不足は、人生の敵である。
そう、つまり、敵は。
なるほど、そうか、ははーん、そういうことか、おそれいったぜ、睡眠不足め、おまえが本当の敵だったのか、やれやれ。あやういところだった、きさまのおかげで、人生が空転、および遠回りしそうだったぞ。だが、敵の正体さえつかめば、もうこちらのもの、終わりがみえた、これで終わりだ。さあ、かかってこい。おっとっと、へいへい、それとも、こちらからいこうか。いや、逃げても無駄だ、無駄無駄無駄さ、いいか、教えてやろう、もはや、人工衛星がきさまの位置を逐一捕捉しているのさ、だから、もしきさまが深海千メールを潜ったって、この惑星にいる限り、逃れらないぞ、むははは。
むは。
という、クオリティの低い夢をみてしまいかねない。いわば、突き詰めたところ、これが薔薇色の罠である。これをあやしげな方程式にあてはめてみると、罠こそが薔薇色ともいえる。でも、やがて、不意に知る日が来だろう。じつは、薔薇色をローズレッドと呼ぶことを。つまり、薔薇色とはローズとレッドの合流によって成立する色であると。
そして、重ねて気づく。ああ、しかも、絵の具のローズレッド色と赤色は、ぜんぜん、違う色だ。見たらわかるほどの色のちがいだ。
そう、本当の敵は、おのれの知識不足。
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