第17話 マイモン、ガッツリ

 まいどあり。と焼き芋を一つ。折った新聞紙に入れられた芋は熱くて触ると体中が温まりそうだった。麻居は焼き芋を受け取るとパカっと二つに割る。湯気が立ち上ると中は黄金色の芋が見えていた。マイマイは一口パクリ。

 「マイモン、旨いモン!」

 「旨いか?」

 「幸せマイモ」

 マイモンはとびっきりの笑顔を見せる。よかった。俺はこの顔が見たかったんだよ。しかしマイモンを見ると焼き芋はすでになくなっていた。

 「もう食べたの?マイモン」

 マイモンはうらやましそうに俺の焼き芋を見る。

 「もっと欲しいの?」

 しょうがなく半分だった芋をまた半分にしてマイモンに渡す。

 「ゆっくり食べるデン」

 「マイモーン!」

 そんなこんなで学校へ着いた。俺とマイマイは前後の席。俺が前で麻居が後ろ。

 「うおぉ〰︎!ガッツリ勉強していい大学へ入るマイ〰︎!」

 「おぉマイマイ。やる気満々だな」

 「やってやるマイ!デンデンも一緒の大学へ入ろ!」

 「そうだな」

 「マイ?」

 マイマイは小鳥の様に首を傾げる。

 「ずっと一緒にいたいデン!」

 俺の宣言に麻居はクスッと笑い、微笑む。

 「それってプロポーズでマイか〰︎?五十点マイよ〰︎?もっとロマンチックなときに言うマイ!」

 「デーン」

 「あっ!今、誤魔化したっ!私にプロポーズした後に恥ずかしくって、デンデンになって誤魔化した!ズルーい」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る