薄明に咲く

洗練された空虚なる世界で

悲しみの種を拾った


美しい色ではなかったが

手のひらで眺めると

心に響く色をしていた


風が憂鬱そうに

額をなでる朝


詩作の庭に

黒い種を蒔いた


6憶光年先の宇宙に

星の種を蒔くように


種は小さく嗚咽して

自分の涙で

青々と葉を伸ばし

透き通るように

白い花を咲かせた


まだ明けやらぬ

薄明の空は

薄いむらさき


花びらの雫が

空の色を映して

息をするように

揺れた


https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/16818792437063719434

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