(15)契約パンツの力!
久々に具現化して掲げたパンツの力は健在だった。
子供達の目が一瞬たりともパンツから離れない。
「パンツ!! パンツ!!」
「パ~ン~ツ~!!」
「ふぉおおおお……」
細かい事を言うと、全く外に出してなかった訳じゃ無いんだけどね。喚び出す度に洗濯して、使用済みだけどほぼ新品の自信が有る。
呼び戻す度に元に戻っているなら……いや、そんな事は考えたりもしない!
で、やっぱりパンツに有るまじき効果が有るんだよ。何だろね、これ?
僕自身のスキルが、限りなく出来る事の延長なのに対して、本で読んだの含めて契約武具の能力って、何て言うか魔法みたいな感じ?
レベルが上がると進化して形も変わるってところが、この上無くファンタジー。
本人はレベルが上がっても、知らない魔法が突然使えたりとかしないのに、契約武具はレベルが上がると、例えば盾だった物が切り離されて中を駆け回る投擲武具? になったりするらしいから、もう全然、何をどう計画して育成していけばいいのか分からない。
使用時間に応じて成長するのかなって思ってもね、普段遣い出来無くて、いざと言う時の緊急避難的な切り札! な契約武具も多いみたいだから、猶更、ね。
一説によると、込めた願いが契約武具の進化を促すなんて話も有って、案外それが正解かも知れないと思ってる。
そうなると、僕の契約武具に願いを込めたのは、天君の宮殿らしき場所から必死に脱出しようとしていた僕だ。
その願いを無かった事にするのはどう考えても勿体無いし、非効率的。
でも、逆に考えれば、あの時の状況を思い返せば僕の契約武具にどんな願いが込められているのかが分かる。
まずモニターだ。本来は、内部の演算結果を操作者に分かる様表示する為の機器だ。だけど記憶喪失の僕派は、記憶だけでは無く肉体も消失させる、怖ろしい光を放つ板だと認識していた。だからこそ究極の防具として盾や鎧に加工したんだ。
つまり、モニターは表示と怖ろしい光と破邪の防具がキーワードになる。
キーボードは本来操作者の指令を入力する為の機器だけど、記憶喪失の僕にとっては手頃な鈍器で、モニターと同じ怖ろしい光を秘めた聖剣だった。
聖剣と言いながら切る事は期待していなかったから、やっぱり怖ろしい力を秘めた鈍器で、入力機器がキーワードだと思う。
マウスには……余り期待していなかったね。精々頼り無い錘扱いで、役にも立った覚えが無い。
でも本来は入力を感覚的に補助する機器なんだから、きっとそれがキーワードなんだろう。
貫頭衣は割り切って
多分貫頭衣自身も自分を服と思っているから自動でサイズ調整とか出来たのだろうし、袋棍としての願いが残っていたとしても、来ている僕が頑丈になって、打撃が強くなるくらいでいいかなぁ。
ズボンも背負袋にしたけれど、やっぱりズボンなんだと思うよ。うん、背負袋の願い分は、着いてなかったポケットが出来て、見た目以上に物が入るみたいなそんな感じで一つ宜しく。
穿いてたパンツは流石にそれを脱ごうなんて頭にも浮かばなかったから、きっと何処かで最後の砦と思っていたんだろうね。僕はブリーフ型が好みなので、進化してブリーフ型に成ればいいと思うんだ。
使徒らしき人達の服になってた大布三枚は、多分服とは意識して無くて、何にでも成る万能道具として重宝していたから、そういう願いが込められていて欲しい。
いやー、夢が広がるなぁ。
不思議と一番役立ちそうなのに全く意識していなかったのが、三本のベルトとそれに付随するナイフと宝玉。元の持ち主の嗜好で違うのか、赤いナイフと宝玉のベルトは筋力や知力が上がって、黄色のだと精神や感覚が上がって、青いのは大体満遍無く上がってる。
三本のベルトが合体するか、或いは二本は腕輪に変化してくれるといい感じ。その場合、腰に赤で、左手は青の右手は黄色? かな?
多分使徒の銀髪も、その時の私に髪という意識は無くて、ばらばらの品を纏める為の紐の替わりだったと思う。
だからきっと、この銀髪には複数の契約武具を纏め上げる願いが籠もっていると信じたい。
と言っても、どうなればいいのかなんて分からないから、具体的には揃いの銀の装飾が入る感じかなぁ?
そして問題の二枚のパンツ。
あの時の僕は、これをパンツと認識して無かった。
目印になる手頃な布で、何も無い廊下に在るととても目立つ事が大事だった。
だから、込められている願いは目印として目立つ事。実際に私の端末にはマーカーとして登録されていたし、このパンツを具現化していると視界に無くても何処にパンツが在るのか何と無く分かる事からも確実だ。
そして僕はこの使用済みパンツをパンツとして穿くつもりは無い。つまり、完全にマーカーとしてのみ扱っても問題無い――んだけど……。
実はあの天君の宮殿でも、苛めっ子への対処で使った時にも、このパンツは僕自身から目を逸らさせて囮になってくれている。
パンツが持つ大事な物を隠すという役割がもしかして働いていたのだとすれば、パンツである事に相乗作用が働いていたのかも知れなくて、このマーカーをパンツで無くす事には少し躊躇してしまう。
うん。僕は馬鹿になると決めたんだ。
パンツでいいじゃ無いか! だってパンツなんだから!
「さぁ! 準備はいいかい? 修行に行くよ!!」
「おおー!!」
「パンツ~!!」
「おパンツー!!」
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