(9)魂力!
ラノベを読んで、web小説も読み漁って、古き良きファンタジーも嗜んでとしていれば、転生後の無双展開に憧れだって抱くだろう。
僕もそうで、僕TUEEEE! しようと思ったりもしたけれど、多くの小説を読み込んでいただけに、逆に一歩を踏み出す事が出来無くなっていた。
魔力枯渇で最大魔力量が増える作品も有るけれど、魔力枯渇が死なないまでも重篤な後遺症を抱える事になる作品も有る。
そもそも魔力を使って鍛えようというのがナンセンスで、人が一生の内に使える魔力量が決まってしまっている作品も有る。
魔力を体内でぐるぐる回して鍛錬する作品も有れば、生命維持に関わる魔力を動かす事で只々虚弱状態に陥ってしまうだけの作品も有る。
元より体内の魔力を使う魔術よりも、体外の魔力を使う魔法の方が威力も遣れる事も有って、体内魔力を鍛えるとそれが邪魔してしまうなんて作品も有る。
多くの作品で夢想している主人公は、小説やゲーム世界への転生で、その世界の仕様を既に知っていたからって言うのが大きいと思う。
或いはリスクに気付かず無謀な賭けに全ベットして、運良く賭けに勝っただけとか。
前世で最後はブラック企業に勤めていた僕には、もうそういう能天気な選択は出来なかったんだ。
そうなると、僕に出来るのは
いや、
這い這いは大人を追い抜く勢いで!
ごはんはお母さんが痛がるくらいに勢い良く!
うんちだってシュポンと音が響くくらいに!
当然眠る時は一瞬で!
その頃から、意識すれば自分のステータスが見えたけれど、今でもそれが普通の事かは分からない。
普通は三歳になる前にはステータスが見れる様になっているらしいから、要は自分のステータスを見ようと考えられるかが鍵なのかも知れない。
運が良かったのは、ここが日本からの転生勇者が造り上げた国だったからか、至る所に日本の文化が侵蝕していて、初めから何が書いているか分かった事かも知れないね。外国人は外国の言葉で書かれている様に見えるらしいし、そうなっていたらちょっと大変だったよ。
後で本を読める様になってから、元々のこの辺りの言葉も入り混じっているのが分かったけど、外来語の様に何食わぬ顔で入り込んでいたから、気にもならなかったんだ。
兎に角仕様が何も分からない世界で、一番の手掛かりになる自分自身のステータスだから、一歳を過ぎてクレヨンを手に入れた時には、何も考えずにステータスの数字を書き写してた。
転生ストリームで見たのとは、種類がずっと少なくて、何の参考にもならなかったんだけどね。
でも、それを見た両親が「
その時は拙いと焦ったけれど、結果的に僕はご本も沢山買って貰えたり、図書館にも連れて行って貰ったりして、この世界の事を深く知る事が出来る様になったんだ。
この時にはまだ端末を喚び出したりとかは出来ていないよ?
契約武具を喚び出すっていう事が良く分かってなかったし、もし知ったとしても一人になれる時間なんて無かったしね。
兎に角僕は本の虫になって、図書館に入り浸った。
それ以外の時間は姉と一緒にどろんこになって遊び回った。
魔力を感じたりは、まだ出来ているのか怪しくて、出来ると言ったら笑われそうなレベルでしか無かったよ。
というかね、このキョウの国が発展しているからかも知れないし、国を造った転生勇者がオタクかゲーマーだったりしたからか分からないけど、レベルアップの仕組みとか、スキルの獲得方法とか、結構解明されて広められていた。
魔力枯渇とか怖がる必要は無かったみたいだね。
でも、今も僕が普通に優秀な少年を続けているのは、それが一番効率的と考えたからなんだ。
他の国では不思議な力は全部魔力と一括りにされていたりするけれど、この国では色々と解明して細かく種類分けされている。
勿論今も正体不明の謎の力は有って、それは今も魔力と言われているんだけど、きっとそれも少しずつ解明されて名前が付けられていくんだと思うよ。
で、その力の中で一番重要なのが魂力。一言で言うと、魂の力だね。
魂を持っていそうな生き物なら魂力を持っていて、他の生き物をやっつけるとその魂力の一部を取り込んで、その結果でレベルアップするんだ。レベルは位階と言ったりもするね。魂の力が定着して、生き物としての次のステージに至るって感じで、結構重要視されている。
生き物を斃さなくても、その亡骸にも少しは魂力が残っているらしい。だからこの世界は、魂力の多く残っている強い魔物のお肉程、結構高値で取り引きされている。それと、特に母乳には結構たっぷり含まれているらしいから、赤ちゃんは母乳で育てるっていうのも常識になってるね。
この魂力が生み出すのが霊力。色々と不思議を起こすのに一番身近な力だね。
魂力が多い程に、多くの霊力を生み出すから、その意味でも魂力を集めてレベルを上げるのは大事。
魂力其の物を使う技も有るらしいけど、まぁ大体禁術扱いになってる。
因みに、年経た古物なんかは疑似魂が宿る事が有るらしくて、当然の様にこの国では付喪神と呼ばれている。そういうのにも魂力は宿るらしいんだけど、生み出す力は霊力とはちょっと違っていて、妖力とか言われていたりする。
そんな妖物ばかり狩っていたら、取り込んだ魂力に影響されてか、人とは違う姿形に変化したりなんて怖い話も本には載っていたけれど、霊力で発動する霊術の他に妖術も使える様になったりとか、或いは英雄の証みたいな物だからか、大抵の人は“怖い”よりも“凄い”に感情が傾くらしくて、偶にそういう人が街中を歩いていると歓声とサインを強請る声が飛び交ったりするみたい。
他にもかなりレベルを上げて神獣扱いされたりする獣の霊力は聖霊力や神霊力と言われてちょっと性質が違ったりとか、まぁ魂力に起因する力には多少の違いは有るみたいだね。
他にも魂力に起因しない力は色々と有るけど、ステータスには関係しないからちょっと置いておこう。
うん、魂力がレベルアップにも関わって、術の発動にも間接的に重要な力だって分かってくれればいいんだ。
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