第9話


「ここのオアシスも枯れちゃってるっ・・・」


アデルママの悲痛な呟き声に私の胸がキュウッと痛みましてですね・・・。


休憩に寄ったオアシスは所々オアシスだった名残はあるものの、もう殆ど砂漠化してました。

うん、やっぱり砂漠って過酷環境だよね・・・。


皆が早々に諦めて出発しようとする中


「ちょーっと待った!」


します。


ここはもう、自分の都合で躊躇ってる場合じゃない気がしたので。


・・・正直とっても恥ずかしいので出来ればやりたくなかったけど・・・私、いっちょやったろーと思いますっ!キリィッ!!


「おー、何か手伝うか?」


と言ってくれたダグラスさんにお願いしてちょっとそこらに転がるカラッカラの枯れ木を拾い集めるのを手伝って貰いました。

あ、そんなに量はいらないので手伝いはダグラスさんだけで大丈夫ですよ皆さん。


それらをちょいちょいっと簡単に組んで、火をつけます。

火は、生活魔法でチョチョイのちょいでやりました。

生活魔法、マジ生活に必要な魔法です。超、便利!


コレ生産職プレイヤーならデフォで付いてくる特典でした・・・ゲームでは序盤だけだけど、凄く役立ちましたよ!

終盤の話は振らないでやって下さい・・・良いんですよ、今、すんごく役立っくれてますからね!


「焚き火?」


そうです、焚き火です。


「・・・じゃあ皆さん、決して後ろは振り返らないで下さいね」


焚き火に背を向けて貰ってから念押し。


「ん?」


「?わかった〜」


「絶対の絶対ですからね!」


聞く気あるのか疑問の返答に、念押しでビシッと言っておきます。


「気になるのだが」


「駄目です!」


ラカン様の素直なお言葉にも絶対拒否でお答えします!

明らかしょんぼりされても気づかない振りで!

さあ、では早速始めましょうか。


ちょっとストレッチした後に気合い入れます、ふんすっ!


・・・チラリと皆を伺い見るけど、ちゃんと律儀にあっち向いてますね。

うん、最後までそれで宜しくお願いします。


スキル【雨乞い】発動!


身体が自動で動くのは相変わらずの仕様の様で・・・。


コレ、側から見たら幼稚園児がお遊戯してるみたいな感じで超、恥ずかしいんだよね・・・誰得!?


私に大ダメージだよ!


多分皆のお察しの通り、ちょっと前に使わないって決めてたちょっと変わった魔法ってのがコレである。

このシリーズ、こんなのばっかりなんだよぉ・・・。


コレ一旦踊り出したらこの焚き火のひが消えるまではずっと発動しっぱなしなんだよね・・・ゲーム内では割りかし良く使ってたスキルでスキルレベルも高いから雨量は結構降ってくれると思うけど。


この雨乞いに備わってる踊りは所謂焚き火周りを輪になって囲んだインディアンが宴とかで踊るような振り付けで・・・それを私1人でやるんだよ?

ちょっと滑稽だよね!?を只今独りで披露中なう。


・・・誰も見てない事を祈ろう・・・遠い目。


音楽も特に無く独りえっほ、えっほと全身を元気いっぱい動かして踊り狂う私が居ます・・・ゲーム中はさあ、おひとり様のオフだったもんだから仕事のストレス発散で使ってました〜〜。

誰も見てないからこそ、出来る所業だよ?


黙々と踊り焚き火回り2周目に、やっと空から雨がポツッて来ましたね!

私はまだまだ止まれないけどちゃんとスキル発動してくれて良かったよー!!


「え・・・」


「っ雨が!」


ちょっと離れた所でザワワしてるけど首も真っ直ぐ固定なんであっち側回る時にしか見えないの難儀ぃ・・・それも、ちろっとだけだし。

ドヤァ!かましたいのに出来ない悲しみぃ〜。


ポツポツ雨が、ザアア雨に変わっても私はびしょ濡れになりつつ踊り続けますよ!

そう言う仕様なんで仕方ない。

もう、ちょっとヤケクソ入りつつバッバって思いっきり身体を動かし続けてると


「えっほ、えっほ!!あははははは」


サウロ君が飛び入り参加して来ました。


踊りながら、え〜〜っ!?と思ってる私は多分目だけまん丸だよ・・・びっくりしても声も自由に出せない身なのでそのままスキル任せに踊り続けるしかないけど・・・。

そしてやっぱり見られてた件ヨヨヨ・・・泣。


「はっはっは!!勇者様って最高だなっ!」


次いで飛び入り参加して来たのはダグラスさんね・・・お前もかっ・・・ってかコレもう絶対皆見てるじゃんねぇ!?


ダグラスさんのこの言葉を皮切りに見よう見まねながらの飛び入り参加者がどんどん参入して来て、いつの間にか焚き火を囲う輪が2重にも3重にもなってました。


流石にここまで来ると、私も思わず笑っちゃったよね!!


生憎私にはえっほの掛け声は出せないけど、皆と一緒にやってたら恥ずかしい気持ちとかどっかに吹き飛んじゃって、純粋に楽しくなっちゃったよ!


心なしかそれに合わせてまた雨足が激しくなった気がして皆で焚き火の火が自然と消えるまでびしょびしょではしゃぎ回っちゃった、てへっ。


ああ、焚き火はスキル発動と同時に不思議な光に守られていくら雨が降った所でその水では消えない仕様になっております。ご安心下さい。


丁度、枯れ果てたオアシスの泉分の水が貯まったくらいでスキル終了。


火も消えて、雨も止んだのにそのままマジもんの宴会に突入!


飲めや、騒げや歌えやの大騒ぎで私の胴上げも3回以上からは数えて無いくらいにはやられたけど私もきゃっきゃと大笑いでいつの間にか眠ってたからね・・・皆は夜通し騒いでた模様・・・元気だなぁ〜。


皆の目の下が真っ赤なのは気づかない振りをしといた。

私、空気読める中身大人な女性なので!


大宴会な勢いでアイテムバッグから仕込んでた大樽のお酒も出しちゃってたみたいだね・・・覚えて無いけど、このバッグ私しか取り扱えないから間違いなく私が犯人です。


大樽は全部で5つ出てた。

・・・そして全部空でした。


いや、出したからには全部飲んで貰って問題無いけど皆どんだけ飲んだんだよって心配になっちゃったよ・・・だってこれめっちゃ強いお酒だったんで。


因みに私がザルなんで、ちびちび呑む様に仕込んでたんだよね。


「ミリアちゃん、ありがとね〜〜!お酒、美味しかったわぁ〜〜」


と供述しているアデルママの顔色は特に問題無く・・・他大人組からもこんな美味しくて強めのお酒は初めてだって絶賛されちゃった!ふふふんっ!!


敢えて言うなら若干一番年若なサウロ君の頬がほんのり赤いかも?な程度でござった。


雨だけじゃなくて起きたらオアシス一面、緑も蘇ってたのには驚いたかな。


・・・ゲーム時代はこんな仕様無かった気がするよ。


異世界転移時にちょっとこの世界用にカスタム入っちゃったのかもね?

いい変化だから許容しますけど。


それで、オアシスに実ってたこの世界の果物を実際に頂いて・・・


「かっ・・・固いぃ〜〜・・・」


頂こうとしたけど表皮固すぎんか・・・?

表面ツルツルで刃の入れどころに迷うよ。


「コレはこうすんだよ!」


とサウロ君が最初の所だけ割ってくれたから、そこから刃で剥き剥きしていざ、パクリ。


「・・・・・・」


「ブハッ!」


「顔が正直すぎんぞっ!!」


いやだって・・・パッサパサなんだもん、え、コレ果物なの??


「砂噛んでるみたいだよ?」


「あはは、めっちゃ的確な表現だな!」


「でもコレ、栄養価はたっぷりあるのよ?」


と言われ、忘れてた鑑定をしてみると


【シュビレット】

砂漠地帯でも根強く生きて行く為に水分を全く含んでいない実をつける。

栄養価は高く1つでお腹いっぱいになるので水分が無くても砂漠の生物には人気者。

※ミリアちゃんの土バーと同じ効果の食べ物である。


・・・※印のコメントよ。

そして、人気なんだ・・・味、全くしないけど。


現に今、すんごい皆捥いでってるもんね。


皆のバディもモリモリ食べてる食べてる。

魔物には美味しいのかもしれないね。

鑑定に無味とは書いてないから・・・知らんけど。


・・・土バー出したらまさかの喜ばれるパターンかもしれん・・・いや出さんけども。


食べるのこれしか無いとかだったら躊躇わずに出すけど、なるべく人様に出すのは美味しい物じゃなきゃ感が・・・生産者あるあるですかね?


「良し、じゃあここでの用事も終わったし出発するか!」


のラカン様号令で満腹満足そうなキーラに搭乗してザカール国目指して旅立ちますっ。


アデルママ曰く、目的地はもうちょっとみたいなんで超楽しみ!


コレクターの血が騒いで一応シュビレットの種も何個か収集した。

いや、マッドなスキル駆使して美味しく出来る可能性もワンチャン・・・と言う希望を元にポッケにナイナイしました・・・覚えてたら!いつか挑戦する筈!!


それでは、しゅっぱーつ!!!


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