第23話 お米と調味料 入荷!

 しばらく騎士団の人達に休憩所で休んでもらっていた。

「サウスさん、ミレーヌ。皆さん、だいぶ良くなってきたようなので……悪いけど、騎士団の人達ここを任せてもいいかな? 僕はお総菜屋の準備をしなくてはいけないから、一度家に帰るね」

 二十人ほど騎士さん達がいらっしゃったので机や椅子を端によせて、敷物を床に敷いて座ってお水を配った。顔色もよくなってきたのを見て僕は、二人と村の人に騎士さん達を任せることにした。


 「マオちゃん、ここは大丈夫だからいいわヨ!」

小さい頃から可愛がってくれてる村のおばあちゃんにそう言われて、僕は休憩所から出た。

 「気に食わないですが、奴らを見張るためにも私たちにおまかせください」

 サウスさんが近寄って小声で僕に話しかけてきた。そんなに気に食わないんだ……?

「じゃ、お願いします」

僕は、お昼のお総菜屋の準備をするために家へ向かった。


 「マオ君――! お待ちかねのお米と調味料を、仕入れて来たよ!

家へ向かっていると、後ろからハリマさんの声が聞こえてきた。待望のお米を仕入れてきてくれたと聞いて振り向き、走ってハリマさんのもとへいった。

 「お米だ――!」

道の端っこの木の下に移動して、ハリマさんが仕入れてきたお米や調味料その他を見せてもらった。


 「ちょっと重かったけれど、すぐに届けたかったからいつもより早く村に来たよ!」

「うわぁ――! ありがとうございます!」

 嬉しくて僕はハリマさんに抱きついた。

「はははは! よっぽどお米を食べたかったんだね!」

 そりゃあ、物凄く食べたかったです! 調味料も仕入れてくれたので料理の幅が広がる!


 「ハリマさんは、お昼までこの村にいますか?」

汗を布で拭いているハリマさんに聞いてみた。ちょっと疲れているみたいだ。

 「ああ。重かったので、この村で休んで体力回復してから行くよ」

 僕のために重いお米を運んでくれたからな……。嬉しいけど。


 「僕がお昼をご馳走します! 村の休憩所に王都の騎士さん達がいますが、そこで待っててもらっていいですか?」

 「本当かい? 助かるよ。休憩所で待ってるね」

僕はハリマさんからお米など買って、家へ急いだ。



 「ただいま――! 母さん、キッチンを借りるね!」

家に帰るなり母の返事を聞かず、購入したお米などキッチンに置いた。

 「まあまあ! たくさん購入したのね……!」

 ニコニコ顔の母は、僕がキッチンでテキパキと料理を始めているのを見ていた。そのうちに片付けを手伝ってくれた。ありがたい。


 「これからお総菜屋さんの総菜と、視察にきた騎士団の人達とかの料理を作ります!」

僕は鍋を棚から取り出しながら気合いを入れて言った。

「まあ! 大変ね。手伝うわ」


 まずはお米を炊く。きちんと量る。

お米を手早く、水が多少透き通るくらい優しく洗って、お米の容積の1.2倍量の水をいれる。新米は、ほんの少しお水を少なめに入れるとちょうど良い。


 三十分~一時間程度水に浸してから、炊く。さすがに炊飯器はないので鍋で。

水に浸している間にお惣菜を作る。

 今日は調味料が手に入ったのでそれを使います! 楽しい!


 鶏肉を一口大より大きく切って容器お皿に入れて、醤油とショウガのおろしたものをその中へ入れる。

 「あ――、醤油の匂いだ……」

つい懐かしくて、くんくんと鼻で香りを嗅いでしまった。軽く、もみこんで少し置く。

 

 置いている間、他のを作る。今まで塩味の料理が多かったので、これは嬉しい。

 「やっぱり肉じゃが、かな……?」

野菜の煮た物なので、醤油味でも大丈夫な……はず。

「よし!」

 

 野菜を切っていく。

二回目の転生では、小さい頃から料理上手な母が、包丁ナイフの使い方から教えてくれた。あとは前世の記憶を思い出しながら作る。

 場所によって入れるお肉が、豚肉か牛肉かわかれるみたいだけど僕は豚肉を使う。


 お肉を炒めていくと、お肉の良い香りがしてくる。これだけでお腹が空いてくる。

 「よっ、と!」

火が通ったら野菜も入れて炒める。ジュウジュウと音も心地いい。


 全体に油がまわったら砂糖とお水を注ぎ入れる。醤油、酒、みりん、だしを入れ落し蓋をして弱火で煮込む。この時点でいい香りがしてくる。

 気を付けながらしばらく煮込んで、野菜が柔らかくなれば出来上がり。


 水に浸しておいたお米を鍋で炊いていく。火加減が難しいけど、この世界は魔法で火加減が調整できる。


 お腹が空いてきたので急いで作っていく!


 「まずは、醤油とショウガ味のから揚げ」

片栗粉をまぶして、油で揚げていく。じゅっ! と耳に心地よい音がしていく。

 ジュワジュワ~と、鶏肉が香ばしく油の海できつね色に揚がっていく。

 「良い匂いね~!」

 母にも香りが届いたのか僕の側に来た。


 「から揚げの味見、してくれる? 熱いから気を付けて」

僕は美味しそうなきつね色に揚がったから揚げを、油から取り出してお皿に乗せた。


 母は、から揚げをハフハフと口の中で冷ましながら味見をした。

 「どうかな?」

僕は口に合ったか心配しながら母に聞いた。モグモグと頬張って食べる母はうんうんと頷き、親指を立てて「美味しいっ!」と言ってくれた。


 肉じゃがの良い香りとお米の炊けた匂いがしてきた。火を止めて少し置いておく。お米は蒸らしておく。

「これ、人気商品になるわね!」

母も気に入ってくれたようだ。良かった。


 合間にゼリーも作っておいた。色とりどりの丸いゼリー。今回は入れる袋がないので大き目なお皿に入れて配る。


 「母さん。悪いけどお総菜屋の店番お願いします!」

  「は~い」

店番をたのんで悪いかなと思ったけれど、母はむしろ任せてほしい! と言ってくれた。お客さんとお話をするのが楽しいみたいだ。


 僕は休憩所に向かうため、荷車に作った料理を乗せた。

「けっこう作ったな。これで足りると思うけど」

 ガラガラと荷車を引いて行った。



 「マオ様、お疲れ様です」

「こちらは皆、回復しました」

休憩所に着くと騎士の皆さんは、わいわいと話し合っていた。サウスさんとミレーヌは荷車に乗せた料理を中に運ぶのを手伝ってくれた。


 「お昼ご飯を皆様に用意いたしました。まずはこの辺境の村土産になる予定の、『プルプルゼリー』を食してください」

 「おお――!」

騎士の皆さん、村の人々から歓声が上がった。僕は一人一人にお皿を配って、『プルプルゼリー』を乗せていった。


 「こ、これは! 最弱スライムのゼリーじゃないかっ!」

騎士さん達はざわついて、プルプルゼリーを見ていた。最弱スライムは誰もが序盤に倒すだろう魔物。思い出深いものがあるのだろう。

 「俺さ。ダンジョンから持ち帰ってダメなこの最弱スライム、可愛いくて連れて帰ったことがあってさ……」

 一人の騎士が思い出を語るように話し始めた。

するとほかの騎士さんも「俺も! 俺も!」と手を上げて言い出した。……本当は絶対に禁止なんだけど。


 「そしたら夜中に寝てるとき、口を塞がれて死ぬかと思ったよ! ははははははっ!」

ここで騎士の皆さんが大爆笑した。騎士さんの鉄板のネタなのだろうか?

そう。連れて帰った最弱スライムは、最弱だけど魔物。人間を襲うので危険とされている。


 「うおっ! 可愛いうえに美味しい! プルプルしている!」

「うまっ!」

 良かった。騎士さん達に好評みたいだ。お土産として売り出そう。

「ん? なんか回復したみたいだな! 美味しいからか!」

 きりりとした顔の騎士さん達は、にこやかに笑ってプルプルゼリーを愛でて食していた。


 「こちらはお食事になります!」

村の人に手伝ってもらって、肉じゃが、から揚げ、そしてを配った。

 「どうぞ、召し上がってください!」

おお――! と声が響いて、騎士さん達は美味しそうに肉じゃがなど食べ始めた。


 「ハリマさん、お待たせしました」

約束したお昼ご飯をトレイに分けて持ってきた。ハリマさんは「ありがとう! 美味しそうだ」と言い、受け取った。

 「サウスさん、ミレーヌ。用意してあるから食べて」

僕はトレイにサウスさんとミレーヌにお昼ご飯を乗せて渡した。

 「良いのですか!」

 二人は目をキラキラさせて喜んだ。


 「皆で食べると美味しいね」

村の人とも一緒に食べて、楽しい時間を過ごした。


 「HP、MP体力、魔力が回復している……。これは……」

騎士団長さんがぼそりと呟いたのを、食事に夢中で聞いたものはいなかった。


 

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