第13問 類は友を呼ぶ

今日の1問


問)次のうち芥川龍之介の作品ではないものを選べ


①『藪の中』

②『河童』

③『或阿呆の一生』

④『斜陽』


答えは④の『斜陽』です。

こちらは太宰治の小説ですね。太宰治は芥川龍之介に憧れたと言われている作家でしたが実際に対面することは叶わずに生涯を終えてしまったということでした。

太宰治と言えば他にも『走れメロス』、『人間失格』などが有名ですね。


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(本編)


「いやっふぅー!」


「きゃーーっ!」


ゴールデンウィークもラスト2日。

最後にしっかり遊び倒そうということで遊園地に来ていた。


元々は車で比較的近くに行ける山梨のテーマパークに行く予定だったが、疲れた体で運転したくないことと、羽尾さんと弘毅が明日は朝も早くから予定があるということで近場で楽しむこととなった。


某野球チームが本拠地とする、ライブなども頻繁に行われるドームの付近にあるテーマパークに来ている。


遊園地だけでなく、ボルダリングや卓球、バッティングなどのスポーツが楽しめる所や、謎解きに参加できるなど様々な施設が複合している。

そのため、最初にどこに行くのか話し合う予定だったのだが、

「最初はやっぱジェットコースターでしょ」

という弘毅の一言によりジェットコースターに乗ることとなった。


「楽しかったなぁ〜」


「ですね〜」


弘毅と美涼は予想通りというか絶叫系が好きなようで楽しめたようだ。


「悪いな羽尾さん、弘毅のワガママに付き合ってもらって」


「いえ、楽しかったですよ。それに私も好きなんですよ絶叫系」


羽尾さんには悪いことしたかなと思っていたがそんなことなかったようだ。

なるほど、美涼と友達なのは性格や同じ高校というのもそうだが好みの一致というのが大きいのかもしれないな。


その後は


「あ、先輩メリーゴーランドがありますよっ!」


「メリーゴーランドなぁ…」

メリーゴーランドかぁ。

この歳になると乗らないものの一つだったりする。

特に嫌いとかそういうわけではないが、わざわざ乗ろうとはならない。


「乗りたいなら乗るか?」


「はいっ、乗りましょうよ!1


………


瞬間、俺ら4人の空気が凍った。


「えぇ〜と、何だって?」


「ジャンケンで負けた人が1人でメリーゴーランドに乗りましょう」


「おっ、いいじゃんそれ!」


話が聞こえてきたようで弘毅も乗っかってきた。

そうだった、こいつはこういうやつだ。

自分の不幸よりも面白いことを優先するところがある。


大学生が1人でメリーゴーランドなんて罰ゲーム以外の何でもなく、それが少なくとも1/4で襲ってくるというのにこの笑顔だ。

提案する美涼も美涼だ。

恥というものを知らないのか。


それに本日はゴールデンウィーク。

家族連れで来ている人も多い。

そのため、このメリーゴーランドという乗り物に子供達が乗って外から親が声をかけるという構図も見受けられている。


恥ずかしさは倍どころじゃない。


助けを求めるように羽尾さんに視線を向けると、俺と目が合って「分かってます」と言わんばかりに微笑んでくれた。


良かった。

最悪でも2対2に持っていけそうだ。

後はどうにか言い負かせれば…

「それではやりましょうか、負けた人1人ですね」


こいつ、裏切りやがった。

後輩にこんなこと言いたくないが狂っている。

羽尾さんだけはまともだと思っていたのだが、やはり美涼の友人か。


さっきの笑みは一体何だったんだ。


「それじゃあ決定ですねっ」


「あぁ」


「緊張しますね」

3人は利き腕を構えてやる気満々だ。

今更覆すことはできないだろう。


だが、こういう時は言い出したやつが負けるという法則が存在するはずだ。

大抵嫌なことを言い出した人が負けてしっぺ返しを喰らう。

それが自然の摂理だ。

間違いない。


そう覚悟を決めた俺も右手を差し出す。


「「「「最初はグー…」」」」



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「おい、元気だせって」


「そうですよ〜、それに似合ってましたよ。ね、絢香」


「はい、この写真もよく撮れてますよ」


羽尾さんはそう言いながら成人男性がメリーゴーランドの馬に乗って笑顔で手を振っている写真を見せてくれた。


俺だ。


じゃんけんに負けたのだ。

しかも1人負け。


覚悟を決めてグーの手をだしたら無慈悲にもパーが3つ並んでいた。


観念して乗ったのだが、周りの視線が痛かった。

子供たちの純粋で不思議そうな視線が突き刺さったのだ。


しかも乗っている最中3人、主に美涼が大声で声をきて羽尾さんに至ってはスマホを構えていた。


ここまできて渋そうな顔をするのも良くないと感じ笑顔を作ってカメラに目線を持っていったというわけだ。


正直今年1恥ずかしい出来事だったため、俺はレストランの机に突っ伏しているわけだ。


今度弘毅には仕返しをしてやろう。


「はぁ…、まあ終わったことだし切り替えるか」


「おう、そうだぜ。次は気晴らしにスポーツでもしようぜ」


「あ、いいですねっ」


「ボウリングとか出来るみたいですよ」


ということでレストラン同じ建物にあるボウリング場に行くこととなった。


途中、ボルダリングができるところを見かけてやってみたいとなったが、運動できる格好をしていないため後日ということでボウリングシューズをレンタルし、レーンまでやってきた。


上の階では夜だけだがBARが併設されていて、飲みながらボウリングをできるようだ。

楽しそうだが酔いがすぐ回りそうだな。


「チーム戦しましょっ、チーム戦!」


「お、いいじゃん。それじゃあチーム分けしようぜ」


美涼の提案に弘毅が賛同し、チーム戦をすることとなった。

先程みたいなのはやめてほしいが、普段はやはり美涼か弘毅がこうやって提案したり何か見つけたりして引っ張ってくれる。

先程みたいなのは本当にやめてほしいが、やはり欠かせない存在のように感じる。


「あっ、康介先輩っ!同じチームですね!」


「おうそうだな、足引っ張るなよ」


「先輩こそ。絶対勝ちましょうね」

チーム分けの結果、俺は美涼と同じチームになった。


なんやかんやこのメンツでボウリングというのは初めてで実量は計り知れない。

何となく弘毅は上手そうだが、他の2人はどんなもんだろうか。

まぁ美涼はバスケサークルで日頃運動をしている分こちらが有利か?


「よっし、それじゃあ負けたチームがボウリング代支払いでどうだ?」


「別にいいが、羽尾さんは大丈夫なのか?」

一応羽尾さんにも確認をとる。

これでめちゃくちゃ苦手ですとかで嫌がっていたら申し訳ないからな。

ちなみに美涼には確認をとらない。

どうせいいだろ。


「はい。問題ないですよ」


ということで始まったチーム対抗ボウリング対決。


先攻は相手チームということでボールを持ったのは弘毅。


運動神経抜群な彼から離れた一球は9本のピンを倒し、二球目で残る1本を確実に仕留めた。

スペアだ。


やはり上手いな。

1フレーム目からスペアとは。

ラッキーであってほしい。


「うぇぇ〜いっ」


弘毅と羽尾さんが喜びつつハイタッチをする。


「先輩、先輩っ!あれ、私たちもやりましょうっ!」


それを見た美涼は何故かハイテンションでそんなことを言う。

やはりああいうノリが好きなのだろう。


「構わんが、全部倒したらな?」

流石にピンが残っているのにハイタッチはおかしいだろうということで釘を指しておく。

こいつは意味もなくハイタッチしてきそうだからな。


「わかってますよっ。それじゃあ私からいきますね」


美涼はそう言って立ち上がりボールを手に取る。


「…先輩とハイタッチ…先輩とハイタッチ…」


構えた美涼は何かをブツブツと呟きながら位置を調整していた。


後ろ姿しか見えないが恐らく真剣な表情をしていることだろう。


パカーンっ


「やった、やりました!」


結果は見事ストライク。

一球で10本とも倒した。


「ナイス」

帰ってくる美涼に俺は手を差し出した。


「やりましたっ!」

美涼もそれに応えてハイタッチをしてくれた。

してくれたのだが…


にぎにぎ

手を離してくれない。

小さくてやわらかい手で俺の手を握ってくる。


「おい」


「はっ、すみません。つい…」


俺が指摘してようやく離してくれた。

対面からは弘毅と羽尾さんから変な視線を感じるが反応したら負けだろう。


女の子特有のやわらかい掌の感覚は何となく惜しいが、ずっとこんなことをしているわけにもいかないからな。


続く羽尾さんは倒しきれず8ピン。

俺はスペアとなり、一時的にリードする展開となったり


その後は弘毅は安定した投球を見せ、美涼はちょくちょくミスり、羽尾さんは段々上手くなっていき俺はまちまちといった感じで最終フレームを迎えた。


最後は4番手の俺の投球。

そして点差は18点。

最終フレームはストライクやスペアを取ることで投球数が増える仕様でもあり、合計で3投できる。

勝つにはまずはそのどちらかがマストだ。


「先輩頑張ってくださーい」


チームメイトからの応援を背に俺はレーンの前に立つ。

そのまま立ち位置を調整し、投球動作に入った。


この1ゲームで学んだことだが投げる時、ピンの位置よりスパット呼ばれる目印を見ながら投げた方が良さそうだ。


俺が投げたボールはポケットと呼ばれる場所に目掛けてまっすぐ向かっていった。




「流石先輩!ああいう時にしっかり決めてくれますね。正直カッコよかったですよ」


「まぁ正直ラッキーだったな。それに、美涼も得点を稼いでくれたからな。2人の勝利だ」


勝った。

結局ストライクをとることができ、残りは二投で8点取ればいい状況となった。

流石にできないはずもなく、勝ったというわけだ。


「2人の勝利…。受験ぶりですね!」


「そうだな」


美涼の合格発表の後、わざわざ当日に塾に来てくれて報告をしてくれた。

その時俺は「おめでとう」と言い、美涼を褒めたのだが、こいつは「これも先生のおかげです」と言い続けた。

埒が明かなかったため、どちらも頑張った「2人の勝利」ということで落ち着いたのだ。


どうやら覚えていたらしい。

講師としては嬉しいものである。


その後は卓球をしたり、お店を巡ったりして暗くなるまで遊び、実家住まいの3人は晩御飯が家で用意されていて内2人は明日も早いということで解散となった。


一緒に帰ってもよかったが、俺は気になっていた施設があったため少し残ることにしていた。


この施設、天然温泉にサウナがあったのだ。

しかも中温と高温とで分けてあり、ロウリュにアウフグースとしっかりとしたものだ。


ガチのサウナーというわけではないが、入らないわけにはいかない。

そのため、残らせてもらった。


「先輩、ちょっといいですか?」


意気揚々とサウナのあるスパ施設に向かってると声をかけられた。

美涼だ。


「あれ?帰ったんじゃなかったのか?」


「あ、その〜…あれです。忘れ物、です」


「忘れ物か。どこだ?一緒に取りに行くぞ」


何を忘れたのかわからないが、わざわざ取りに来るくらい大事なものなのだろう。


この施設は地味に広いし1人で行くよりは一緒がいいだろうと思い同行を名乗り出た。


「ありがとうございます。あの、先輩さえよければなんですけど、もう少し一緒に過ごしません?」

俺の質問には答えず、美涼はそんな提案をしてきた。


その顔は何かを決意したような強い表情で俺は断ることも出来ず、そのまま肯定していた。


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今日の1問


問)次のうち、「急いでる時ほど信号に引っかかる」「落としたトーストがバターを塗った面を下にして着地する確率は、絨毯の値段に比例する」などといった事実か事実でないかは別として、先人たちの経験から生じた数々のユーモラスでさらに哀愁に富む経験則をまとめたユーモア及びジョーク集を指す言葉はどれか


①マーフィーの法則

②パレートの法則

③ピーターの法則

④グッドハートの法則

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