後編(多分、なろう系主人公)

「つまり燃やしたってことか、よくやった褒めちゃるよ。」


よくねーよ。いいわけないだろうが、ばかか。


「いや、単位とれてるか心配だったんだよな。これでテストの採点は出来ないからおっけいよ。」


成績判断の材料がなくなったんだから、再テストを実施するか、そのまま留年確定になるって考えはないのかなこいつには。


というか俺の友達は、留年ばかりしてんだ。


「で、どこいるんだ。」


「言わないよ、もちろん。お前、警察に売るんだろ、その魂胆わかってんだよ。」


「いや、まだ俺は今朝のテレビは見てないけど。」


見てるじゃないか完全に、


「悪かったな、で要件はなんだ。」


「なにが悪かったのかは、知らんがまあ、最後のあいさつってやつだよ。」


「驚いた、自分は犯人じゃないって言い訳すると思ってたのに。」


思ってたのね、そんな情けない奴だって。確かに火種をまいたのは私だよ。あそこまで燃える意味は分かんないけどね。

「まあ、おかしいとは思うんだけどね。じゃあな、私は逃げるよ。」


「無理だろ。もうテレビに名前出てるのに。あ、真犯人を探して突き出すとか。」


「どっかの無人島あたりでサバイバルして、やり過ごす。

九州は捜査範囲だろうから上の方にあるやつだな。」


「お前、料理もできないのに。」


「なせば大抵なんとかなる。」


「はあ、幸運を倉垣くん。あと、公衆電話って駅前に一つしかないんだぜ。」


電話は切れた。私もキレる。

あの野郎、私のこと200万の小切手だとおもってらー。


とりま、実家だ。レッツ帰省だ~~。

でも両親には会いたいくない。2年も顔を合わせていないしね。


別に悪い親ってわけじゃないが会いたいとは思わなかっただけだ。

でも今や犯罪者の息子を前になんと言ってくるのか。

嫌だな、行きたくないな。


でー。

前回のラストにつながる。


燃えた。

燃えた?

燃えちゃった?

仕掛けたか爆弾?

いや、俺の作った爆弾にそんな威力はない。

そもそも行ってない。


自首しよう。


確かに研究室の一件は罪になるかもしれないがしゃーない。

こっちのことも俺のせいにされたらたまったもんじゃない。

それに、この爆弾魔に罪を擦り付けることができるかもしれない。

そうだよ。俺は被害者ですみたいな顔をすれば無罪放免もあるかも。

警察署を探そう。行けば。


でも犯人扱いされるかもよ。


一瞬よぎったその考えに

「だあってろ。」

と喝をいれる。


悪い賭けじゃない。逃げ続けるという選択よりも希望があるじゃないか。

怖いし出来れば警察署なんか行きたくないがやるしかない。


大丈夫だ、未来は明るい。





















わーー確かに明るいな。

光ってる。

初めてその瞬間に立ち会うことができた。

バカでかい音

クソ眩しい光

いやーーたまやーーって言いたくなるね。

なるわけない?

いやなるね。

この状態なら。


だって爆弾魔容疑を晴らすためにいった警察署が爆発してるんだぜ。

ちょうど目の前で意味わからんだろ。


発狂じゃなくて、たまやーーて叫んで走りだしただけで済ました俺は

わりとメンタル強者だと思うぞ。


なんだよ、どうすればいいんだよ。

というか何なんだよ。

なんで燃えてんだ。


誰だ、俺か、俺なのか。ンなバカな。

でも俺しか可能ではない。


いや、違う警察署だけははたから見れば違うはずだ。

「いや、お前叫んでただろたまやって。

はたから見たら犯人だよ。」


目の前に須藤がいた。

「パチンコ帰り?」

「お前スマホもったままだっただろ。ほらこの前の旅行の時はぐれないようにって。」


ああー位置共有アプリね。

入れてたね。忘れていたよ。切っとこう。


「今切っても意味ねーだろ。」


それはそうだね。


「足速かったんだな、なんか乗ってるのかと思ったが明らかに歩道だったからな。」


「よく追いついたな。」


先回りだよっといってくる。浅知恵のお前が逃げるのだったら、本州にわたると考えて門司港でな。


なるほど舞台設定は福岡県か。

しかも歩いて行けるんだから、小倉あたりと。

ま、そんなことはどうでもいい。


「あ、瓦そば食べたけどうまかったよ。」


「焼きカレーは?」


「カレーはカレーのままが素敵だろ。」


「素人が。」


こんな会話してる場合ではないが、相手の出方が見えてこない以上このやり取りを続けて目的を聞き出すしかない。無駄な金の使い方はしない男だ。

パチンコにはじゃんじゃん使うけどね。


「回りくどいのは嫌いだぞ。」


「最初は捕まえて金をと思ったんだが、警察署あたりでおかしいなと思ってな

話だけ聞いてみようかなと。」


「捕まえないのか。」


「反撃で燃やされたらたまったもんじゃないからな。害のないうちに人をやっちゃうようなやつじゃないだろ。」


害があるなら殺しにかかると思われているのは残念だがまあ、いいだろう。

これで弁明を警察に伝えることも出来るしな。


「俺はやってない。ただ俺が行こうとした先が燃えてるだけだ。理由はわからない。信じれないと思うがそれがホントの話だ。」


「そうか。わかった。伝えとくよ。」


物分かりがいいな。まだ誰かに伝えてほしいなんていっていないのに。


「なあ、燃えたも場所はさ。本当に行こうとしただけの場所だったか。」


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関門海峡をぬけて山口県は下関へと足を運んでは見たもののお手上げである。

財布に残っていた金で瓦そばを食べたからお金もない。

話を聞いたものを食べたくなるのは人のサガだと思うね。

携帯の中の金は凍結されて使うこともできないようだ。


「凍結させるんじゃなくて、使えるようにして逆探知で捕まえればいいのに。」


もしかしたら、捕まえたくないのかもしれない。

警察は俺を超常的な力を持った得体の知らないやつと思っていて、

様子をみているのかもしれない。

そもそも200万なんて賞金がかかっていたのは何故なんだろう。


研究室、実家、警察署なんで燃えたのか。共通点はわからない。


「まあ、俺が原因なのは確定的だよな。」


スマホが鳴る。電話してきたのは、今日公衆電話から電話をかけた男だった。


「おーー出た出た。でも出るんだったら公衆電話で電話かけなくてもよかったんじゃない。」


「まあ、なんかもういいかなって。逃げてもしょうがないかなって。」


「え、もう捕まったんじゃないの。」


「は?」


「えっ、だってテレビとかでそう言ってたし。それに…」


何か言っているみたいだったが聞こえてこなかった。

捕まった?俺が。ここにいるが?

本日2回目の困惑タイムであった。


報道はされていない。でも金は凍結されている。

で、俺はまだ自由の身。


なんで。

なんで?

なんなんだって?

夢か幻か?

でもこれはそんなものじゃない。

さっきデコピンを自分に打ったけど痛かった。

そもそもこんなリアルなわけない。


戻ろう。


関門海峡を抜けて愛しの故郷に、ここじゃなにもわからない。現場に戻ればなにかわかるかもしれない。このままではいずれにせよ、死だ。食い物がくえないからな。とりま、須藤か、あいつかどっちかに頼って真相の究明をしないと、こんなわけわからんまま終わるわけにはいかんのだ。


あの男の罠かもよ。

一瞬よぎったその考えに

「だあってろ。」

と喝をいれる。


悪い賭けじゃない。餓死という選択よりも希望があるじゃないか。

怖いし出来れば九州なんか戻りたくないがやるしかない。


いつの間にか切れていた電話をポケットにしまって歩き出す。


大丈夫だ、未来は明るい。




















光っている。

音が聞こえた。


あっ、犯人俺だわ。俺、超能力者じゃん。


こういう時何て言えばよかったかな。

そうだ、シリアスはよくないから茶目っ気を入れて


俺、何かしちゃいました?




























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卒論を書けなかった俺、とりあえず学校爆破したけどここから人生逆転するにはどうすればいいですか 河合聡 @kawaisougohorou

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