第8話 反逆者
それと王弟殿下が政務を代行するようになって、税金が上がり国民が住み難くなって来ている事や、何よりリズの誘拐事件にケランドが関係あるのではないか?
等々を伝えたそうだ。
後で私が父に聞いた話では、
国王は始め信じられない様子だったそうだが、段々合点が行った様子で暫く考えた後、ご自分が一番信用出来る方をお呼びして指示を出されたそうです。
まず執事のセイル様を呼ばれ、王国内の情勢についての調査。
王国ギルドに対しては国民の不穏な動きや王宮との関係等の調査を指示。
次に王妃様の陰にも指示を出したそうです。
王宮薬師とケランド王弟殿下の繋がりについての調査。
私の身の安全を守る事。
外交で他国に出向いている私の父シャルレ・グラント公爵にケランド王弟殿下が他国へ繋がりをどんな風に作ろうとしているか調査を指示した文書を届けさせたそうです。
「グレン申し訳ないが。私の今の体力ではこれが限界だ、今少し休み報告を待つとしよう。」
「はい殿下、お心静かに報告をお待ちしましょう。ゆっくりお休みください。」
◇ ~ ◇ ~ ◇
その頃ケランド王弟殿下にも、城下探索中の陰から一報が届いていた。
王妃の侍女が王都の市場で十歳位の少女から目を離さず、まるで吸い込まれるように見入っていが、その後慌てて王宮に帰って来た。と報告を受けていた。
ケランド王弟殿下は少し考えていたが、直ぐに執事のベクターを呼んだ。
「ベクター、五年前リズは間違いなく死んだんだろうな?」
「恐らく生きてはいないはずです。」
「恐らくとはどういう事だ。確実に殺したのでは無かったのか。」
「ハイ。申し訳ありません。「死の森」の奥に連れて行き、冒険者が首に手を掛け殺したと思うが、魔物が後ろから現れ襲って来た為、生死の確認はせずに、慌ててリズ王女殿下をその場に置き冒険者と逃げ帰って参りました。恐らくその時リズ王女殿下は、魔物に襲われて死んでいると思われます。例えその時生き伸びたとしても、あの幼い年齢で「死の森」生きるのは不可能かと思われます。」
「それもそうだなでは、王女の印である王家の紋章が刻まれた剣はどうした。あの時身元の解るような物は全て処分しろ。と言いつけていたはずだが?」
「何分慌てていたのでそのまま王女殿下のお手元に置いたままのはずです。申し訳ありません。」
「では、あの時この件に関わった冒険者達はどうした?」
「探索と称し森に連れだし、毒を混ぜた酒を飲ませ始末しました。」
「全員死んだのは確認したんだろうな?」
「恐らく全員生きていないはずです。」
「何、これも確認していないのか?」
「申し訳ありません。この時も魔物が突然現れ、慌てて逃げ帰って参りました。」
「何か遭ったのですか?」
「イヤ陰の報告で、王妃の侍女が王都の市場で十歳位の女の子を見つめていた。と言って来たのが気になったのだ。調べて見てくれ。」
「では、直ぐに調べて参ります。」
と、執事ベクターは胸に手お当て頭を下げ部屋を出て行った。
◇ ~ ◇ ~ ◇
一方私マリは、グレン王妃様の命に従い、お休みを頂きグラント公爵領に向かう馬車から移り変わる風景を眺めている間に、途中宿泊地であるラード村に到着した。
宿屋で一泊した時、従者がとんでもない事を聞きつけてきた。
この村に来た冒険者があの最強の魔物、ドランドラを従魔にしていると聞いた時には耳を疑ってしまった。
その後私を訪ねてきたギルドマスターに、ドランドラの話を聞いた。
ドランドラを従魔にしているのは、10歳の少女と27歳男性二人組の冒険者であること。彼等にドランドラはショコラと呼ばれている事等々の他に、彼等は今この領土で問題となっている、オークキングとオークの群れの討伐それに新生ダンジョンの調査を引き受けてくれ、その討伐と調査のため彼等が明日このラード村を出発すると聞いた。
お礼に伺いたいと伝えたら、何かあってはイケないからダメです。と思いっきり反対された。
一度ショコラも見たかったし、それに少女達にも会いたかったが諦めた。
数日後、外出からの帰り、この前聞いた彼等が山に向かってすすんでいる所を
湖の向こうに小さく見ていた。
◇ ~ ◇ ~ ◇
その十数日後、他国へ公務で出かけていた父から、少し早いが尋ねたい事が出来た故、早々に王都へ帰還するよう告げた手紙が届いた。
どうしたのでしょう急に? 居なくなってしまった、王女殿下の傍に侍女としてお仕えする様になってから、今まで一度もこんな事なかったのに。
どちらにしても王都には早々に戻りたいと思っていたので好都合でした。
その代わり、暫く王都の屋敷で過ごしましょう。
王都に戻る準備を侍女達が早々に終わらせてくれたので、王都を目指し出発した。
途中ラード村で一泊した、この時もギルドマスターが訪れ、二人組の冒険者に依頼した討伐依頼の報告と二人組の状況を詳しく記した報告書が一通、それと領主様からの調査依頼の件は此方に詳細に記した報告書を一通、これらを直に領主である父に渡してほしいと、伝言と共に筒のように丸めた書簡二本を預かった。
私自身は、彼等冒険者の事が気になって居たので、まだ此の村に居るか聞いてみたが、残念な事にこの数日前、このラード村を出発した後だった。
翌朝私はギルマスから預かった書簡を携え、王都に向けて出発した。
王都の屋敷に陽が暮れた頃に到着した。
そのままお父様の執務室を訪ね、ラード村のギルマスから預かった書簡二通を直接お父様にお渡しした。
「確かに受け取った。 マリ、この服に、見覚えは無いかい?」
「市場でリズ様にそっくりな少女が着ていた服に間違いが有りません。お父様は何処でこの服を?」
「この服は、国王様の執事セイル様が王都の服屋で買い取った物を手に入れられたそうだ。が、その少女の行方がつかめないそうだ。」
「そうなのですね。国王様も王妃様もお気を落としていなければ宜しいんですが。」
「お二人には、マリのお陰で生きている事が分かっただけでも朗報だと、感謝されてしまった。マリ本当にありがとう。この国に希望が芽生えた。」
◇ ~ ◇ ~ ◇
私は国王様の陰。
国王様付執事のセイルさまより、王妃様付執事のマリベルさまがフェアリズ王女殿下にそっくりな少女を市場で見た。 との情報があり直ぐに調査するよう指示があった。
まずフェアリズ王女殿下が目撃された市場に行ってみた。
市場で耳よりな情報を手に入れる事が出来た。
食糧や数種の調味料を大量に購入した幼い冒険者の少女が居たこと。
その後その少女は服屋で色々買い込み、王都では見掛けない服を此の店で購入した服と着替え、着ていた服を売って行ったので、その服を購入した。
その後食堂に入り食事をしたが、ソロ冒険者に仲間にならないか声を掛け、断られている。
王都中の宿屋や、食堂、冒険者ギルドなど手分けして調べたが、足取りは掴めなかった。
そのまま、王都を出た可能性が強いと考え王都近辺の森も探索した。
もし王都を出たとして、荷物もあるし少女の足なのであまり遠くまで行けないと探し回ったが発見できなかった。
王都内・外での消息は不明。
王都にどうやって来たのかも不明。
以上分かっている事を、王宮に向いセイル様に報告した。
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