第5話 山登り
村の入口ではいきなりドランドラが現れたから大変な騒ぎになってしまった。
暫く自警団の方々が落ち着くのを待ってから、この村にきた目的を伝え入村の許可証を頂いた。
ここはラード村と言うらしい。
早速、冒険者ギルドに行き魔物の解体と素材の買取りをお願いしたが、魔物の数が大いため、時間がかかるとの事で翌朝出直す事にした。
その後ギルマスに呼ばれ面会した。
まず、此の村を訪れお騒がせした事を詫び、そして明日魔物肉を頂いたら村を出る事を伝えところ、ギルマスはこの騒ぎが何でもない事のように声を上げて笑い、
「別に気にしなくていい。まさか、本当にドランドラを従魔にした冒険者が居るとは、門番に報告を受けた時には驚いたが何時まで滞在しても構わん、ゆっくりして行ってくれ。それよりも他に用件はないのか?」
「それでしたら、この村の付近の山々を登りたいので、その辺りを詳しく教えて頂けると助かります。それとこのドランドラとは従魔契約した時名前をショコラとしましたので申し訳ありませんが今後はショコラと呼んで頂けると助かります。ショコラもいいよね。」
「我はかまわん。」
「と言うことなのでよろしくお願いいたします。」
「分った。これから気を付けよう。」
と、ギルマスに言って貰えた。
その後ギルマスは、この地がサルマトリア王国最東端のグラント公爵領である事や、このラード村近辺には3つの山々がある事を教えてくれた。
従魔であるショコラとクレイは心配する事はないが私の事を見て、幼いので体力が心配らしく、低く登りやすい山から進めてくれた。
① 最初の山は登りがなだらかで、魔獣も他の山より弱く、出会う事が少ないこの山から登ったほうがいい。
② 次は麓にダンジョンが発生しているが、最初の山と同じように登りはなだらかだ、ただ少し強い魔物が増え、山も少し高くなる。
③ 最後の山は気を付けた方がいい。山も急斜面の所が多く、また魔物の力も先程の山と段違いに強くなる。頂上付近の洞窟には魔物が住み着いている。
山々を登るならこの順で登るのが良いだろうと、山々の特徴を教えてくれた。
さすがギルマス、とても詳しく教えてくれた上に地図も頂いた。
これらの山々に登るついでに受けてくれると助かると、討伐依頼証2枚を出してきた。
討伐依頼①は今から最後に登る山の頂上付近の洞窟に住み着いたオークキングとオークで、恐らく100匹は下らないだろう。討伐証明にオークキングが必要だが他のオークは好きにして構わないとの事。
「この魔物を討伐するには、本来だと冒険者SかAランクチームが五チーム以上無いと討伐は不可能。もし仮に討伐出来たとしても冒険者への被害は甚大だ。それに、今此の村のSやAランクのチームは別の依頼で出払っており討伐に向かえるのを待っていたらこの村だけでは対処できなくなってしまう、どうしたら良いだろうと思案していたら、リズにショコラとクレイの皆さんがこの村を訪れたので、依頼したいがどうだろう?」と聞いて来た。
討伐依頼②は二番目に登る山の麓の洞窟に出来た、新生ダンジョン調査だった。
討伐依頼①と理由は同じ。調査は行っていないからどんな魔物が潜んでいるか分からない。
その代わりラード村の出入りと村の中は自由に動いて構わないと言う条件付き。
「クレイ・ショコラ受けて大丈夫?」
「もちろん」
「我も構わん」
「では依頼は受けさせて頂きます。」
「助かる。ではリズ、クレイ、ショコラ殿頼のみました。」
何故かショコラが嬉しそう
冒険者ギルドを後にして、肉以外の大量の食料品と甘い物。数種類調味料を大量に購入。
調味料は王都で購入したのと合わせると凄い量になったがアレだけのお肉に使うとなるとこれでも不安なのだが、店主さんが反対に店で売るのがなくなったと言い出したので、違うお店も見てみよう。
クレイの着替え一週間分購入。
「クレイ、処分する予定の武器や防具を売りに行くけど、この村の武器と防具も見とく?」
「ちょっとだけ見て見よう。」
武器屋に寄り、「死の森」で集めた武器や防具の一部を買い取ってもらった。
その間クレイはお店の中を見回していた。
「見たけどリズが出してくれた方がずっといい武器と防具だった。」
欲しい物は無かったようで店を出て宿屋に向かった
ショコラは宿屋の外で食事をするとさっさとテントに入って寝てしまった。
私とクレイは宿屋に宿泊する。
夜明け前に目が覚めショコラの待つテント前で食事の準備に取り掛かると、朝から肉がいいと言いながら大人しく出来上がるのを待ててくれる。
ほんとにお利口です、ショコラは。
全員の食事が終わり、ギルドで解体済みのお肉を受け取り山々目指して出発する。
◇ ~ ◇ ~ ◇
先日ラード村のギルマスから頂いた一枚目の地図を見ながら進んでいたが、山の麓のその奥に大きな湖が有り、その向こうにお城みたいなお屋敷が見えた。
クレイに聞いたらこの一帯の領主様のお屋敷との事だった。
その時お屋敷の方に向かう馬車が見えた。
山の麓に着いた、今日は此処で一泊する
山登り始める前にテントから二人分の万能登山靴とグローブ・トレッキングポールを出してショコラ・私・クレイの順で登り始めた。ドランドラが居るせいか向かって来る魔物が少ない。
「結構な魔物が多く居たはず。」
とクレイが呟いていた。
そのまま登り頂上付近の洞窟で、突然ショコラが唸り出した。
見ると三番目の山の頂上にいるはずのオークキングとオーク達が大量に居た。
ショコラとクレイは、オークキングとオーク目掛けて飛び出して行き戦っていた。
私も剣お出し構えを執ったがショコラとクレイで片付けてしまった。
その後オーク達は消え、魔石だけになり、身体は洞窟に吸収されてしまった。
クレイに聞いた所多分この洞窟はダンジョンになって行くはず。と教えてくれた。
討伐証明のオークキングは持って帰れなくなってしまったので私達は魔石を拾い集めた。
その間奥の方をショコラは見ていたが、まだ他の魔物の気配は無いとの事だった。
オーク達の復活もまだの様で、そのままこの洞窟に泊まり様子を見た後、翌朝下山することにした。
まだ夜明け前。食事を終え出発するが、雨の心配はないものの、曇り空だ。
山登りの醍醐味である頂上に登った時に朝日を拝む事が出来なかったのが残念だった。次に期待したい。
気を取り直して山を下り始めた時、魔物の群れに出会った。
ショコラを見て逃げる魔物達を追いかけひと薙ぎで倒したり、クレイが剣で倒したりしていたけど二人共楽しそうだった。
その後魔物は時々現れたが近寄って来なかった。ショコラは追いかけて行き倒していた。
魔物は全て回収してある。
2番目の山目指して歩いた。少し遅くなったが麓まで行きその日は休んだ。
山の登り口と反対側に洞窟の入口があったショコラの尻尾がとても嬉しそうに揺れていた。クレイと相談し、討伐依頼の、ダンジョンの探索を先にする事にした。
いつもの順番でショコラ・私・クレイと洞窟の中に入り調査を開始。
ショコラの進みが早く時々ショコラに待って貰った。
突然ショコラが立ち止まり警戒を始めた、思わず緊張してしまいクレイと私は身構えた。
暗闇の先の魔物にショコラが魔力を込め、前足を薙いだら魔物が倒れ、後には魔石が残っていた。
その後もショコラとクレイが活躍し私は魔石の回収に勤しんだ。
四階層に着いた所で食事をしてテントで一泊。翌日食事の後その階層の魔物を倒し次の階層に降りた所ショコラが突然唸りだし、このダンジョンのボス、牛に似た魔物ミノタウロスが居た。
ショコラが魔力を込め前足で薙ぐと、ミノタウロスが倒れた。
ミノタウロスのドロップアイテムは金貨と純度が高い人の頭位有りそうな魔石だ。
「この魔石を売ったら、一生遊んで暮らせそうだね。」
とクレイが笑って言っていた。
此れで調査完了である。
洞窟を出た所で一泊した。
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