我らの後に道は拓ける! 異世界の地図に残るプロジェクト秘話

 「あしょろ組土木」は、若き女社長・足寄茜が率いる地域密着型の土木工事会社。そんな社員十五名が機材や重機ごと異世界に転移してしまった。得意の土木技術を活かし、貴族たちから道路整備の仕事を請け負うことに……。

 私たち現代人にとって綺麗な道は当たり前。しかし、土木技術が未熟な異世界では街と街を繋ぐ街道であっても獣道と同然。そんな異世界で現代技術を駆使して道路を作るという発想が面白いんです。

 茜たち、あしょろ組はベテラン揃いのプロ集団。しかしイチから道路を作るには大変な苦労があります。土地を測量して正確な地図を作り、草刈り機で雑草を刈り、ロードローラーで道をならし、大岩や樹木があれば重機を使って引っこ抜く。さらに異世界ではモンスターの脅威が待ち受ける。ときには茜たちも武器を取って戦い、道を守り抜く。そうした命がけの苦労の末に整った道が出来上がるのです。

 これで生活が便利になる!と人々は喜び、茜たちに感謝する。しかし、どんな称賛の言葉にも、あしょろ組の男たちは決して偉ぶらない。自分のやるべき仕事を当然のようにやっただけなのだから。そんな裏方の誇りを持つ仕事人たちの姿がかっこいいのです!

 名もなき土木作業員が道なき道を行き、歴史を刻む異世界ファンタジーです。


(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)