箔をつけるとある。
所謂、高い価値や貫禄をつけるという。
良し悪し関係なく。
人は、価値をつけたがるもの、意味を求めたがるもの、先を進みたがるもの。長生きしたがるもの。
この手のホラーでいう不審者とは、非業の死を遂げた怨霊であったり、恨み辛みの悪霊や地縛霊が定番である。
特に舞台が舞台なので、その手のホラーであると抱かせる。
ところがだ、確かに恐怖はある。死だってある。あるのだが、その手の定番で揺さぶるが、本命の恐怖は別にあるのだから油断ならない。
怪異の形といえば、その発想はあっただろう。
あったが怪異として出て来るのが、基本だから、あの形なのは油断していた。
確かに言えるのは、これは底が見えない、ああ、恐ろしい。
ブームになっているホラーの裏で、モキュメンタリー作家、あるいは、実話怪談系と言われる動画配信者の裏側を垣間見ることのできるホラー作品。
モキュメンタリー映像作家の那海とくららのもとに、存在しない怪異を作ってほしいと依頼が来る。それもヤクザから。
迷惑系動画配信者やチンピラ、ヤクザはホラー作品で良く死ぬが、モキュメンタリー系動画配信者は死なない。すべてが嘘だから。そうして、モキュメンタリーの外側で、仕掛け人として動くはずの那海達にも、当然、怪奇現象は迫る。この世に安全地帯などない、恐ろしいことに。
また、ヤクザが依頼人な点も、裏の見どころだ。ヤクザが何人死ぬのかも楽しみに待っている。