第8話 僕は小説の他にも衝撃の漫画原稿に出合った

 翌日の放課後になると、僕は高橋さんと一緒に文芸部の部室に向かうこととなった。

 なかなか不釣り合いな組み合わせに、廊下ですれ違う視線は一様に冷たかった。


 それでも部室に入ると、それなりに温かく迎えられた。

「みんなぁ、注目だよ。こちらが入部してくれる佐藤君」


 廃部の危機だったことは、事実だったようだ。

 部長の高橋さんを含めて、女子四名が出迎えてくれた。

 部活の規定では五人以上となっていたから、僕は五番目の部員として収まった。


 しかし陰キャな僕にとっては、かなり居た堪れなかった。

 周りが女子だけの環境なんて免疫が無いのに、意外にも相手からは気軽に声を掛けてくるのだ。

 当然初日は、執筆活動など手に付かなかった。


 僕は文芸部ってところは、本を読んでイベント時期に小説を書く程度にしか考えてなかったけど、実際には漫画を描く人が二人もいた。

 田村さんと悠木さんだ。

 二人とも、僕の入部をひどく喜んだ。

「これで心置きなく、男子のデッサンが出来るわ」


 僕はポーズを取らされる訳でも無かったのだが、時々近くに来ては何やらデッサンノートに描いている。

 どんな作品を書いているのだろうか? と気になって覗きに行ったら、タブレットに描かれている漫画原稿には、キラキラした男子ばっかりの漫画が描かれていた。

 モノクロなのに、なぜか肌色成分が多い作品だった。


 あのキラキラしたキャラのモデルが、僕である事実を知った時は途轍もなく悲しくなった。

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