第7話 僕は小説の事に思いを馳せつつ入部を決めた

 僕は至極、普通の陰キャだ。

 何故だろう。それでも文芸部に入部することに決めてしまった。

 決して高橋さんとお友達になりたかったから、なんて理由ではない……と思う。


(どうせ陰キャの僕には高嶺の花過ぎて、哀れみから『お友達ごっこ』を持ち掛けてきたのだろうが、それでは全てが間違ってる)


「それと条件が二つあるんだ。一つは来年に新入生を勧誘できるまでの期間限定ってこと。もう一つは文芸部の文化祭だの、新歓だのっていう文芸誌や小冊子には一切寄稿しない。それが条件だ」


 言い終わると、高橋さんは満面の笑みで答えた。

「全部りょっ了解だよ。この時期にどこの部活にも入っていない生徒って、レアキャラなんだよ。ただし学期末と新歓後って、生徒会やら教師やらの活動チェックが入るから、毎日部室には来てねっ。私も生徒会に入るまで、抜き打ちの査察が入るなんて知らなかったから、結構焦っちゃってたの」


 まぁ何だかんだで、今後の放課後は図書室では無くて、文芸部の部室に顔を出す事になってしまった。

 幸い文芸部の部室は、図書室からさほど離れていない空き教室であることを知った。


 今後の学生生活も、余り変わらずに過ごせそうだ。

 その時は、そんな風に気楽に考えていたんだ。

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