第34話 音楽ステーション①
>>仁美Side
音楽ステーションは、黒サングラスを掛けたダンディなオジサンが話題の音楽やこれからリリースする曲を紹介する番組だ。
呼ばれるのも、話題になった音楽グループやリリース直前のグループが多い。
後は、私みたいに視聴率が取れそうなキャラが看板として呼ばれる。
「ウクレレエコノミストの上草です、宜しくお願い致します」
私の前の人はウクレレを弾きながら、経済について語る人気エコノミスト。
ただ、何というか、リハーサルの時からこいつの目線が全て女性の太ももに言ってて目線が全てに置いて気持ち悪い。
むかしの、魔王だった私が人間界に行ったときに高位貴族が庶民の娘を手籠めにするために馬車から除くようなネットリとした気持ちが悪い視線である。
早めに、こういう悪い者は外科的な処置で人間界から排除しないと後でトンデモナイ事になると思いつつ、私は一計を案ずることにした。
(
無詠唱でこの男に術を掛けながら立ち上がると自己紹介をする。
『スター事務所所属の
カテーシをしながら人間界で男達が大好きな絶対領域を少し上げる。
「ローアングル、ローアングル」
興奮する声と共に上草というエコノミストがうつ伏せになってスマホをカシャカシャ鳴らし私の足元に居た。
目が合って、確信した。あ、これ、完全にダメな奴だと。
術が強すぎたのか、こいつの欲望が強すぎたのか理性を焼き切ったようだ。
とりあえず、演技とアドリブで何とか躱すしかないな!
『きゃ、上草さん、何をしているんですか?今、生放送中ですよ』
「私は一向に構わん!もっと、世界経済よりも君のスカートの中を見たい!」
「あんた、何をしているんだ!辞めたまえ!」
私の彼の間に入ったのは、確か現役の刑事の春山さんでモヒカンがトレードマークだった気がする。刑事さんの所属は警視庁の刑事課で今回は音楽をする人達に薬物の怖さについて講義をして貰う予定だった気がする。
そう思っている間に上草さんが立ち上がり春山さんともみ合いになり、私の足元にスマホが転がって来ました。手に取りながら無詠唱で開錠スキルの
「にゃむこお姉ちゃん。落ちてたスマホを拾ったら、写真のフォルダを見たら女の子のパンツが沢山映っている、どうしたら良いの?」
『どれどれ、ひとみっちは見なくて良いからね』
私の両目を左腕で隠してくれました。
こういう時は、年上のお姉ちゃんのにゃむこを使うのが一番良いですからね。
『刑事さんさぁ、これ有名な都内の女子高の生徒のスカート中が写っているじゃない!これ、よく刑事24時でやっている盗撮犯ってやつじゃない?』
「返せ!それは秘密フォルダに入れておいたはず!おのれ、闇の魔法使い、私の秘密の部屋を蛇語で開けたな!」
『そもそもさぁ、なんでこんなに女子高校生のスカートの中、撮るのさ意味わらなくないない?』
「所詮は、低俗で無知無能な冒険者風情が!私のような大学教授とエコノミストのという高貴な職業についている人間は下賤な庶民の生活を覗く権利があるのだよ、誰も気が付ていないなら、それは犯罪でも何でも無いんだよ!」
『でも、さぁ、この番組はゴールデンで、今全国に放送中だよ。日本全国が気が付いちゃったよオジサン、どうするの?潔くお縄についたらにゃ?』
滅茶苦茶虐めたいドヤ顔でエコノミストのオジサンにスマホをヒラヒラさせながらにゃむこは煽りまくっているけど、ちょと、これは不味いかもしれない。
ここまで煽りながら、現状を理解させられたら、人間という生き物は一巡して、冷静になってからの逃走を始めるはず、そして逃走にはもっとも弱い生き物をだしにする。
「はぁ、仕方が無いな、じゃあ、こうするか!」
『おいまて、逃げるな!』
刑事さんが肩に手を掛けながら呼びかけますが、サラリと躱され近くとの観客席の最前列に座っていた女の子の手を取り強引に引っ張ると頬に銀色の物を当てていた。
後に、「音楽ステーション人質事件」と呼ばれる事件の始まりである。
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