#電脳黙死録―GHOST OF THE SECOND/Life~亡霊に全てを奪われた☆1モブな高校生、オカルトが跋扈する終末世界でハーレムを集めて、奪い、犯し、喰らい、生き抜くそうです。

開拓しーや@【新ジャンル】開拓者

第一章 『遺電子にひそむモノども』

天童滋ミクの秘匿カルテ ――『電子霊障』

◆◆◆No.666――診察音声カルテ


患者名:天童滋 ミク

性別:女

年齢:15歳

診察日:【記録から削除されました】


◆◆◆――録音を再生しますか?   

      

       【YES】


 最近ナニか身の回りで変わったことはないか、ですか?


 実はわたし、最近まで犬を飼っていたんです。

 ええ小麦色の柴犬です。


 すごく甘えん坊で、いつも一緒でした。

 でも、去年の冬に病気で死んでしまったんです。

 おかしいですよね。電脳ペットなのに病気なんて。


 小さい頃にパパ――お父様に人付き合いのにがてなわたしのために飼ってくれたんです。

 それからずっと一緒だったんですけど、悪い情報が入っちゃったのか。

 その日からピクリとも動かなくなっちゃったんです。


 高名な遺電子プログラマーの方に直してもらえるように依頼したんですけど、結局ダメで、最後はちゃんとお別れしたつもりだったんです。


 でもやっぱり寂しくて、しばらく気落ちしてたら、ある人がこの『お守り』をくれたんです。

 はい、きれいでしょう? 


 この真っ赤な宝石にお願い事をすれば、きっとあなたの願いはかなうだろうだなんていうんです。


 はじめはええ、半信半疑でした。

 でもどうしても我慢できなくて、わたしこの石にお願いしたんです。


 もう一度だけでいいからペロに会いたいって。


 結局、ペロは帰ってきませんでしたけど、でもその日から、心が軽くなったようなペロが身近にいるんじゃないかって思えるようになったんです。


 それからしばらくしてからでしょうか。

 その――、誰かに見られるようになったんです。

 ええ、ジッとこっちを見ているような視線を感じるようになったんです。

 でも、振り返ると誰もいない。


 本当です! 絶対に気のせいなんかじゃありませんっ!


 最初は誰かのイタズラかなって思ったんです。

 でも信じてもらえないかもしれませんけど、電気が勝手についたり消えたり、携帯端末のポチの写真が勝手に増えてたり、音楽プレイヤーから犬の鳴き声がかすかに聞こえたり、気味の悪いことが増えてって……。


 もちろん最初は、ただの機械トラブルかと思いました。

 でも、そのうち学校でもおかしなことが起こるようになって。


 あの、こんなことお医者さんに相談するのも変かもしれませんけど、クラスの子が突然、悲鳴を上げて「何かに引っかかれた」って言うです。

 見てみると、腕に小さな爪の跡がついてて、わたしの周りでそんなことが何回も起こって、次第にみんな気味悪がって距離を置き始めようになったんです。


 あの! やっぱり、わたしどこかおかしいんですか⁉


 いまも、ほら誰か見ていませんか?

 あそこの診察室の角です。絶対見てます。


 どうしてそんなこと言うんですかッッ⁉ え、なにも言ってない?

 だっていま、一緒に死のうって。

 え、それじゃあ、いまもわたしの頭の中で話しかけてくる人の声はいったい――


「いったい誰なんですかッ! わたしの名前を呼び続けるのはッッ‼」


◆◆◆


――以上、患者の体内汚染率が悪化したため、診療を中断し録音を終了しました。


備考:当患者は被害妄想の幻覚・幻聴症状の疑いアリ。

   当院の緊急特別措置の条項に従い、

   至急、西東サティス医院長の遺電子特別診療を要請します。

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