DIE2話 弓矢の女その6
真夜中、中央病院の向かい側のビルの屋上で、矢邊亞弓(やべ・あゆみ)が立っていた。視力5.0の彼女はガンハンドマンが眠っている病室を確認した。
「ウフフ。ちゃんと眠っているわね」
ガンハンドマンは人工呼吸器を付けたまま微動だにしない。心拍数・血圧の測定音が病室内で響き、他の患者はいなかった。
亞弓は目をこらし、生命維持装置に狙いを定める。標的の心臓を射抜くが確実だが、他殺の痕跡が残るのはマズい。機械が壊れたことにすれば、医療ミスで片付けられる。
彼女が“疾風の弓矢”を放ち、病室の窓ガラスを割り、生命維持装置の本体を破壊した。心拍数・血圧の数値が0になる。ガンハンドマンはあっけなく死んだ。
「これで任務完了」
彼女はきびすを返して昇降口へ向かう。今まで、ガンハンドマンは世界中を渡り歩いていたので、居場所を突き止めるのが難しかった。しかし、とある女子高生のボディガードになったことで、あまり移動しなくなった。定住した殺し屋は格好の標的だった。
世界有数の殺し屋を消したことで、彼女の名声は上がるだろう。もっと大口の依頼が来るかもしれない。そうすれば、ラスベガスで豪遊するのも夢じゃない。彼女の胸は高鳴り、口から血が飛び出した。
「えっ?」
振り返れば、死んだはずのガンハンドマンがアーマライトAR-15の銃口を彼女に向けていた。彼は病室の中から立て続けに発砲した。
「ウ、ウグッ!」
彼女は3発の銃弾を喰らい、血反吐を吐いて膝を付く。彼女はまんまと騙されたのだ!
(続く)
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