第31話 魔物
私の魔力感知で見つけた魔物はゴブリンだった。この世界のゴブリンは最弱のスライムより少し強いだけで戦いやすい魔物だ。確かに群れなんかに成れば面倒だが、二、三匹なら大人一人でも対応出来る。だからペロ爺ちゃん達は冒険者でもないのに森に入れるし、岩塩を採りにも行ける。まぁ山は別だけどね……。
「ゴブリンのようですから、私がやります」
「いやいや、マリア様。幾ら何でも貴方様の御歳でゴブリン三匹は無理ですよ」
「ルーミーさん、そんな事はないと思いますよ。先程岩も削りましたよね」
「え! マリア様はまだ魔力があるんですか? 普通の子供だったらもう魔力切れを起こすほどの魔法を使ってますよ」
まぁ普通の子ならそうでしょうね。ですが私は赤ん坊のころから魔力を増やす訓練をして来ていますからね。少々魔法を使ったぐらいでは魔力切れなんて起こしません。
「ウインドカッター」「ウインドカッター」「ウインドカッター」
「魔法の三連発……」
「ルーミーさんどうです? これなら問題ないでしょ? それじゃ魔石の取り出しだけお願いします。あぁそれと魔物の後処理はどうすれば良いのですか? このまま放置は駄目でしょう?」
基本前世の物語では穴を掘って埋めたり、焼却というのがゴブリンの処理方法。この世界の常識を知らないので元冒険者の奴隷のルーミーに尋ねた。まぁ別にペロ爺ちゃんに聞いても良かったんだけどね。日頃そういう事をやっていそうだからそれでも良かったんだが、やはり専門家の元冒険者に聞く方が常識が分かると思ったの。
「マリア様、こう言うのは場所に寄ります。これぐらいの森の深さなら、放置でも問題ありません。スライムが処理してくれますから。ただもう少し深くなると他の魔物が血の臭いで寄ってきますから、埋めるのが得策です」
そうよね、この辺りにはスライムがかなり多く生息してるものね。村の人がスライム手袋用に討伐してるけど、全然数が減らないと言っていた。正直今のペースでスライムを討伐してたら数が足らなくなるかと思ってたのに、その心配がないのよね。養殖も考えていたけど暫くは大丈夫みたい……。
「ペロ爺ちゃん、この辺りに出る魔物ってどういうのがいるの? 命がけに成るなんて言ってたから一応聞いておくわ?」
「この森ではそうですね……、もう少し奥に入るとボアやウルフが出ます。更に奥に成るとオークですかね。勿論ホーンラビットやスネーク系の魔物もこの辺りはでますよ」
こう言ってはなんだけどペロ爺ちゃんの言った魔物では私は死ぬことはないわね。勿論ゴブリン同様群れで来られると対処に困るかも知れないけど、それ程恐怖を感じる魔物はいない。それにまだ私がチート持ちだという事をみんなは理解してないようだしね。
あれだけ、みんなの前で普通の人では出来ないような事をやってるのに驚きはするけど、それを認めてはくれていないみたい。という事でこの先も魔物が出て来たら即座に私が倒して回収の繰り返しをして行く事にする。ゴブリンはいらんけど……。
そう言えば、うちの村でボアの話は聞いた事あるけど、ウルフの話は出た事無いわね。勿論オークの話もね。
「ペロ爺ちゃん、この辺りでゴブリンやオークが群れを作った事はないの?」
「マリア様、うちの村が出来てからは聞いたことないですね」
そうよね、そんなのが出来たらうちの村だけじゃ対処できないから、冒険者に依頼するしかないけど、そんなお金うちには無いものね。でもそこが確かに不思議なのよ。私の前世の知識だとこういう辺境の森や山の近くと言えば狂暴な魔物がわんさかいるというイメージなのよね。
まして冒険者や領地の従士なんかが定期的に狩りをしないとゴブリンやオークが集落を作るというのが定番。それがないというのがどうしても腑に落ちない。そうなると考えられるのは魔素が薄いという線なのよね。魔物が狂暴で多い所というのは魔素が濃いというのが定番だから、その逆と考える方が辻褄が合う。
でもそれならなんで魔素が薄いんだろう……?
「ルーミーさん、今までの経験上ここって異常じゃない?」
「そうですね。正直言わせて貰えば先程からおかしいとは思っていました。こんな魔物しかいないのはおかし過ぎます。これだと大きな町の付近と同じぐらいです」
そうだよね、大きな町の付近なら冒険者や騎士や兵士が巡回してるからこのぐらいでもおかしくないけど、これだけ辺境なのにこれはね……。あぁそう言えばこの世界にダンジョンってあるのかしら? 何故か今の今まですっぽり頭の中から消えていました。だけど兎に角、私の知識は前世頼りなんだからどうしようもない。無いものを聞けばおかしく思われるからダンジョンなんて不用意には聞けない。
「ルーミーさん、それって魔素が薄いからですかね?」
「マリア様、魔素というのはなんですか?」
え! 魔素という言葉もないの? 魔力という言葉はあるのに魔素はないの? どう考えてもありそうな言葉なのにどうして? そうするとこの世界では空気中に存在する魔素も魔力と呼んでいるということなんだ。でも魔物の魔力にある悪魔素や家畜や人間にある善魔素の事を村人に話した時は何も言ってなかったけどな……。
「魔素というのはこの世界の何処にでもある魔力の事よ」
「あぁそれでしたら分かります。そうですね薄いというのは確かでしょう。魔力が濃い所には強い魔物が発生したり多くの魔物が存在しますから……」
う~~ん、これでもダンジョンの名前が出てこないという事は、この世界にダンジョンは存在しない可能性が高いわね。うちは貧乏だから魔道具なんて存在しないけど、魔法の分野はこの世界、割と進んでいるから存在するんだろうな。だって魔法契約書なんてものがあるからね。
この世界の常識が少しずつ分かって来たけど、まだまだ不十分。聞くに聞けない事が多過ぎていまいち捗らない。どうにかして書物を手に入れないとどうしようもないね。だけどね~~~今はそれどころじゃないのよね……。
そう言えば書物で思い出したけど、この国には貴族の学校とかあるのかしら? まさか乙女ゲームの世界なんて言う事はないわよね。田舎の貧乏貴族がヒロインなんていう物語なんてありそうじゃない。まぁ逆に悪役令嬢というのもあり得るけど……。
でもな~~、私のチートってどちらかと言うと物作り系か冒険ものよりだから、乙女ゲーという線は薄いのよね。
そんな余計な事を考えていたらまた私の魔力感知に魔物の反応があり、討伐に向かった。わざわざ行かなくても良いのにね……。
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