第14話 新たな発見の予感

 スライム手袋の追加注文が入ったので取り敢えずは今残っている家畜の獣脂で作れるだけ作ってケインに持って行かせたけど、いつまでそれが持つか分からないから、例の実験を早急にやらなければならない。


 先ずは家畜の獣脂に魔力があるのか? ――簡単に言っていますが、先ずここからつまづくんです。当然のようにどうやって調べるのになるわけ? 前世のガイガーカウンターとか金属探知機のような魔力探知機は無いんだから現状調べようがないんです。


 私に転生チートでもあれば魔力感知のスキルとか持っていたりするんでしょうが、洗礼前だし持っていないのはステータスで確認済みなのです……。


 あれ? そう言えば私の唯一の取り得は魔力循環と放出だよね。だったら魔力の吸収は出来ないの? でもそれが出来たら魔力量を増やす必要がなくなるよね。使ったら吸収を繰り返せば……? いやいやこれも違うね。もし大魔法に使う魔力が膨大なら使いながら吸収出来ない限り基本魔力が多くないと初めから大魔法は無理という事になる。そうなるとやはり魔力を増やすことも大事だね。


 あぁ~~、私の何時もの悪い癖が出ちゃった。また本題からずれてるよ。今はそんな場合じゃないでしょ。獣脂の魔力の事でしょ……。本当に昔からっていや前世からだけど何時もこうだったのよね……。


 気持ちを切り替えて、う~~ん、私の特技は魔力の循環と放出。それって自分のだけど魔力を良く認識してるって事だよね。それなら他人や動物、魔物の魔力も認識できるんじゃない? 触ればという限定付きだけど。


 でもその仮説があっていても生きてる物じゃないと無理なんじゃないかな? 死んでる物は魔力が全く動いていないだろうから。そうなればそれを確かめるにはただ一つ! 家畜に触れて魔力を感じてみるしかない。という事で、


まーちゃマーサ! おでかけちゅるお出かけする


 惜しい、もうちょっとで真面に話せそうだったのに。くそ~、おっとこれははしたない。それはさておき以前から村の中なら自由に行けてたんですが、逆に最近は何処へ行くのかを言わないと出掛けさせてくれなくなったのです。水車小屋の件があるので勝手に一人で行かないようにという事みたいですが。


「マリア様、今日はどちらへ」


ぺろじっちゃのちょこペロ爺ちゃんの所


「あれ? ペロさんの所? お孫さんのサリーちゃんの所ではないのですか?」


ちぎゃう違うサリーきょういにゃいサリー今日いない


「マリア様、でもペロさんもいなんじゃないですか? 水車小屋にいる筈ですから」


きょうはぶちゃさんにあいにいきゅ今日は豚さんに会いに行く


「豚に? まさかペロさんがいないうちに豚を食べる気じゃ」


「はぁ~~、しょんなわけあるきゃ!そんなわけあるか!


 時々マーサはこんな頓珍漢な事をいう。四歳の子供が豚を一人で処理できる訳ないでしょ。もしそんな事出来てもペロ爺ちゃんに殺されるわ!


「それじゃ何をしに行くんですか? 誰もいないのに豚にあって何をする気ですか?」


 なんですか? その疑うような目は、まさか本気で私が豚を食べるとでも思ってるの? 頓珍漢な事を言うのには慣れてるけど、流石に本気で言ってきたことはないけどまさか今回は本気なの?


ペロじっちゃにょペロ爺ちゃんのぶちゃしゃんでじっけん豚さんで実験!!」


「その豚で何の実験をするんですか?」


「あぁ~~! もういい! いってくりゅ行って来る!」


 惜しい! またもやもうちょっとで真面に喋れたのに、最後でとちった! 普通興奮すると噛んだりするもんですが、私の場合は興奮した方が逆に良いみたい。これからは常に興奮状態で話せば良いのか? いや流石にそれじゃおバカなヒステリック幼女だね……。


 という事で、何故か今日は変に絡んで来たマーサでしたが、面倒くさいので、相手にするのを止めて、目的のペロ爺ちゃんの家にやって来ました。ペロ爺ちゃんは私が生まれる前に奥さんを亡くしてるから、今は仕事をしてる息子さん夫婦と孫のサリーと暮らしてるので、ペロ爺ちゃんとサリーが出掛けてたら昼間は家に誰もいないのです。


ぶーたしゃんブータさんげんき元気?? ちょーとさわらしぇちぇちょーと触らせて


 お! この豚さん大人しいね。異世界の豚さんだからちょっと怖かったけど、これなら触っても大丈夫そう。


 先ずは、どうしよう? 触っただけで魔力を感じられるかな? 「ぺた」ふ~~ん、豚さんって意外に体温が高いのね。あったか~~い。いやいやまた横道に……。気を取り直して、ん~~~? 分からないな……。ただ呼吸をしてるだけだね……。


 それじゃ、今度は私の得意な魔力の放出をやってみるか。それも両手で、「ペタ」 魔力の放出は出来てるけど、この魔力って何処に行ってるの? あれ? あれ? あれれ~~? これは魔力が循環してる? これってもしかして豚さんの中で一周して私に魔力が戻ってるの? でもその割にそんなに違和感がないね。当然この状態で分かるけど豚にも魔力はあるという事。本当に微妙だけど違う物が私の魔力に混じってるのが分かるもの。


 でもこの方法じゃ、魔物の魔力を少しでも私は吸収してしまう事になる。まぁ現状豚さんの魔力も吸収してるけど……。ん? 混じってる? でも魔力量に変化なし。という事はこれ吸収してるんじゃなく交換してるって事に近いか?


 そうなるとこの豚さんの魔力はずっとこのままなの? いやそんな事はないよね。魔力は使い切れるんだから……。


「あにょ?」


 何だかさっきからこの豚さん気持ちよさそうにしてるけど、この魔力循環に何か効果があるの? 


 まただよ……、今はそれ関係ないから置いといて、この方法で魔物と魔力の交換をしたら私はどうなる? それなら交換しながら放出して捨てれば良いんじゃ? まぁ限界まではいかないけどね。でもその夜に全放出して昏倒すれば綺麗さっぱり無くなるよね? 何も影響ないよね? 魔物に成ったりしないよね?


 そんなに怖いならやるなだね。はい、ごもっともです。


 こうなったら全く違う別のアプローチを考えるか。でも獣脂以外の油となると上手く作れるかも分からないし、売る時に高額に成ってしまうよね。じゃ、やっぱり魔物の獣脂の魔力の性質を変える別の方法を考えるしかないの? ん! それって料理の時の素材の灰汁抜きに似てない? 魔力としては同じなんだけど性質が違うなら、魔物の魔力に余計な物があると思えば良いんじゃない。


 料理の灰汁抜きなら、灰やぬか⁉ いやいやこれは料理の話だよ。まさかこんなもんで魔物の魔力にある灰汁のような物は抜けないでしょ……? でもこれってアリかも! 実際これを料理で使って見て魔物の料理に変化が出たら、可能性が出て来る。


 実際、この世界に家畜が存在するのは、家畜の方が美味しいからだ。魔物はどうしても野性味が残っているので安いけど美味しくない。命がけで獲ってるのに割に合わないけどね。


 これをもし成功すれば一石何丁もの利益が出るね。これは試してみる価値ありだ……。


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