第9話 川の魔物とスライム

 川に水車の設置場所を決めに来たら、ピラニアみたいな魚の魔物が襲って来たんだけど、ペロ爺ちゃんがいとも簡単にそれを追い払ったので、それを見た私はどうしてもそれが川を利用しない理由に思えなかった。まして何故それを食料にしないのかという疑問が湧いてしまった。


ペロじっちゃペロ爺ちゃんしゃっきのありぇたべれりゅ?さっきのあれ食べれる?


「あれは食えねぇな。毒があるから。というより、マリア様、この川の魔物は全部毒があるから食えねぇんだ」


 毒! それは私にとって専門分野じゃない! その毒とやらは魔物の何処にあってどんな物なの。前世の食用に出来るフグのように毒のある場所が限定されてるのか、それとも食用に適さない全身毒だらけのような物なのか非常に興味が湧きますよ。


 前世で食用に適さないものと言われるものは殆どが主に食用にする筋肉に毒があるものや血液に毒があるもの。元々食べる所に毒があったらどうしようもないし、血液にあると殆ど捌くことが出来ないから不可能に近い。ただ毒性が低くて洗えば何とかなる物はあるけどね。


ペロじっちゃペロ爺ちゃんどきょにどきゅありゅ?何処に毒ある?


「何処に? そこまでは知らないな。昔からこの川の魔物には毒があるから食べてはいけないと言われてるだけだからな。な、エマさん」


「えぇ、そうですよ、マリア様。私の祖父の時代のもっと前からそう言われています」


 ピキ~~ン! 閃いた! これってあれじゃないかな。一番初めに食べた人が毒にやられて、次に食べた人もまた毒にやられたから全部に毒があると決めつけたパターンじゃない。まして前世のアユのように内臓まで食べたとしたら、毒にやられ易くなる。特にここは川だし、そんな大昔に川の大きな魔物を捕獲するなんて出来ないからどうせ小さな魚の魔物を食べたに違いないからね。最悪、死骸を食べたという事も考えられる。


ペロじっちゃペロ爺ちゃんちゅぎまもにょきゅたりゃ次に魔物が来たらりゅくにおとしちぇ陸に落として


「そりゃ良いですけど、何をするんですか?」


そりぇはみゅてにょおちゃのしみそれは見てのお楽しみ


 ペロ爺ちゃんにこんなお願いをした後、そのままそこにいても勿体ないので、水車を作る所決める為、川沿いを地形を確認しながら暫く歩いた。すると今度は陸の最弱魔物の定番スライムが登場、みんなが気づいていなかったので、河原の石を拾って遊びのつもりで思いっきり投げたら、三歳児にしてはあり得ない速度で飛んで行きなんとスライムの核に命中、スライムが液状になってしまった。


「あにょ?」


「マ、マリア様! 今スライムをやったのはマリア様ですか?」


「うん」


「あ、あり得ん……」


 何でと言いたいのは私の方? 私はスライムを倒したぐらいでこんなに驚いている二人の方に驚いている。私としては所詮スライムでしょという感覚だからね。それよりも私が何でと思ってる事はあの石の早さの方。どう見ても四歳児が投げたスピードではなかったからね。


 確かに前世では養護院で育ったから、小さい時から男の子達と石を投げたりして遊んでいたので投げるのは得意だった。だけどそれは前世の事で今世には関係ない。まぁ多少は投げ方を覚えているから、体がそれについて来たとも思えるが、あれは少し異常です。


 もしや? これは異世界物に良くある身体強化か投擲スキルというやつでしょうか? でも私にスキルがないのは確認済みだしな~~、身体強化なんて練習した事もないからね。じゃ何でという事に落ち付くわけですが、理由は必ずある筈。


 こういう時は薬学者だった頃を思い出して、基本に立ち返り自分の頭で考える。これは私が薬の研究をしてる時に何時も心掛けていた事。分からない事、研究に行き詰った時そんな時はこうしてた。という事で転生してからを振り返ってみた。私が転生してからした事は……、そんなに多くないから直ぐに答えは出た。そう今私がみんなと違う所がそれを証明していた。


 名前 マリア・フォン・シュガー

 種族 人間

 年齢 四歳(7か月)

 状態 良好

 職業 領主(仮)

 レベル1

 HP 30/30  

 MP 2310/2310 

 スキル      

 魔法 ー 

(固有スキル) 領地経営ステータス

 称号 ー 


 答えが出るまでの回想


 基本と言えばこの世界ではステータス。という事で再確認、そして気づく、私のMPは異常に多い。それは記憶を思い出してからずっと続けてる魔力循環と魔力放出の結果。魔法を使いたくて始めた事だけど、魔法が使えなくてもMPを増やすことは出来たので、ずっと続けてる。赤ちゃんの時は物凄く暇だったしね。


 そしてその副産物? と言って良いのか分からないけど、今では魔力放出を体のどこからでも出来る。勿論初めは、一般的な手のひらからやってたんだけど、指から出せたらカッコイイよねから始まり、次から次と色んな所から出すように練習した。今ではロボットのように目からも放出出来る。


 ん! これが原因? 私は今現在も魔力循環をしている。これはもう習慣に成っていて、放出は場所と時間を考えてやるけど何時か魔法が使えるようになった時の為に、何時でも発動出来るように常時循環だけはやっている。


 循環が影響した? 魔法が使えないから身体強化に成っていないけど、魔法が使えるようになったらこれが身体強化のやり方なのかも? そうなったら本当に魔法だなと実感出来るぐらいの違いが出るけど、今はこの程度と考えれ納得出来る。


 回想終了


 魔力循環がこんな効果をもたらすとはこれは一つ良い事を発見した。これは研究の価値ありだね。それには実験台が必要だからサリーに魔力循環を教えて観察してみよう。うひゃひゃ、どんな結果が出るか楽しみ。


 ここに将来の親友であり良き理解者になってくれる犠牲者が誕生することが決まった。なんか意味のおかしい事を言っているが将来そうなるのです。実際に……。だって魔力循環を教えるという事は当然放出もいずれ教える事になるから、サリーのMPも他の人とは違ってくるのです。そうなればもうサリーの人生はある意味決まったような物。仮にも領主にそんな事を教えられれば、頼みごとをされたら断れなくなるでしょ。結果、腐れ縁のように離れられなくなるのです……。


「マリア様、何キョトンとしてるんですか? 普通スライムはそう簡単に倒せないんですよ。攻撃力が弱いから大人なら力ずくで対処出来ますが、弱いですが酸の液を出しますから、最低でも木の棒で思いっきり何度も殴らないと無理です。子供だと確実に怪我をします。子供の力では木の棒を使ってもどうやっても倒すことは出来ないのがスライムです。あの外皮は弾力が非常にあるから突き破れないのです」


 何だか、エマが言ってる事に矛盾を感じる? この人達はスライムの倒し方を知らないの? スライムは核を壊せば良いという事を……?


 いや~~、まさかね……。でも核を壊す=外皮は破れてるからどっちとも取れるのか。そう結論を出した時、


「こいつら油断すると復活する事があるから厄介なんですよね」


 アホ! 馬鹿! 間抜け! 気づけ! ……。私は頭の中で言えるだけの悪口を言っていた。


 そうか! 毎回じゃないから気づかないのか? 多分核が残っていても条件が揃わないと復活しないんだ。これなら仕方がないかって! 誰がそんな事いうか! 

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