第7話 水車と夢
初めての米の試食は私が残りのおにぎりを全部食べてしまうという落ちで終ってしまったが、概ね皆の評価は良かったので、この後はこれをどうエマに伝えて、どう広めるかが課題です。
勿論、この米を白米に近くする為には麦より手間が掛かるので、そこをどうするかも考えないといけない。本来は水車を作るまでは木臼での籾摺りだけで、玄米を食べるつもりだったけど、ペロ爺ちゃんがある意味余計な事をしてくれたので、美味しい米の味を皆に知られたから、当分は玄米でと言い辛くなった。
「
「マリア様! これは凄いじゃないですか! これを皆さんに広めれば、今年の食料に困りませんよ!」
改めてこの状況についてエマには言い訳をしておかないと行けないと思い、経緯を伝えようとしたら、興奮したエマが私の言葉を遮り、米を広めようと言い出しました。まぁ言い訳が必要ないならこのまま話を進めても良いのですが、流石に米はそう簡単ではないからちゃんと説明をしようともう一度話そうとしたら、
「
「エマさん、この米はそう簡単ではないぞ。実は……」
私が話し出そうとしたら今度はペロ爺ちゃんが私の言葉を遮って米についてこれまでの事を話し出した。もう! 私の出る幕ないじゃん! まぁ上手く話せないから良いんだけどね……。
「そうでしたか。それは少し困りますね。それ程時間が掛るなら、そう簡単には広められませんね。まぁ食べる物が無くなれば仕方なくやるしかないですが、そうすると日頃の作業に逆に支障が出ますね。そしたら来年も不作になってしまって本末転倒です」
「
「マリア様、玄米ってあの白くなる前の米だな。でもそれで美味しいのか?」
う~~ん、確かに美味しいかと聞かれた白米に比べて美味しいとは言えない。勿論玄米には栄養が多くあるから、病気予防にもなるので全否定は出来ない。どう答えたら良いかな? 白米にするなら水車は必須だもんね。
「
「マリア様、どっちなんだい?」
「こちょばにょちょおり」《言葉の通り》
「それじゃ分からないから聞いてるんだがな……」
「
「おお、まだ残ってたか。それじゃ早速マリア様の真似をしてやってみるか」
私が玄米の味の表現を曖昧にしてしまったので、サリーがまだ残っていた玄米の状態の米をペロ爺ちゃんに渡してもう一度米を炊くことになった。まぁそうなってしまったものは仕方がないので、玄米は玄米の炊き方があるので私がペロ爺ちゃんに指導しながら、玄米を炊き上げた。
そして皆で試食したが、
「成程な、マリア様の言ってる意味が分かった。これは確かに美味しくはないけど不味くもない」
「でも、これではね……」
「
「マリア様の言う通りですが、何時か白い米を知ったら恨まれますよ。マリア様は何時かそうするつもりなんでしょ?」
そうなんだよね~~、何時かは水車を作って白米にしようと思ってるから、それを私がやったら元々知ってたのかという事になるからね。それに正直私の感覚では何故か前世よりこちらの世界の白米は特別美味しく感じるんだよ。逆に玄米はその逆で本当に美味しくない。こんなに差がある何ておかしいでしょ! 何でよ~~~!
う~~ん、こうなったら一気に水車まで行った方が良いの? 水車まで行けば今後も凄く役に立つのは分かってるんだよね。麦や米に限らず、他の物も粉に出来るし、設置する場所によっては灌漑などのにも使えるから用途が多い。
ん? そう言えばこの村に水車はないけど、この世界にはあるの? 私は根本的な所を忘れていたよ。馬車はあるんだからありそうなものだけど、前世日本では水車は意外に出来るのが遅かったのよね。前世西洋では水車(紀元前)、馬車、牛車の順だけど、日本では牛車、水車(中世)、馬車の順なのよ。さてこの世界、いいえ、この地域ではどうなだろう?
「
私はこう言いながら何時ものように地面に絵を描いてペロ爺ちゃんに聞いてみた。爺ちゃんは木工が得意だからもしかしたら知ってるかも知れないからね。
「う~~ん、見た事はないけどこういう物があるというのは聞いたことがあるな」
「
水車があるのに何故この村にはない? 考えらえるのは予算と人手の問題か。うちの領は貧乏だし人口も少なく、良くある貧乏暇なし状態だから、作れなかったのか? まぁ他にも理由はあるかもだけど、一番はこれだろうね。
あれ? そうすると今年はある意味チャンス? 麦が不作だったから、米を食べないといけない状態だし、麦が不作だった分もう刈り入れは終わってるから皆の手が空いている。予算はないけど、皆の食べる物を確保する為だと言えば皆は協力してくれないかな? 材料から皆で揃えればなんとかならない?
この世界の文明的にまだ防水処理なんか出来ないだろうから、木材も生木のまま使った方が長持ちするでしょ。後は何処にどんな水車を作るかだよね。ただ水車小屋は木材が生木じゃ駄目だし、中の構造に使う木材もちゃんとした物じゃないと壊れやすくなってしまう。生木は変化しやすいからね。まぁ最悪は壊れるの前提で急場しのぎというのもありだね。お金ないもん!
「それがどうしたんだ? マリア様?」
「
「マリア様、先程から色々と言われていますし、米を食べようなどという発想は何処から来てるのですか? お恥ずかしい話ですが私達はそんな教育した事もありませんし、うちにはそんな事が書かれた本もありません。ましてマリア様はまだ文字の読み書きも出来ない筈です。どうしてですか?」
まぁこうなるよね。エマからしたらおかしな事ばかりだもんね。積み木の時はそこまで気にしなかったかも知れませんが、流石に今回は四歳児の考える事じゃない。さてどう誤魔化そうか? 前世の記憶があるなんて言っても信じないだろうし、私にはチートもないからね。ここは一般的な誤魔化しで行くしかないかな?
これが一般的と言えるかは分からないけど、これしか思いつかない。
「
「夢ですか~~?」
「エマさん! それって神のお告げ、信託の部類じゃ」
「
ペロ爺ちゃん! 変な方向に持って行かないで、その方向に持って行かれるのが一番困るのが、この誤魔化し方法なんだから……。
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