第6話マザー、ガバい我が子認定と供物プレッシャーを与える

「それよりも早く席に座りません?

座らないと彼女達も反応に困りますし、ね?」


「まぁまぁ! 吾子あごを困らせるのは駄目ねぇ。

座ったら次は何をしたらいいのかしらぁ?」


「あ、吾子? まぁいいや。

後は飲み物とお腹空いてるなら軽い食事も頼めますよ」


「ちょうど少し空いてきたなぁと思ったのよ。いいタイミングねぇ」


そこでようやくメイドの仕事を始めれると動き出し、メニューを見やすいように持って支えてくれる。


「まぁ! お母さんを気遣って持って見せてくれるなんて、とっても優しい吾子ね!」


「あ、ありがとうございます?(あごって何!?)」


「何で急に呼称をお母さん呼びに変えたのか分からないけど、早くメニュー決めましょ決めましょ」


「メニューと言われても、どんな味なのか私全く分からないわぁ? だから初心者の私でも楽しめそうな供物を所望したいわねぇ?

ねぇ、吾子のオススメならお母さん喜んで食べるわよ?」


「え? あ? え? ……え〜と、かしこまりました。お嬢様の分はこちらで選ばせていただきますね? (くもつって何!?)」


「彼女は軽食どころか洋食の経験も無ければ、洋菓子もクッキーとかの焼き菓子タイプくらいしか経験ないと思うんでそんな人でも楽しめそうな組み合わせにしてあげて下さい」


「な、なるほど? かしこまりました、その様にさせていただきます(何その難易度!?

外人顔なのに洋食の経験ないとか何!?

焼き菓子以外の菓子経験ないとか現代で有り得るぅ!?

てーんちょー! たっけてぇえぇ!? )」


「焼き菓子? ウルクのメルスかしら? それとも全く違う菓子かしら?

どんな物なのかとても楽しみね♪

軽い食事って事だから、スムグとカスーとニンダとムーかしら?

文化が違うからこれも似た物かしらね?

ますます楽しみだわ♪」


思わぬ無理難題な要求になってしまい、注文を取りに来たメイドの顔が一瞬ガッツリ引き攣ったが、そこはプロ精神働かせて何とか全力で誤魔化す、あっぱれなメイド魂。


「僕はこの午後の紅茶タイムセットCでよろしく」


「かしこまりました、若様(こっちは普通に指定してくれて良かったぁぁ)」


男性側は普通に注文してくれた事にホッと安心しながら、受けた注文を厨房に伝えに行くがベテランメイド長とたまたま居たオーナー店長に相談ダッシュしたのは言うまでもない。

そして相談された2人が唸りつつもメニューにないド初心者向けセットを急ぎ組み立て、何とかお出し出来る状態に。


(あごとか、くもつとか、誰に聞いたらいいの? 教えてメイド長ぉぉぉ!)






〜高天原〜



「ここ日ノ本ぉぉぉ! そのメイドうちの子ぉぉおぉ!

我が子言いながらメソポタミアに引き抜こーとすんじゃねぇぇ!?」


「姉上、言葉遣い荒れとる荒れとる」


「流石に目の前で子の引き抜きされちゃ、言葉遣いなんざヤンキーにもなるわぁぁ!」


高速で連続破裂音を神製サンドバッグに叩き込むいつもの天照大御神と、それを眺めてる弟の素戔嗚尊のスサ。

かの女神が来てから恒例の光景となっている。


「メニューの内容全く分かってないのは当然として、勘違いのまま完全に自分の子認定してんのは無視出来ないけど迂闊な否定出来ないのがツライっ!!」


「まぁ、新たな斜め上か斜め下な勘違い解釈するの目に見えてるから仕方ないんじゃが……わしらも国と民が滅んでおったらああなってたんじゃろか?」


「………神は庇護下の人の子を通して文化知識のアップデートしていくものだからねぇ。

滅んだのか別の地で別の民族としてやり直したのかは知らないけど、自分と繋がる人の子が居なくなれば停滞するのは当然の事。


うーむ……そう考えると八百万の一柱に混ざってもいいのなら、うちの子と繋がりを作るの認めてもいいかもしれないわね」


「相変わらず姉上は優しいお方じゃ。七福神の前例もあるしよいのでは?」


「ま、この提案は彼女がここに暮らしたいと言い出してからするさね。

それまでは日ノ本自慢の文化を堪能すればいいと思うわ!」


「…今後も姉上の怒号と絶叫が続くと言う訳じゃな?」


「やかましい!」

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ちょっと待って、ティアマトさん! 桜羽灰斗 @Sawa-Haito

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