第3章 7話 会えたけど…
月日は流れ…
梓は、29歳、光は4歳になった。
最近、光が…
「僕のお父さんは、どんな人だったの?」
と…良く聞いてくる。
光には、お父さんは死んだと伝えている。
「お父さんは、優しくて素敵な人だったよ」
そう、伝えてきた…
光に、本当のことは言えない。
でも…いつか本当のことを伝えなければいけない時が来るかもしれない…
それから…
いつものように出勤する前に、光と保育園に向かった。
保育園に行って、先生と話をしていると…
男の人が子どもを連れて、園庭に入って来た。
その親子は、輝いていた…
そして、前世の顔が見えた。
お父さんの方は、元で…
子どもの方は、最初の人生で二男だった子だ。
ここで、会えた…
今回の人生では、元にこんなに早く会えた…
しかも、二男が元の子どもだなんて…
良かったね。
でも、子どももいるってことは…
結婚しているのかもしれない。
やはり…今回も無理なのかな…
「おはようございます」
と挨拶をしてみた。
「おはようございます」
と返事が返ってきた。
それだけでも、嬉しかった。
胸がドキドキして…胸の奥が苦しくなった。
名前も分からない、あの人に恋をするみたいに…
それから、光を送って行った時や、迎えに行った時に
元と二男とは、よく顔を合わせるようになった。
光に聞いてみた。
「ねえねえ、あの男の子って…なんて名前なの?」
「あの子は、
「そうなんだ…光と同い年?」
「ううん、1つ下の組だよ」
「そうなんだね、ありがとう」
そうか…
最近、引っ越して来たのかもな…
色々、聞きたいけど…
聞いてしまうのも怖い気がする。
梓は、話し掛けることも出来ず…
挨拶して、顔を覚えられたくらい…
年度が変わり…
役員を決める時期になった。
保育園の役員だから、そんなに大変な役はないんだけど…
イベントの役員があって、数人がならなければいけない。
役員会に出ない人も多い。
正直、面倒くさいなって思いながら
夜、保育園に向かった。
今日は、保護者が話している間、先生が子どもを見てくれる。
教室に行くと、元がいた。
イベントごとに役員を決めていく。
なかなか決まらないなかで…
元が…
「この日なら、役員できます」
「では、お願いします。あと一人…誰かお願いできませんか?」
梓は、すかさず…
「私、やります」
と、手を挙げた。
「そうですか…では、お願いしますね」
そのイベントは、運動会だ。
保育園前日に、先生と準備をして…
運動会が終わった後の片づけをする。
梓は、元に声を掛けた…
「よろしくお願いします」
「あっ、よろしくお願いします」
それだけだったけど…
運動会は、来月だから
話せるチャンスがあるかもしれない…
そういえば…湊くんのお母さんは、こういう時も来ないんだな…
でも、そういう家庭もあるから…
元さんは、熱心な人なんだ。
それから、保育園で元に会うと…
元の方から、挨拶をしてくれるようになった。
「運動会、もうすぐですね。準備、頑張りましょうね」
「そうですね。頑張りましょう」
「では、準備の時に…」
「はい、さよなら」
「さよなら、湊君もさよなら、またね」
「うん、バイバイ」
なんとか、仲良くなれるといいな…
頑張ろう…
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