第2章 6話 結婚

岳にプロポーズされて…

梓は、どうしようか迷った。



岳はいい人だ…

仕事も辞めなくていいと言ってくれる。

きっと岳と結婚すれば、静かで穏やかな結婚生活が送れるだろう。



でも元のことはどうする?



黙り込んでいると…



「すぐ答えは出せないですよね…返事は、すぐじゃなくてもいいです。考えてみて下さい。ただ…分かって欲しいのは、この結婚が政略結婚だから結婚したいんじゃないんです。僕は…小さい時に貴女に会った時に貴女に一目ぼれしたんです。だから、この話にも応じたんです。でも会ってからも、どんどん貴女を好きになりました。僕は、貴女と結婚したいです」



「お気持ちは、分かりました。考えて…ちゃんと返事はします」



家に、帰ってから…

梓は、考えた…



岳さんは、私のことを好きでいてくれたんだ…

それなのに、その気持ちをずっと言わずに…

距離を保って、ずっと見守ってくれていた。

こんなにいい人は、そういない。



分かっているけど…

どうしても元のことが頭を離れない…



この結婚が断れないことも分かっている。



でも、最初の人生でも、元には39歳で出会った…

私も元も結婚していて…

お互いに離婚してから出会った…

そんな出会い方もある…



もしかしたら、元ももう結婚しているのかもしれない。



数日、考えたけど考えはまとまらず…



叔母が来たから、相談してみた。



「岳さんにプロポーズされたんだ…」



「そうか、ついにね。梓はどうするつもり?」



「岳さんは、いい人だし…結婚したら幸せになると思う。でも…相手が誰じゃなくて、結婚したくない気持ちもある…」



「そうか…逃げちゃえば?」



「逃げたって、父は探し出すでしょ?そう思わない?」



「そうね。兄さんはそういう人だわ」



「例えば、逃げるとして…仕事を捨てたくないの…」



「岳さんは、仕事を辞めろって言ってるの?」



「仕事は続けてもいいって言ってくれた」



「じゃ、いいんじゃない?」



「今どきは、離婚しても何も言われない…嫌になったら離婚すれば?」



「そういう考えもあるか…嫌なら離婚か…」



「それも、あるよ。なるようになるさ!」



叔母には、いつも支えられている。



前世のお母さんの言うことなら…

聞いてみるか…



梓は、結婚することを決意した。



岳に伝えると…



「マジですか?本当に嬉しいです。梓さん…ありがとう。大事にします」



「はい。よろしくお願いします」



それからは、結婚式に向けて…

忙しく過ごした。

招待客も多いし…

衣装も何回も着替えないといけないみたい。



私と岳さんは、そんな大層な結婚式はしたくないけど…

お互いの両親が黙っていない。

結局…

岳と梓は、大がかりな結婚式をした。



政略結婚をした、律(兄)も…

祖父(父)・叔母(母)・駿(長男)・兄(渉)・匠(二男)も来て…

私は、元以外の前世で関わりのあった人達に祝福された。



そして、結婚式で初めて岳の義妹に会った…

義妹は、岳よりも5歳下で…

お父さんの会社に勤めている。



可愛い人…

そういう印象だった。



梓と岳は、岳の両親と一緒に住むように言われたけど…

岳が、2人で暮らしたいと言ってくれて、それだけは阻止してくれた。



これから、岳さんを愛していこう…


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