第2章 4話 婚約者
月日は流れ…
梓が大学3年になって、すぐだった。
父から…
「梓、知り合いの息子さんと会う機会を設けることになった。絶対に行くように…」
「えっ、それって前に言ってた、私の結婚相手の人?」
「そうだ…お前の婚約者だ…」
「そうですか…分かりました」
梓は、そう答えるしかなかった…
父に逆らうと面倒くさいだけだ。
その人に会って…嫌われる態度を取ってしまおう…
そう考えながら…
父と母と、車に乗って行った。
着いた場所は、よくテレビにも出てくるような…
庭園がある料亭だった。
部屋に案内されて…
その部屋に入ると…そこには、若い男の人と両親らしき人がいた。
「お待たせして申し訳ありませんでした。娘の梓です」
「とんでもございません。こちらが息子の
顔を合わせて…お辞儀をする。
その人は、誠実そうで優しそうな人だった…
歳は、23歳…
大学卒業後、お父さんの会社に入って働いているらしい。
お父さんの会社は、誰もが知る会社だ…
一通り…自己紹介等終えて…
「じゃ、そろそろ若い人同士で…」
と、よくある言葉を岳のお母さんが言った。
梓と岳は、外の庭園に行くことになった。
「岳さんは、この結婚に納得してるんですか?」
梓は、嫌われるつもりで、すぐ切り込んだ質問をした。
「正直…納得しているわけではありません…でも、会社のためにそうしなければいけないなら…と思っています」
「そうですか…好きな人とかいないんですか?」
「今は、いないです…梓さんは?」
「私は、好きな人はいませんけど、就職もせずに結婚するのは納得が出来ないんです…」
とりあえず、好きな人はいないと答えた…
「梓さんは、就職したいんですね…それは、僕が提案しますから…そこは、心配しないでください」
岳は、そう言ってくれた…
岳と梓は、小学生の頃に会っているらしく…
梓は、そんなことがあったのは覚えているけど…
岳のことは、全然覚えていなかった。
岳は、よく兄と遊んでいたらしい…
兄の話で盛り上がる…
「そろそろ、戻りますか…梓さん、色々不安もあるかもしれませんが…僕に言ってくれたら僕が出来ることはしますから、言って下さい。結婚するとしても…僕はすぐじゃなくても構いませんから…」
岳は、思ったよりも…いい人だった…
それから、連絡先を教え合って…
いわいる交際というのが始まった…
岳からは、適度な距離感でメールが来る…
会うのも、月に1回くらいだし…
正直、楽だった。
岳は、結婚するとしても社会を知っている人がいい。梓が就職して何年かしてから結婚したいと父に言ったらしい…
それを聞いて…
約束を守ってくれたんだ…
岳さんは、本当にいい人かもしれないと思った。
梓は、就職活動を始めることにした。
とはいえ、どんな会社に勤めたいかも分からない…
父に頼めば、就職もすぐ出来るのかもしれないけど…
どうしても就職は、自分の力でしたかった。
梓は、出版社を受けてみた…
数社受けたけど…その中の1つに内定を貰った。
岳に、就職が決まった話をすると…
「それは、良かった…よく頑張りましたね」
そう言ってくれた…
岳は、本当に優しい人…
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