第1章 9話 やっと会えた…
それから、月日は流れ…
35歳の時に、葵の3人目の子どもが生まれたと聞いて…
病院に行った。
そこにいた男の子は、前世で二男だった子だった…
―――やっと会えたね。
これで、長男にも二男にも会えた…
二男は、
でも、元にはなぜ会えないんだろう…
私も、どんどん歳を取る…
近藤さんの子どもの真は、もう小学生になった。
会いに行くと…
「梓ねえちゃんが来たー!」
って、喜んでくれて…
本当の、叔母のように…扱ってくれる。
翔にも、しょっちゅう会いに行った。
私の愛しい二男だから…
本当は、2人とも子どもとして生まれて来て欲しかった…
でも、結婚しないんだから無理もないか…
出会えただけでも、感謝だね。
それから、元には会えないまま…
月が流れて…
梓は、40歳になった…
川野先生は、退職してから年金生活をしていた。
時々、ご飯を食べに行ったりしてたんだけど…
川野先生から入院したと連絡があった。
慌てて病院に行くと…
心臓の調子が悪いらしい。
「もう、先生!驚いたよー」
「梓ちゃん、ごめんね。心配かけて…」
「それは、いいんだけど…入院の用意はして来たの?」
「それが、あまり出来なくて来たの…悪いけど家に行って要るものを持って来てくれる?買える物は売店で…ごめんね」
「いいんだよ…遠慮しないで」
売店に行こうと病院をウロウロしていた時…
向こうから、車椅子に乗った人が来た…
その姿を見た時…身体に衝撃が走った。
その人は、ずっと会いたかった元だった。
でも、その人の車椅子を押しているのは…奥さんらしき人…
やっと見つけた…
でも、元は結婚してしまっていたようだ。
それから、川野先生のお見舞いに行く度に…
元の姿を見かけた…
共有のスペースにいる姿を見つけ…
梓も、近くに座ってみた。
元は、相当に悪い様子だった。
何とか奥さんに話が聞けないものかと…
チャンスをうかがった…
そして奥さんが、1人で共有スペースでボーっとしているのを見つけ…
話し掛けてみた。
「うちは、母が入院してるんですけど…おたくは、旦那さんが入院されてるんですか?」
奥さんは、驚いたように…梓の顔を見ると…
「あっ…そうなんですよ」
「顔色が悪いですけど…大丈夫ですか?」
そう言うと…奥さんは泣き始めた…
「ごめんなさい…。実は、主人が…もう長くないと言われてしまって…癌なんです」
梓は、衝撃をうけた…
「そうなんですね…それは…ごめんさない。突っ込んだことを聞いてしまって…」
「どんな顔をして、主人に会ったらいいかと…途方に暮れてました。逆に話し掛けて下さってありがとうございます」
「いえいえ、お察しします。私でよければいつでも話を聞きますから…」
やっと、会えた元が…もうすぐ死んでしまうなんて…
なんでなの?
私は、どうしたら?
それから、奥さんと仲良くなった私は、一緒に元に会った…
元は、私のことを全然思い出さない…
会えたとしても…過去のことを知らない元は、まるで他人だった。
こんな状態で愛し合えるなんて出来るわけがない…
それでも、気になって奥さんがいる時に…
元に会いに行った…
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