第1章 2話 児童養護施設へ
梓は、児相から児童養護施設に行くことになった。
母は、まだ仕事も決まっていなくて…すぐには働くことも出来ないから
梓は引き取れないと言ったらしい。
梓は、児相の人に連れられて…児童養護施設に行った。
そこは、わりと少人数の施設だった。
そこで、担当になる先生に会って…梓は驚いた。
その先生は、前世の梓の母だった。
容姿は全然違うのだけど…
梓には、分かる…
前世で、関わった人に会うと…
その人は周りが輝いていて前世の顔が身体の中に浮かぶのだ…
「今日から、担当になる川野と言います。よろしくね」
「はい、よろしくお願いします」
―――お母さんに、久しぶりに会えた…
お母さんが、担当の先生なんだ…
良かった…
川野先生は、ベテラン先生で、歳は30代後半だろうか…
自分の部屋も決まり…荷物も片付けてから…
今度は、園長先生に会いにいくことになった。
園長先生に会って…またまた梓は驚いた…
園長先生は、前世の父だった。
歳は、50代前半くらいかな…
―――お父さん…ここにいたんだね…
2度目の人生で、こんなに早く父と母に会えるとは思ってなかった…
この調子なら、元にも早く会えるんじゃない?
なんとなく、希望も持てた…
園長先生は
「これから家族になるんだからね…何かあったらいつでも言っておいで」
優しく声を掛けてくれた。
梓の、新しい生活が始まった。
施設の生活は、ルールが多かったけど…
現世の父との生活に比べたら…自由だった。
ご飯も、毎日食べられる…
友達も、すぐ出来た…
学校は、近所の学校に行く…
先生も優しくしてくれた。
友達の中には、陰口をたたく人もいたけれど…
梓は、そんなの…へっちゃらだった。
それから、梓は小学生になり、数年が経った…ある日
母が亡くなったと聞いた。
そして、川野先生と葬儀にも行った。
母は、頑張って仕事をしていたみたいだけど…
元々、身体が強い方じゃなかったから…
無理をし過ぎて、病気になったらしい。
でも、母は一度も梓に会いに来てくれなかった…
ただ、一度だけ…電話をしてくれたことがある。
でも、梓は…なかなか話せなかった…
母は電話口で泣いていたのを覚えている。
父は、刑務所から出て…行方不明になったと聞いた。
父の家族は、みんな亡くなっていて…
母は、天涯孤独な人だったらしい。
梓も、同じように…天涯孤独の身となった。
私は、これから1人で生きていかないといけない…
でも、私には過去の記憶があるから…
それは、武器になるはずだ…
園長先生と川野先生は、本当に優しかった。
2人は、梓のことは何も知らないのに…
本当の父と母のように、甘えられた…
梓は、施設から高校まで通わせて貰った。
高校では、何人かに告白をされた。
でも…私には、目的がある。
それは、元に会うこと…
ここで、誰かと付き合ったりしたら
元に会った時に困ることになるかもしれない…
だから…梓は、誰かと付き合うわけにいかなかったから
告白されても…好きな人がいるからと断った。
あれから…
色々な人と会ったけど…
前世で関わりのあった人とは…
渉と父と母以外…会えていない。
元と本当に会えるのだろうかと…
梓は、不安になった…
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