ある意味の天国
借金を抱えている。
俺は騙された。最愛の人に。借金の肩代わりになってしまった。
働いてはいるが、暮らしはもうまともにはできない。人生において返せる額でもない。
絶望している。彼女を訴えることはできない。
彼女はうまく逃げてしまった。
迷っていた。自室で気晴らしにコーヒを飲む。
すると、家のチャイムがなった。
俺はゆっくりと扉を開けた。
軋む音を立てながら扉が開くとそこには黒い
ハットを被った男がいた。
目元は見えず、口元はほのかに笑っていた。
「こんにちは、何か最近お困りごとでもありますでしょうか?」
「いえ、結構です」
俺は扉を閉めようとした。
くだらない商法マンだ。人の不幸が好きでたまらないやつ、そんなやつだ。
「ちょっと待ってくださいよ、お客様
私、実は悪魔なんですよ。今日はそれであなたを救いたいという一心できたんですよ。」
「はいはい。わかりました。冗談は結構ですから早く他を当たってください」
「お客様、そんな冷めた顔しないで
あなたのことは前々からご存知ですから、私、悪魔にお任せください」
するとその黒いハットを被った男は手元に
札束の大金を手に召喚させた。
「ほら、これを見てください。私は悪魔なんです。こんな大金だって召喚できるんですから、あなたを今の立場から救うことはできますよ」
俺はそれを見た時、その男を二度見した。
目元は依然として見えないが、ニッコリと綺麗な歯を見せた。
「本当なのか?本当に俺を救えるのか?
なら、俺を今すぐ救ってくれ!頼む」
俺は驚きのあまり、その悪魔というやつに膝をついて懇願した。
「そう、焦らずに。では何か願い事を私に言ってください。」
「じゃあ、えっと…えっと」
俺は必死に叶えたい願いを考えた。
すると悪魔が指を立ててこう言ってきた。
「その前にご主人さま、願いは三つまでです。
三つまでなら何でも叶えてあげましょう。取り消しはできません。必ず三つまでと言うわけでもありません。一つでもいいし、二つでもいいです。」
「三つまでなら何でも叶えてくれるんだな?!」
「はい、三つまでなら何でも叶えてあげましょうその三つの条件にあったあなたの環境を贈呈しますから。」
「じゃあ、じゃあな、まず俺はな、借金が返済された世界がになればいい。そして、そしてだな!自由な環境にいたいのと、たくさんの金のある環境がいい!それだけがあれば俺は幸せになれる!」
「なるほど、借金が返済された世界と自由な環境と金のある環境ですか?その三つでいいですね?」
「そうだ、その三つさ。そしたら俺は幸せになれる。頼むよ。頼む」
「分かりました。全て叶えてあげましょう。では、承諾書を書いてください。これを書けばその願いは明日になると全て、叶います。ですが承諾書を書いた後に願いの取り消しや変更はききませんのよろしくお願いします……」
そして俺は渡された紙に殴り書きするように
ペンを走らせた。
するとその悪魔は帽子をまた一段と深く被ると律儀にお辞儀をして家を出ていった。
次の日の朝、俺が目を覚めると
そこは俺の部屋ではなかった。
契約書の紙が目の前に置いてある。
そしてこう記されていた。
『あなたのために、借金が返済されて金があって自由な世界をご用意しました。ぜひ、ご堪能ください』と
だが、そこには俺の想像とはかけ離れた世界だった。見渡す限りそこは真っ白空間で誰もいない。借金取りもいなければ人間も動物も物体も何もない。
あるとするならば、使い道がない大量の札束
だけだろう……。
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