第2話 私の名前は緒川結依です!
長き
真新しい制服に身を包んだ私もきらめいて、とても清らかだ。
「お母さーん、早く学園に行こうよー!」
もう身支度を済ませている私に、お母さんは驚いていたが、やがて私達は車に乗り込み、出発した。
住宅街から公道へ出て、グリース公園を過ぎ、踏切を抜けて640歩。私の入学する学園、私立きらきら学園に到着だ。
学園に着くと、私は足早に玄関口へと向かった。そこには、クラス表が張り出されており、確認した後、我がクラスへと向かう。
1年2組には、既に何人かの新入生達が着席していた。
「おはよう!」
私は、颯爽と挨拶をして教室に入り、窓際より後ろから2番目の自分の席へ座る。
……先程の挨拶に誰も返事をしてくれないけれど、このクラスの人達はNPCだったりするのかな? ひょっとして、このクラスはラノベでよくある、市の壮大な何かの実験の為に、
何かの実験……、実験……、うーん、何だろう? そのような物思いが私の頭の中の競技場を
黒髪の、スーツが似合う、クールな面持ちの女の人だ。
「じゃ、今から体育館行くぞー」
遠目から見ても分かる気怠そうな表情に、無機質な声。本当に、この仕事に情熱を持っているのかな? との疑念を抱かせる、駄目大人感を漂わせている人に、私の頭の中を凄まじい速度で駆けていた物思いくんも足を止めた。
✫
体育館へと着いた私達は、拍手で迎えられた。式の様子は……割愛とさせてもらう。とても、きらきら学園らしい入学式だったという事で。
そして、また教室に戻ると、今度はあのクールな先生の如何にも煩わしい、という感じのLHRタイムだ。片手に
「それじゃ、各自、出席番号順に自己紹介をしていってくれ」
そして、自己紹介の時間が始まった。
NPC疑惑のクラスの子達が類型的に次々と自己を紹介していく中、私の番がやって来た。よし、一丁やってやりますか!
私は、前の子が席に戻る寸前に席を立ち、
「私の名前は
そう言って、私はポーズと共に自己紹介を決めた! これ以上なく、決まっちゃったね!
しーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。
しかし、私の自己紹介に、クラスメイト達は全く反応しなかった。私、なんかやっちゃいました?
「ん? 自己紹介が終わったのなら、席に戻れよ」
先生にそう言われて、私は普通のスピードで席へと戻った。おかしいな、中学では馬鹿受けだったんだけどな……。そして、全員の自己紹介が終わると、最後に、先生がそっけなく名前だけを紹介し、翌週からの何やらなどを伝えてLHRは終了した。
高校生活1日目の終了だ。……え、もう高校1日目終わり!?
ふと、後ろを振り向くと、親達が、何時の間にかずらーっと並んでいた。私のお母さんもそこに居たんだけど、何故だか私と目を合わせようとしない。
私が、お母さん! って話しかけようとしたら、そそくさと逃げるように教室を出ていった。え、ちょっと待って! 私、お母さんの車で学園に来たんだけど!?
徒歩では帰りたくないから、母親を追い掛けて私も教室を出ようとしたけど、そういえば部活の事を先生に聞いていなかったのを思い出した。
部活。そう、VTuber部の事だ。私はこの部活をするために、この学園へ入ったと言っても過言ではない。いや、私の住む地域では大体の学生がこの学園に入学するのだが、少し格好つけさせて欲しい。そういう心意気は、大事なのだから。
窓際で堂々と一服している先生に、私は尋ねる。
「先生、部活の事で聞きたいことがあるんですけど!」
「……部活?」
先生は、……部活? 何だそれは? って、まるで部活という言葉を人生で初めて聞いたという様な顔をしたので、
「部活動だよ! 先生、部活動を知らないわけじゃないでしょ? 私、どうしても入りたい部があるんだ! どの先生に聞いたらいいの!?」
そう聞くと、先生は、
「……部活動なら、来週に各部から体育館で説明会が行われるぞ。その旨を記したプリントも配ったし、口頭でも説明したんだが……」
と、言われた。あれ、そうだっけ……。どうやら、私が自己紹介の敗因を考えている時に、それは行われたみたいだ。まぁ、それに、初日から部活の説明会まである学園ってのも、ちょっとアレだよね。
「そ、そうだったんだね! えっと、じゃあ、私、お母さんを追わなきゃだから、今日はこれで失礼するね! 先生、今年1年よろしくね!」
そう伝え、急いで教室から飛び出すと、お母さんが私を置いて車を発進させる前に飛び乗って、きらきら学園を後にした。
「ねぇ、結依、あなた高校生なんだから、もう少しだけ大人にね……」
車内でなぜかお母さんに
「なんか、とても疲れたな……」
入学式って、特段、疲れることはしていない筈のに、とても疲れる。そして、高校生活が始まったというのに、全く始まった気がしないのだ。
「……そう言えば、VTuber部って、きらきら学園にあるのかな?」
頭のキャンドルに火が点いている私は、この時季のゆったりとした時間の流れがもどかしい。額に、水を延々と垂らされる拷問を受けているみたいだ。
「でも、そんなんじゃ、私の蝋燭の火は消せないよ!」
お母さんが車内で説教していた、『もう少し大人になりなさい』とは、この気早な
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