第10話 殺されれば死ぬ。

目の前に現れたのはラインハルト、いや違う、体を持った別の異常者だ。


デッドオアダイ


死か、さらなる死か。


「それは選択肢っていうのか?その理不尽は!」

ラインハルト、呼び方を変えてデッドはケラケラと気高く笑い出した。

「面白い質問だね!!やはり君は面白いね!」

「何がおかしい!!」

激昂した俺の理性はどうに限界を超えていた。今は笑っている暇なんて存在しないのだ。

「僕はロズに殺された、でも僕の体にはひとつの魂が宿っているんだ。」


PANDORABOX


神を納めるひとつの神器としてこのUnlimited Worldに名を轟かせているGODSoulの1つ。

GODSoulとは、神に認められし選ばれし魂のことを指す。


「PANDORABOXだと!?じゃあその体は再生し直したのか!?完璧に貫かれた体を!?」

パドは心底訳が分からないことを承知した上で疑問だけを続けた。

デッドは口を開き、自分の意見を述べた

「人は殺されれば死ぬ。その当たり前をぶち壊しに来たんだよ!!僕は!!」

「そして!!惨めったらしく目の前で呆然として運良く殺されなかったお前に話をしに来た!!邪魔するならそこのBLACKROSEは排除する!だから選択肢を与えていたのだ!」

訳が分からない。

言ってる意味が何一つ理解できないのは俺が馬鹿なせいじゃないと思う。


「パド、下がっていろ、俺がやる」

「俺が商売かけられた喧嘩だ、5000円ちょっとで買ってやるよ。」

デッドは人だし指を突き立てて笑いながら話した。

「いいね!勝ったら倍の1万円、、なっ!!」

上に突き立てていた人差し指を前に飛び出させ、爪を飛ばした。

クロは間一髪でかわし、距離を詰めてデッドの腹を突き刺す。

するとそれは残像だったらしく、見た目が煙のように消えていった。

「なっ!?」

クロは典型的な驚きの声を上げ、左足の足首をくじき、体制を崩して床に倒れそうになる。

するとデッドが突然俺の目の前に現れ、コツコツと足音を上げて近づいてくる。

後ろでは血の吹きでる音、骨が砕ける音、クロの叫び声、鉄分を感じさせる匂い。

「ねぇ、僕と遊んでよ!また隊を作って副総長にしてよ!」

クロは後ろで首と身体が離れ離れになり、血が流れている。

足は曲がっては行けない方向に曲がり、腕も逆に90度にまがっている。

「ねぇ、どこ見てるの?僕のことを見てよ!見ろよ!」

みぞおちに腕が貫通し、口からは血が噴射し、デッドの袖に付く。

「残念だよ、、、昴。」


デッドは体から腕を素早く抜き。俺の力は血がどくどくと出る。


俺は倒れ込んだ状態で最後の力を振り絞って手をデッドに向ける。


「Starry jet……」


この能力は水を弾き、裂け、生成する能力。


だが、液体なら操れる原理なら、体内の中にある血液も操ることが出来るのでは無いのか?


考える間もなく、デッドオアダイの体は4等分に裂けた。


体は地に倒れるわけでもなく、煙のように消えた。

恐らくあれは残像か分身の類であろう。


俺とクロは終わりなのか??もうダメなのか?


「大丈夫か!?クロ!パド!」


目の前に現れた金髪の男は体を治癒し、意識を回復させるまでの休息の地を作ってくれた。


これこそが神の魂の2つ目を宿した四天王の1人。

「ハーヴェスト・レストラル。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る