僕が海と化すまで。
スワングレー。
第1話 はじまり。
襟足は短く剃られ、上にあげるとちょうど良い前髪、180の割とデカめの身長、綺麗なぱっちり二重。自分のために開けた耳たぶのピアス。世界に2つだけの結婚指環。
4月、僕は美容学生になった。初めての一人暮らしに慣れるために僕は来る日も来る日も流れるように生活した。1Kの狭い部屋。窓からは海が見える。海は見えるけど綺麗とは言い難いく、濃い緑色のどんよりとした、見つめていると闇に吸い込まれそうな、そんな海だった。
僕は窓から見る海は好きじゃなかったし、基本カーテンは閉め切っていた。
...冷たい、
一人暮らしも慣れてきた6月のある日僕はバイト終わりにいつもは窓から見える海に来ていた。別に見に来た理由もない。ただなんとなく興味が湧いた。
顎で切り揃えられた黒髪、軽くすかれた前髪、ピアスが沢山空いた耳。150もない様な小さめな背丈。指環を1つもしていない小さくて華奢な手。
一目惚れってこうゆうことなのかもしれないと、僕は思った。可愛かった。すごく、可愛かった。僕がいままで見てきた中で1番可愛かった。あんな子が僕の彼女だったら、僕はきっと毎日幸せなんだろうな...。僕は女性経験なんて無かったし、声をかけるなんてできなかった。でもきっとここで声をかけなければもう会うことはないのだろう。そんな悲しい気持ちを胸にしまって僕は海を離れて近くのチェーン店に向かった。今思えばあれが始まりだったのだと僕は思う。
僕が海と化すまで。 スワングレー。 @anatano_tonaride
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。僕が海と化すまで。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます