どちらが本性であるか?


 富裕層に対する激しい憎しみを抱いていた私が、如何にしてその感情を消したのか。

 生活の中でやってくる感情の行方を、独特なタッチで分析したエッセイ。




 エッセイ、論評というのは、やってきた出来事から、肝心な部分を切り抜き、「意見」として編集したものとみているが、
 この作品ではその一部始終がノーカットで描かれている印象を覚えた。

 何かを憎まずにはいられない自分と、結局は憎まないことを選ぶ自分。
 どちらが本当(素)なのか。

 緊急時にこそ人の本性が出るとはいうものの、
 化けの皮が剥がれたのか、強烈な衝撃で一時的にパニックになった(化けの皮が覆い被さった)のかは分かりようもない。 

 日常の些細な現象を描いた前半も含め、かなり現実感のある話だった。