1.彼女の決意
第1話
「蒼井さんおはよう。今日から来る新人のこと何か聞いた?」
現在時刻は8時半。
始業時間ギリギリに出勤してきたパート社員の”重鎮”大山さん。
「おはようございまーす」と、すでに出勤している全社員に適当に挨拶しながらドスドス歩いてきて、私の隣の席に座りながらそう尋ねてきた。
彼女が座ると、グレーのオフィスチェアがギギギと唸った。
「おはようございます。昨日支店長から少し聞きましたよ。早瀬君っていうJ大卒の男の子らしいですよ」
「J大!?県内トップの国立大卒なら地味なオタク系か。残念」
「えー、わかりませんよ」
愛想笑いで流しつつ、デスクに視線を戻す。
本当は、早瀬君のお父さんがかの有名な早瀬コーポレーションの代表取締役だとも聞いたのだけど、それを言うのはやめておこう。
”コネ”だと言われてしまうのが目に見えてるし、先入観を持たれたらかわいそう。
コネかどうかなんて、真偽のほどは支店長クラスですら知る由はない。
午前9時に、内と外を区切る重々しいシャッターが開くのだけれど、正社員の私は毎日7時半に出勤する。
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