第四章 アマニレナスの物語 ヌビアのために

先鋒はクシュ女志願騎兵隊


 ロマーニャ・ハレムのヌビア・コロニーに所属するアマニレナスは、従妹でもあるアマニスハヘトと一緒に、ヴィーナスさんとの夜伽を終えてメロウ王国に戻っていた。

 2人の話題はいつも同じ、出身地であるメロウ王国のネットワークでの地位のなんと低いことか、なんと嘆かわしい……


 メロウ王国はローマ・レムリア帝国の従属国家……ネットワークではこのように思われている……

 実際は共に神聖ウェヌス教団を国教とする対等の国家、だが誰もそんなことは知らない……


 そこでメロウ王国の王族である2人はメロウ王国の奥にあるアクスム王国、アラビアのヒムヤル王国やサバア王国を占領するように、メロウ国王に進言しようと考えた。

 今回の夜伽に対して、なんとかニライカナイの大浴場でヴィーナスさんを捕まえて、『湯船の謁見』を実現した。


 その結果はアクスム王国、アラビアのヒムヤル王国、そしてサバア王国などの詳細な地図を下賜された。

 この地図をメロウ王に献上、国王はまずアクスム王国に侵攻を開始、アマニレナスとアマニスハヘトは騎兵隊を率いてその先陣を務めることになった……


* * * * *



 メロウ王国の騎兵隊に新たな騎兵隊が誕生した。

 サルマタイ婦人騎兵隊とヌミディア女騎兵隊と同じ規模、50名である。

 クシュ女志願騎兵隊と名付けられた。


 ケントゥリオがアマニスハヘト、オプティオがアマニレナスである。

 アマニスハヘトはメロウ王国王太子の娘、アマニレナスは王太子の一番下の弟の娘、ゆえにアマニレナスが遠慮したというわけだ。


 ネットワークより支給された専用装備として『オートホース』、馬の代わりです。

 さらに剣の代わりとして銃、自動小銃化された四四式騎銃改です。


 この世界ではオーバースペックの装備、事実、サルマタイ婦人騎兵隊とヌミディア女騎兵隊はジュート人軽装歩兵部隊三個コホルス殲滅しているのです。


 弾薬食料などは2人の『側女待遇格子』が通販カタログ、『戦女(いくさめ)加算』という軍務加算でミリタリー補給カタログ、この二つのカタログを使い問題なし。


 2人の尽力でアクスム王国などの詳細地図が手に入り、メロウ王が王国のネットワーク内での地位向上のため、まずはアクスム王国に侵攻することを決定、戦力の整備を始めたのです。


「アマニスハヘトよ、新編成のクシュ女志願騎兵隊の実践投入は可能か?」

「もちろん可能です、陛下」

「ウェヌス女神様に従わぬ蛮族どもを、女神様に従わせる今回の戦いは聖戦である」


「国軍の士気は高い、この勢いでまずはアクスム王国を叩きのめしてくれる!」

「クシュ女志願騎兵隊に先鋒を命じる、出陣せよ!」 


 『オートホース』の最高速度、時速70キロでどんどんと進んでいきます。

 途中でアクスム王国軍と遭遇戦となりましたが、隊員の所持する四四式騎銃改で十分のようでした。


 敵兵の鎧を貫通し、しかも敵の弓矢などより、はるか遠くから弾が飛んでくるわけですからね、しかも百発百中です。

 あっという間に敵が敗走を始めるのです。


 後続のメロウ王国軍など取り残して、どんどんと進軍するクシュ女志願騎兵隊は敵の王都アクスムの近くまで進出したのです。

 

「たしかサルマタイ婦人騎兵隊は、『オートホース』の砲撃でデーン人の砦を落としたと聞きました」

「我らも『オートホース』で砲撃しましょう」

 オプティオがアマニレナスの提案です。

  

「あまり近づくと反撃されるからな、こちらは50騎、『オートホース』は最大射程で砲撃することにしないか」

 ケントゥリオのアマニスハヘトが云います。


「そうですね、やはり50騎全員で砲撃はまずいかもしれませんね、第四デクリオ、第五デクリオで警備しましょう」


 第一から第三までのデクリオ30騎で最大射程から連続砲撃。

 なんせ炸薬はオクタニトロキュバンですからね、石の城壁も崩れ落ちたのです。


 途中、反撃してきたアクスム王国軍ですが、第四デクリオ、第五デクリオで編成されたアマニレナス支隊が迎撃、時間を稼ぐ間に砲撃体制のまま本体は逃走です。


 こうしてのべつくまなく砲撃を受けた王都アクスムは、守備軍の反撃能力も徐々に低下、周辺からの援軍は後続のメロウ王国軍が巧妙に待ち伏せ攻撃で敗走させました。


 後続のメロウ王国軍がクシュ女志願騎兵隊に追いつくころには、アクスム王国から降伏の使者がやってきました。

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