第21話 追跡と覚悟

 ニュードーン本部からの脱出は、想像を超える試練だった。警報が鳴り響く中、ハルカ、エリック、リオの3人は建物内を駆け抜け、追っ手を振り切ろうとしていた。


「このままじゃ捕まる!」


 リオが息を切らせながら叫ぶ。その声にエリックが答えた。


「非常階段だ!そこから屋上に出る!」


 彼らは非常階段に駆け込むと、一気に屋上へと向かった。しかし、その途中でドアを開けた瞬間、待ち伏せしていた警備兵たちが立ちはだかった。


「包囲されている…!」


 ハルカが警戒心を高める中、リオが冷静に武器を構えた。


「時間を稼ぐ。お前たちは先に行け。」


「ふざけるな、一緒に脱出するって決めただろ!」


 エリックが反論するも、リオは強い口調で制した。


「俺がここで止めないと、全員捕まる!」


 リオの決意を見て、ハルカは躊躇しながらもエリックを引っ張った。


「分かった…リオ、必ず後で合流して!」


 リオは頷き、銃声を響かせながら敵を食い止めた。その間にハルカとエリックは屋上へと向かった。


 ---


 屋上に出ると、冷たい夜風が彼らを迎えた。下を見下ろすと、建物の周囲にはニュードーンの警備車両が集結している。


「どうする…この高さからは飛び降りられない。」


 ハルカが途方に暮れる中、エリックが無線機を取り出した。


「サミュエル、応答してくれ!」


「こちらサミュエルだ。状況は?」


「屋上にいる!脱出ルートが塞がれている、支援を頼む!」


 無線越しに聞こえるサミュエルの声は落ち着いていた。


「待っていろ。ドローンを送る。」


 数分後、小型のドローンが屋上に到着した。ドローンはロープを吊り下げ、ハルカとエリックを安全に地上へ降ろすための準備を整えた。


「早く乗れ!」


 エリックがハルカをロープに固定し、自分もそれに続いた。ドローンが動き出し、彼らを安全な場所へと運び出す。


 ---


 しかし、地上に着陸する前にニュードーンの警備がドローンを発見し、銃撃を始めた。


「まずい!振り落とされる!」


 ドローンが揺れ、ハルカはしっかりとロープを掴んで耐えた。一方で、エリックが銃を取り出し応戦する。


「こっちを狙うな!」


 エリックの声に応じるかのように、サミュエルがドローンの操縦をさらに加速させた。彼らは銃撃をかわしながら、建物から遠ざかることに成功した。


 ---


 安全ハウスに戻った時、ハルカはリオの姿を探した。


「リオは…?」


 サミュエルが厳しい表情で答えた。


「まだ戻っていない。だが、彼ならきっと無事に帰ってくる。」


 その言葉を信じたかったが、ハルカの胸中には不安が広がった。それでも、今は次の行動を考えなければならなかった。


「ダウンロードしたデータを解析しよう。」


 エリックが言葉を切り替え、持ち帰ったデータを端末に移した。画面に映し出されたのは、ニュードーンの極秘プロジェクトの詳細だった。


「これは…人々の記憶を操作する技術…?」


 ハルカは驚愕した。その技術は、人間の自由意思を奪い、完全な支配を可能にするものだった。


「こんなことが許されるはずがない。」


 エリックが拳を握りしめた。その時、サミュエルが口を開いた。


「これを公にすれば、ニュードーンを壊滅させることができる。しかし、その前にリオを助け出さなければならない。」


 ハルカは頷き、決意を新たにした。


「リオを助ける。そしてニュードーンを止める。」


 全員の視線が一致し、次なる戦いへの準備が始まった。

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