第10話 内部者の告白
ペンダントから発せられた声に耳を傾けるハルカとレイ。森の静寂を破るその声は、緊迫感を伴っていた。
「私はニュードーンの研究員だった者です。この装置を通じて、あなたたちに真実を伝えたい。」
声は女性のものだった。落ち着いたトーンながら、その裏には深い切迫感が漂っている。
「なぜ私たちに協力するの?」
ハルカがペンダントを握りしめながら問いかけると、少し間があって声が返ってきた。
「ニュードーンは計画の名のもとに多くの罪を犯しました。その罪を正すために、内部から協力できる者を探していました。あなたたちがその鍵になると信じています。」
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ハルカとレイは、互いに目を見合わせた。突如として現れた味方とも言える存在。しかし、その正体は依然として不明だ。
「具体的に、何をすればいい?」
レイが警戒を滲ませつつも問いかけると、声はすぐに答えた。
「今いる場所から東に20キロ進んだところに地下施設があります。そこに、計画の核心に迫るデータが保管されています。そのデータを手に入れてください。」
「地下施設?そんな場所に容易く近づけるわけがない。」
レイが難色を示すと、声は説明を続けた。
「セキュリティシステムを一時的に無効化できる暗号を送信します。ペンダントをその施設の通信端末に接続してください。それでアクセスできます。」
ハルカは不安げな表情で尋ねた。
「でも、あなたの正体がまだわからない。信じていいの?」
声は少しの間を置いて答えた。
「疑うのも当然です。ただ、あなたたちには時間がない。真実を追い求めるかどうかは、あなたたち自身の判断に委ねます。」
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通信が途切れると、森の静けさが再び二人を包み込んだ。ハルカはペンダントを握りしめたまま、目を伏せて考え込んでいる。
「どうする、ハルカ?」
レイが問いかけると、彼女はゆっくりと顔を上げた。その瞳には決意が宿っていた。
「行こう。たとえ罠だったとしても、ここで何もしないわけにはいかない。」
レイは深く息をつき、頷いた。
「分かった。でも慎重にな。どんな状況でもお前を守る。」
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翌朝、二人は早朝の霧の中を進み始めた。森を抜け、荒野を越える旅路は困難を極めたが、ハルカの足は止まらなかった。
やがて、東の地平線に小さな丘が現れ、その下に金属の扉が埋め込まれているのを発見した。扉の周囲には監視カメラやセンサーがいくつも設置されている。
「ここだな。」
レイが低く呟くと、ハルカはペンダントを握りしめ、扉へと近づいた。ペンダントを端末に接続すると、内部から低い電子音が響き、センサーが一斉に無力化された。
「うまくいったみたい。」
ハルカが安堵の声を漏らすと、レイは扉を慎重に押し開けた。
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地下施設の内部は薄暗く、ひんやりとした空気が漂っていた。壁には無数の配線が張り巡らされ、廊下の奥には大きなデータセンターが見えた。
「急ごう。この場所が発見されるのも時間の問題だ。」
レイの声に促され、二人はデータセンターへと進んだ。中には巨大なサーバーラックが並び、青白い光を放っている。
「これだ。」
ハルカはペンダントを再び接続し、端末にアクセスした。画面には膨大なデータが流れ始め、その中にプロジェクト・ニュードーンの記録が含まれていた。
「これをダウンロードすれば、計画の全貌が明らかになる。」
ハルカが操作を続ける中、突然警報が鳴り響いた。
「侵入者を確認。排除を開始します。」
機械的な声とともに、施設内に警備用のドローンが現れた。
「まずい、急げ!」
レイが銃を構え、ドローンの進行を阻止する間に、ハルカはデータの転送を完了させた。
「できた!行こう!」
二人は全力で廊下を駆け抜け、施設の出口へと向かった。外に出ると、すでに日が傾き始めており、赤い空が広がっていた。
「なんとか間に合ったな。」
レイが息を整えながら言うと、ハルカはペンダントを見つめて呟いた。
「これが真実への鍵になるはず。」
しかし、その言葉には不安も混じっていた。内部者の声を信じて進んだ彼らだが、次に待つのはさらなる試練であることを二人は理解していた。
「これからが本当の勝負だ。」
レイがそう言うと、ハルカも小さく頷いた。そして二人は、新たな目的地を目指して歩き出した。
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