第8話 暗闇の中の光

 施設からの脱出に成功したハルカとレイは、荒涼とした大地を歩き続けていた。オーロラ計画の秘密を知った二人の胸には、不安と怒り、そしてわずかな希望が混じり合っていた。


「とりあえず、次の拠点を探さないとな。」


 レイが前を歩きながら言った。


「どこに向かえばいいんだろう?」


 ハルカは後ろを振り返り、崩れ落ちた施設の方向を見つめた。煙がまだ立ち昇っている。


「私たちが知っている情報は少なすぎる。次に何をすればいいのかも分からない。」


「でも、止まるわけにはいかない。奴らは必ず追ってくる。」


 レイの言葉に、ハルカは力強く頷いた。


 ---


 二人は地図を確認しながら、近くにある廃墟の街を目指した。数年前の戦争で荒れ果て、人々が去った町だという。


「ここなら隠れる場所があるかもしれない。」


 夜になると、冷たい風が吹きつけ、二人は古びたビルの中に身を潜めた。ハルカは懐中電灯をつけ、埃まみれの床に腰を下ろした。


「ねえ、レイ。」


「何だ?」


「オーロラ計画のことだけど、もし私たちがあの計画の…成功例だとしたら、どうする?」


 レイはしばらく黙っていた。そして、小さな声で答えた。


「成功例だったとしても、それを奴らに利用されるのは許せない。俺たちは俺たちの意志で生きるんだ。」


 その言葉に、ハルカは安心したように微笑んだ。


 ---


 翌朝、ハルカとレイは町の中を慎重に探索した。物資を探しながら、何か手がかりがないかと目を凝らしていた。


 そのとき、一軒の建物の中でハルカが何かを見つけた。


「レイ!こっちに来て!」


 彼女が指差したのは、壁に描かれた奇妙なマークだった。放射状に広がる光のような模様で、どこかで見たことがある気がする。


「これ…オーロラ計画のロゴじゃないか?」


 レイが驚いたように言った。


「どうしてこんなところに?」


 ハルカが壁を触ると、その部分が僅かに沈み込み、隠し扉が現れた。


「こんな仕掛けが…」


 二人は警戒しながら中に入った。そこには、廃棄されたコンピュータや資料が山積みになっていた。


「ここは…オーロラ計画の関連施設かもしれない。」


 ハルカが机の上の資料を手に取ると、そこには「プロジェクト・ニュードーン」というタイトルが書かれていた。


「ニュードーン?これがオーロラ計画の別名?」


 レイが資料を読み上げる。


「『被験者の適応能力を極限まで高め、新しい人類を創造する…』だと。」


 その言葉に、ハルカの胸がざわついた。


「新しい人類って、私たちを…道具として見ているの?」


 怒りが込み上げる中、奥の部屋から足音が聞こえた。二人は咄嗟に物陰に隠れた。


 ---


 現れたのは、イチノセの部下と思われる数名の兵士だった。彼らは無線で何かを話している。


「ターゲットはこの近辺にいるはずだ。見つけ次第、確保しろ。」


 その言葉に、ハルカとレイは息を潜めた。


「どうする?ここから逃げる?」


 ハルカが囁くように言うと、レイは首を振った。


「いや、ここで見つかるわけにはいかない。奴らをうまく撒く必要がある。」


 二人は物陰を伝いながら静かに移動を始めた。しかし、不運にも床に置かれていた瓶がハルカの足で転がり、音を立ててしまった。


「誰だ!」


 兵士たちが一斉に振り向き、銃を構える。その瞬間、レイがハルカの手を引いて全力で駆け出した。


「こっちだ!」


 彼らの銃声が響く中、二人は必死に建物の出口を目指した。


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 なんとか建物を脱出し、廃墟の街の中を走り続けた二人。息を切らしながら、ようやく安全そうな場所にたどり着いた。


「危なかったな。」


 レイが額の汗を拭いながら言った。


「でも、あの資料を持ってこれた。」


 ハルカが見せたのは、「プロジェクト・ニュードーン」のファイルだ。


「これを解析すれば、奴らの計画をもっと詳しく知ることができるかもしれない。」


「でも、次はどこに行けばいい?」


 レイが問いかけると、ハルカは空を見上げた。そこには、再び不自然な光の帯が浮かんでいた。


「この光が示している場所に…行くべきかもしれない。」


 その言葉に、レイも頷いた。


「分かった。次の目的地はあの光の先だ。」


 二人は新たな決意を胸に、次なる旅路へと歩き出した。

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