第5夜 そしてドラドラ友情伝説へ……

⭐︎令和7年3月19日(水) 晴れ⭐︎


 上司に叱られ、落胆する私。

 ふと、チラリと隣を見ると、目に映るのは同い年の幹部。

 彼……もとい、あの方のご活躍を見ていると、余計に自分が惨めになってくる。


 かたや将来有望な幹部、かたや失意の中にある末端新人。

 同じ年に生まれたのに、なぜ、ここまで差があるのだろうか。境遇的にも、能力的にも。

 

 ……。

 同じ年に生まれたといえば。


 ということで今回は、ドラえもんズについて紹介しよう。

 

 ドラえもんズは、ドラえもんを含む7体の猫型ロボットにより構成されたチームである。彼らは、ロボット養成学校時代の同期であり、「不滅の友情」を誓い合った大親友達。卒業後、彼らは別々の時代、国で活躍することになったが、メンバーのピンチに際しては、一目散に駆け付けるのである。


 ドラえもん以外のメンバーは、それぞれ活躍国をモチーフにしたキャラクターとなっている。

 各々の活躍する時代、国、特徴については、以下の通り。


・ドラえもん

 日本国

 ドラえもんズのリーダー


わんドラ

 中国(清朝末期)

 ロボット学校首席卒業者、カンフーの達人、漢方の専門家

 常に敬語で話す礼儀正しいヤツだが、女の子には弱い。


・エル・マタドーラ

 スペイン(スペイン帝国)

 闘牛士(ヒラリマントを用いる)、メンバー1の怪力

 キザ男、極度の昼寝(彼は「シェスタ」と表現している)好き


・ドラリーニョ

 ブラジル(現代)

 サッカー選手

 極度の忘れん坊


・ドラメッドⅢ世

 サウジアラビア(古代アラビア砂漠)

 魔法使い、怒ると巨大化する

 極度の水嫌い


・ドラニコフ

 ロシア(ソ連)

 狼男(丸い物を目にすると、野獣に変身する性質がある)

 「ガウガウ」という声しか発しない。


・ドラ・ザ・キッド

 アメリカ(西部開拓時代)

 ガンマン(武器は、空気砲)

 「エド」という名のペガサス型ロボットに乗るくせに、高所恐怖症。ドラミの恋人。


 

 このように、ドラえもん以外のメンバーは、ひみつ道具顔負けの特殊能力を有しており(もっとも、マタドーラとキッドのみ、ひみつ道具を武器としているが)、これは、ドラえもん及びその同型機達にはない特徴なのである。


 元々は、平成7(1995)年に発売された3DOゲーム「ドラえもん 友情伝説 ザ・ドラえもんズ」限定のキャラとして制作されたものだったそうだが、後に原作者から公認を受けたことで、表舞台へと進出することになっていったのだという。


 彼らの初登場アニメ作品は、前回紹介した「2112年ドラえもん誕生」であるが、この時は、ほとんどセリフがなく、脇役……というより、ほぼゲストキャラのような立ち位置だった。


 故に、本格的な登場回は、翌年公開の映画「ドラミ&ドラえもんズ ロボット学校七不思議⁉︎」とされている。以降、毎年、彼らを主役に据えた映画作品は制作され続け、テレビ出演やコミカライズも行われた。


 しかし、一定の人気を得ていたにもかかわらず、平成14(2002)年を最後に、彼らの映画出演は途絶え、その3年後のアニメリニューアル以降は、設定自体が抹消されてしまう。

 

 現在、ドラえもんの元同級生は、ドラえもんの同型機(量産型)及びノラミャーコのみという設定になっており(しかもノラミャーコについても、「2112年ドラえもん誕生」時のデザインより変更されている)、親友枠はパワえもんという同型機が担っている。


 ドラえもんズがリストラされた原因については、公式からは一切説明がないのだが、巷では、


・ひみつ道具に頼らないドラえもんズの存在は、原作の世界観にそぐわないとする、原作ファンからの反発があったため

・ドラえもんズの持つ特殊能力が、ドラえもんの活躍を奪っていると判断されたため

・単なる人気低迷


 等といった説が囁かれているという。


 現在、ドラえもんズの出演した映画作品は配信されておらず、コミックも絶版となってしまっているため、半ば幻のキャラと化している。


 だが、当時のファンからは、復活を望む声が少なからず挙がっているといい、Xで一時「ドラえもんズ」がトレンド入りしたり、復活請願に関するネット署名活動が行われたりしていたとか。


 しかし、ドラえもん解説動画専門のYouTubeチャンネル「ゆっくりドラちゃんねる」は、復活は当分難しいだろうとの見解を示している。理由は、国際情勢の深刻化等にあるという。


 先述したように、「ドラえもんズ」は、実在する国々をモチーフとしたキャラ達が共闘するストーリーであるが、このような設定を、国家間の対立の激化している今のような状況の下で取り上げることは、難しいだろうとのこと。


 また、「ピクシブ百科事典」は、民族のステレオタイプの強い設定であることも、復活のハードルを高くしているとしている。いわゆる、ポリコレの問題である。


 まあ、しかし。

 復活云々は抜きにしても、各国から集まった親友達が力を合わせて強敵に立ち向かう、というストーリー自体は、子どもにも大人にも刺さるところがあるように感じる。


 なお、個人的におすすめの映画作品は、先に紹介した「ドラミ&ドラえもんズ ロボット学校七不思議⁉︎」及び「ザ⭐︎ドラえもんズ 怪盗ドラパン謎の挑戦状!」である。

 

 1番好きなキャラは、王ドラ。

 デザインが可愛い。そして、秀才なのに落ちこぼれグループの一員という逆説的設定も魅力的だし、女の子に弱いという特徴も愛らしい。

 好き。


 一応言っておくが、私自身が親中派だからとか、そういうことではない。

 王ドラは可愛い。

 だけど、それと、中国に対する好き嫌いとは、全く別問題である。うん。




***紹介作品***


「ドラミ&ドラえもんズ ロボット学校七不思議⁉︎」(平成8年公開)

「ザ⭐︎ドラえもんズ 怪盗ドラパン謎の挑戦状!」 (平成9年公開)



***参考URL***


新ゆっくりドラちゃんねる「エル・マタドーラ解説!前編!」

https://youtu.be/np9TYz4t1Ts


同「ドラ・ザ・キッド解説!前編!」

https://youtu.be/8YwDaJYC1-o


同「ドラ・ザ・キッド解説!後編!」

https://youtu.be/LSbvojr6oLk


同「ドラニコフ解説!前編!」

https://youtu.be/cNLJmwEUaM0


同「ドラメッドⅢ世解説!前編!」

https://youtu.be/vhmOD8YgJ2o


同「ドラリーニョ解説!前編!」

https://youtu.be/mrTusLPyq1Y


同「王ドラ解説!前編!」

https://youtu.be/FTTlbM8nKEQ


ホッカイロレン「小学館から抹消されたドラえもんズの悲惨な末路とは…?」

https://youtu.be/Zg9_gIynr24


ゆっくりドラちゃんねる「新・我ら!ドラえもんズ!」

https://youtu.be/TOy3nMRrmr0


同「2023年みんなありがとう!今年の動画振り返り&視聴者からのコメント返し!」

https://youtu.be/BvYUpzle4Ts


pixiv「ピクシブ百科事典」<ドラえもんズ>

https://dic.pixiv.net/a/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%81%88%E3%82%82%E3%82%93%E3%82%BA

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