第3話

 翌月、別のドクターの診察を受けることにした。これまでのカルテを見ながら、

「じゃあ、薬を変えてみましょう。それで効かなかったら、腰のCTを撮りましょう」

 相変わらず診断は下してくれなかった。が、治療の方向性が前のドクターよりも明晰に言ってもらえたせいだろうか、ちょっとだけ前向きな気持ちにもなったのも嘘ではない。

 おくすり手帳を見てみると、神経に効く薬に変わっていた。軟膏は同じままだったが。何日か飲んでみると、歩くのがしんどくなくなっていることに気づいた。どうやら薬が効いたようだ。かといって完治したわけではない。以前ほどではないにしても、二十分以上あるいているとしんどかった。けれど、効く薬があると言うのは、安心できる材料だった。

 ある日、ふと切り替えたテレビ番組で、足の痺れの特集をしていた。まじまじとそれを見た。そこで紹介されたストレッチを試した。効果はさておき、対処する方法が増えると言うのはありがたい。これまでも臀部のストレッチや腰のストレッチを行っていた。それにプラスされるのは武器が増える感じがして、心強かった。

 外反母趾も気になるので、趾パットクッションを買って、足の趾の間に挟んでみた。痛みはない。趾間が広がっているのがむしろすがすがしい。これで疼きが消えると言うことはないが、試すことはいろいろとやってみるだけはある。

 次の診察で、以前とはまるで違って改善しているように感じている旨を伝えると、結局腰のCTを撮ることはなく、飲み薬と塗り薬は継続することになった。歩けるようになった日々、だが疼きは消えない。痛みは消えない。しびれは残っている。それでも発症の時に比べて見たら雲泥の差だ。次の診察でもドクターの対応は変わらず現状維持となった。

その病院が閉院することを知ったのはその夜のニュースだった。

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