第二章 悪意のない殺人
フッと考えた。
いくら要らない子でも、まだ幼いかなちゃんを駆除するなんて出来ない。
本当に駆除されるべきは、かなちゃんのパパやママなんだ。
かなちゃんを幸せにするには、悪いパパとママを懲らしめないと。
「ねぇ、かなちゃん。かなちゃんは、パパとママが好き?」
僕の質問に、しばらく考え、かなちゃんは、応えた。
「嫌い……。パパもママも大嫌い。」
「そう……だね。大嫌いだよね。あのね、かなちゃん……。」
僕は、腰を屈めると、かなちゃんの耳元で、こう言った。
「大嫌いで、居なくなればいいという人間は、駆除をしていいんだよ。」
「駆除……?」
「うん、駆除……殺せばいいんだ。」
かなちゃんは、意味が分からず、キョトンとしている。
「あのね、パパとママの背中をあの階段の上から、ポンと押せばいいんだよ。」
僕は、アパートの階段を指差し、そう言った。
「そうしたら、どうなるの?」
あどけない顔で見つめるかなちゃんに、僕は、優しく微笑み、そっと呟いた。
「そうしたら、パパもママも、もう怒らないし、殴ったりしないよ。」
「ほんとー?」
「うん、ほんとさ。パパとママは、夜になると、お酒を飲むでしょ?お酒を飲んで酔っ払ったパパとママに、花火が見えるから出ておいでって、お外で言ってごらん。今日は、町の花火大会だから、パパもママも喜んで花火を見てくれるよ。」
「うん、分かった!」
「その時は、お兄ちゃんも誘ってね。お兄ちゃんも花火が見たいんだ。」
「うん!!」
かなちゃんは、嬉しそうに手を振って、アパートの階段を上って、部屋へ入って行った。
フフフ。今夜が楽しみだね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます