第五章 モントシャイン学園・???編

第26話 怖い噂⁉ 旧校舎のおばけ!

 はるか遠くに存在する人間界、その名もヴィスタリア。召喚獣の住まう聖星界せいせいかいアスタリア。それぞれ共存する世界は美しく、人々と召喚獣たちの賑やかな世界だ。

 そんなヴィスタリアに住まう少女ステラ。12歳のステラは、病弱で部屋から一歩も出たことが無かった。そんなステラの病を直したのは、召喚獣として自ら現れた召喚獣ブルーであった。


 これはそんな二人が織りなす、勇気と友情、そして成長の物語。


 ◇◇◇


 大きなローザ・ファルベンの町にある学園、月の光が由来のモントシャイン学園は、由緒正しき伝統校だ。召喚士のタマゴたちと、成長過程の召喚獣たちが通っている。


 学園ではテストを終えたところであり、皆が気を抜いて、楽しい学園生活を送っていた。テストを満点で終えたステラとブルーは、楽しそうに授業を受けていた。今はマーサ先生が浮かせた的に、召喚士の命令で召喚獣がその的を捉える練習がされていた。


 テストで同様の試練を受けていたステラとブルーにとっては、おやつのような授業だった。


「では、これにて授業を終わります。起立! 礼!」

「ありがとうございました!」


 今日も一日が無事に終わった。と同時に、ブルーのお腹は大きな音を立てて鳴いた。


 ぐきゅるるるるる……‼


「ステラ、ご飯に行こうぜ!」

「まだ早いですよ、ブルー。図書館に本を借りに行きたいのです。いいでしょうか?」

「いいぜ!」


 同じ教室にいた、テストを終えて満身創痍まんしんそうい――体も心もくたくたでボロボロって感じだよ!――だったロジャーとワッツが二人に近づいてきた。


「ステラ、食事に行くのか?」

「ブルーはそう言ってますが、まだ少し早いので」

「早いらしいので……」


 がっくりと肩を落としたブルーを、ワッツは尻尾で背中をさすった。


「私は図書館で本を借りようと思いますが、ブルーは先にご飯を食べますか?」

「いんや、おいらも図書館へ行くぜ」

「あーっと。俺らも図書館に用事があったんだ。一緒に行こう!」


 慌てふためくロジャーに対し、ステラは笑顔でうなづいた。

 図書館へ向かう途中、一行は奇妙な噂を聞いた。


「出たんだって、旧校舎の二階で!」

「こわーい。呪文が聞こえたりするんでしょ?」

「うん? どうしたんだ?」


 ロジャーに話しかけられた女子生徒たちは目を合わせた。そして、ほぼ同時にロジャーへ向かった。


「出たんです。幽霊が」

「ゆ、ゆうれい⁉」


 驚き一歩後退りしたロジャーに対し、ブルーは首を傾げた。


「ゆうれいってなんだ?」


 ロジャーは引きつった笑みを浮かべながら、ブルーへ振り返った。その表情はこわばっている。


「幽霊っていうのは、人の姿をしたお化けだよ」

「おばけ! おいら、お化け嫌い!」

「あら、ブルーはお化けが嫌いだったのですね」


 微笑むステラは、女子生徒に向かった。ロジャーと真逆なほど、楽しそうな笑みを浮かべている。女子生徒の二人はおびえ、辺りをきょろきょろとし、動揺していた。


「その幽霊さんは、どこに出たんですか?」

「旧校舎の二階よ。ふわふわと光の玉が飛んでいくのを、何人も見たって」

「ひえー!」

「ブルー、変な声を出すなよ! びっくりしただろ」


 青白くなったロジャーは、ニコニコしていたステラを横目に見つつ、ブルーを叱った。ブルーはそれどころではなかったため、涙目でステラの後ろに隠れた。


「ステラー! お化け怖いぜー!」

「大丈夫ですよ、ブルー。お二人も、大丈夫ですよ。何の被害もないのでしょう?」

「そ、そういえばそうね」

「誰も怪我したりしてないわ」

「きっと、何かと見間違えたのですよ」


 そういうステラは、ちょっと寂し気な表情を浮かべていた。


 ◇◇◇


 夜になり、それぞれの部屋へと戻ったステラとブルーだったが、ブルーは幽霊の話を怖がって眠れないでいた。外の虫の音にびっくりしたり、ほうほうという鳥の鳴き声にまで怯えだした。


「なあ、ステラ」

「なあに、ブルー」

「幽霊が怖くて寝れないんだけど、どうしたらいいんだ?」

「うーん、そうですね」


 ステラは部屋の明かりを暗くすると、ブルーを優しく撫でた。ブルーはガタガタ震えている。


「私は、幽霊さんがいるのなら、会ってみたいです」

「ええ⁉ 正気か……?」

「はい。私は会えるのであれば、両親の幽霊さんと会ってみたいです」

「あ……」


 ステラはそういうと、カーテンを開けた。月明りが部屋に注ぎ、部屋は少し明るくなった。


「本当にいるのなら、私に会いに来て欲しいのです。でも、幽霊なんて本当はいないかもしれません」

「そうだよな。おいら、幽霊って怖がってばっかりだったけど、何かジジョ―があって幽霊になってるんだろうしな」

「そう思います。何か困っているのかもしれません」

「明日の放課後、旧校舎まで行ってみるか? お、おいらステラと一緒なら行ってもいいぜ……」

「ありがとう、ブルー。そうしましょうか」


 ステラはゆっくりとブルーを撫でた。ブルーはそのあたたかな撫で心地にうっとりして、震えも収まってきた。いつしか、ぐうぐうと寝息とたてたブルーを見て、ステラはホッと胸をなでおろした。


 月明りを見つめながら、ステラもまた瞳を閉じたのだった。


― 次回、旧校舎に向かうステラとブルー! どうなる⁉ つづく‼ ―

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