第24話 そして、テストはやってきた!
「太陽がまぶしいぜ……」
どんよりとした雲に覆われた空の下。ついにその日はやってきた。
そう、テストの日である。
ブルーの緊張した姿に微笑むのは、ブルーの召喚士ステラだ。ステラはふわふわなブロンドヘアーを束ねると、リボンを縛った。リボンはオーカーケリー村の友達、アーミアからのプレゼントだ。赤いリボンはステラの赤い瞳をあいまって、とても可愛らしく見える。
「ブルー、そろそろ朝食を食べましょうよ」
「丸暗記が飛んでいきそうだぜ……」
ブルーはもこもこのウロコの肌に、赤いマントを羽織った。ブルーの瞳と同じ赤いマントだ。ステラはブルーとおそろいになった気分でわくわくしていた。
◇◇◇
午前中のテストは、筆記である。午後のテストが実技、魔法のテストになっているのだ。ブルーは、試験専用に作られた召喚獣席に座ると、ぶつぶつと丸暗記した文章を唱えていた。
一方のステラは、友達のミミィやロジャーとテストの内容について話し込んでいる。不意にステラは席を立つと、ブルーの前にやってきた。
「ねえ、ブルー」
「どうしたんだい、ステラ」
「あのね。今日までのテスト勉強中、あまり一緒に勉強できなかったじゃないですか」
「うーん。ステラに迷惑ばっかりかけてた気がするぜ」
「そうじゃないの。計算問題を教えてるときにね、私楽しいと思っていたの」
「楽しい?」
「ブルーも楽しかったのではない?」
考えてもみなかった。使役関係について悩んだり、暗記できずにオロオロしたりしていたからだ。それでも、人や召喚獣からアドバイスを受けてきた。今のブルーにとって、テストはステラとの絆をはかるものではない。一緒に歩んでいくために必要なことであると学んだからだ。
「楽しかったかもしれないぜ」
「でしょう? 言うのが遅れちゃったけれど、テストも楽しんだらいいの。その方が、ブルーらしいですよ」
すると、隣で聞いていた召喚獣レミィ、ワッツも大きくうなづいた。
「そうね、ブルーは何でも楽しんでいた方がいいわ」
「ブルーさんなら大丈夫ですよ!」
「うんうん、二人の言う通りです。二人もあまり緊張せず、普段通りしていたらきっと上手くいきますよ」
ステラの微笑みに、ブルーは大いに安心した。どんよりとした曇り空の下でも、ステラの笑顔はまんべんに咲き誇る花のようだ。
「おいら、がんばるぜ! そして、全力で楽しむぜ!」
「はい!」
話し終えたところで、授業開始のチャイムが鳴った。慌てて席に戻るステラは、今も笑顔だ。
ブルーは暗記した内容を唱えるのではなく、レミィやワッツと勉強したこと、ステラに計算問題を習ったことを思い返していた。
◇◇◇
授業を終えるチャイムが鳴った。午前中のテストは、全て終わったのである。
「ぷっはー! 終わったぜえ」
「お疲れさま、ブルー。どうでした?」
「楽しかったぜ! ワッツが魔法でチョークを落としたときは、さすがに焦ったけどな!」
召喚獣たちは、浮遊魔法でチョークを動かし、机の上の小さな黒板に文字を書いていくのだ。そんな中、ワッツはチョークを落としてしまったのだ。汗だくになったワッツだったが、すぐに拾い上げると大きくうなづいた。そして、楽しそうに計算問題を解きなおしていったのだ。その様子を雰囲気で感じ取っていたブルーは、ステラの笑顔を思い出していた。
「どんな時でも、笑顔でいられたらいいよな」
「そうですね。ブルーが悲しくなっても、私は笑顔で。私がつらくなったら、……ブルーが笑っていてね」
「一緒になって悲しくなったり、辛くなったりしてもいいよな?」
「もちろんです」
お昼のサンドイッチを思い浮かべながら、ブルーは楽しそうに飛んだ。ステラはブルーのその様子に、嬉しそうに微笑み返していた。
◇◇◇
午後になり、屋外での魔法のテストが迫ってきた。魔法使いコースを選んだステラとミミィは、騎士コースのテストに行くロジャーとワッツを見送った。
テストの内容は、召喚士の命令通りに召喚獣たちが魔法をあやつり、召喚士の
「剣なんてカッコイイよなー!」
「まあね。レミィが魔法に強いから、私が
「とはいえ、皆の前で披露するなんて、ちょっと恥ずかしいぜ」
チャイムが鳴った。
勝負の時間が始まったのだ。次々と、マーサ先生に呼ばれた召喚士と召喚獣が、課題をクリアしていく。
「次、ミミィ・ローレンス」
「はい!」
「召喚獣のレミィは凍らせる魔法が得意ですから、この小さな的だけを凍らせてください。援護の召喚士ミミィ・ローレンスは、その的を制限時間以内に剣で貫いて見せてください」
的は高台に設置されている。ミミィは大きく深呼吸すると、レミィに振り返った。
「はい! 行くわよ、レミィ!」
召喚士ミミィの合図で、レミィが一瞬で的を凍らせた。そして氷で階段を作り上げると、ミミィは足取り軽やかに階段を駆け上がった。氷で出来ているとはいえ、滑らないように細工がされた魔法の階段だ。これほどまで高く一瞬で作る階段のすばらしさに、マーサ先生だけではなく、観客の生徒も大いに盛り上がった。
パリンという大きな音と共に、的はついに剣で貫かれたのだ。あまりの速さに、ステラだけではなくブルーまでもが口を大きく開いたまま驚いていた。
「はぁはぁ、どうですか。先生……」
「エックセレント! 素晴らしいです、ミミィ・ローレンス。そしてレミィも素晴らしい。二人に大きな拍手を!」
大きな拍手が巻き起こった。その時、ブルーは姿勢を正したステラを、肩の上から見上げていた。ステラは緊張しているのだ。
「ステラ」
「はははい、なんですか。ブルー」
「プニカッ!」
ブルーが笑顔で飛び立った。マントを大きくひるがえすと、昼食で大きくなったお腹を見せつけた。
「ぷにかですね!」
ステラも深呼吸をすると、大きくうなづいた。
「次、ステラ・シュテルン!」
「はい! いきますよ、ブルー!」
「おうともよ!」
ステラとブルーの番がやってきた。ブルーはマントを脱ぎ去ると、ステラ並みの大きさに巨大化した。
二人の絆が試される、ついにその時がやってきたッ――‼
― どんな課題になるのでしょうか⁉ つづく! ―
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