13ハグ♡(*>ω<)ω<*)♡ もちろん恥ずかしいに決まってる!

「マリアさんおはよう!」

「少しは慣れたかい?」

「今日もラシュカちゃんとがんばんなよ」


「お、おはようございます!」

「慣れましぇん!」

「は、ははは、はい!」


開業時間になって冒険者ギルドの厳重な重い扉を開くわたしに声をかけてくれる冒険者のみんな。

ぎこちない返事しか返せない。

たった一日で覚えられちゃったみたい。

そんなに大したことしてないのになんで?


それはともかく!

光沢のある大理石が見事に輝いてるでしょ!

ピカピカになった素敵な床に感動しなさい!


足元に目もくれずにズカズカと入ってく冒険者たち。


「あり? なんにも反応なしなの?

さみしー」


くすんと涙が出ちゃう。


「お母しゃんどんまいなのよ」

「ラシュカちゃんなでなでしてー」

「いい子いい子なのよ」


屈んだわたしの頭をなでるラシュカちゃんがきゃわいいからハグ。


「ククリちゃん、今日のクエストどんな感じ?」

「昨日から53件ほど新規が増えてますね」


「レスカちゃん、今日の夜一緒にディナーでもどう?」

「いいですよ♪ 超高級五つ星レストランなら♪」


「ルーシャさん、やめちゃうって本当ですか?」

「あー! まだ分かんないけどね! 予定は未定!」


「カスミちゃん、もう少し大きな声で話してくれないと。

だけど控えな方が耳を近づけられてうれしい!」

「ご……ん………い。

え……ち」


掲示板に新規のクエストを貼る受付嬢たち。

群がる冒険者のみんな。

これが当たり前の始業の光景なんだろうけど。


「ちょっと〜!

せっかく磨いた床が泥だらけだよー!

なんでみんなそんなに汚いのよ!

剣だけじゃなくて靴の裏も磨きなさいよね!」


ピカピカにした床にもう足跡がいっぱいできてるし!


「あー。しょうがなくないか?」

「そういやピカピカだったな」

「綺麗だと心が洗われるってもんだ」

「マリアさん、こっちは綺麗だよ」


「せめてきれいなところは残しておいてー。

死守するから死守!」


冒険者たちの声に慌てて残ってるピカピカの床を守るために猛ダッシュ。


「うきゃ!?」


「お母しゃん!?」

「マリアさん!?」


目的地で急に止まろうとしたらすべって転んでつるーっと滑ってく。

いやあ。気持ちいいくらいにきれいにした証拠だね!


うつ伏せのまま滑りに滑って壁に寄せておいた片づけ忘れの水桶に頭がぶつかって止まった。

ちゃぷんと水が冷たい。


「ふぇ〜ん。

痛いよー」


エルフっぽく変化してあるプリティ悪魔耳がしゅんとなってプリティ悪魔しっぽが床にぺたんと萎える。


「しっぽだ!」

「マリアさんにしっぽがある!」

「あれって悪魔のじゃない?」

「エルフなのに!」

「きゃあ♡」


え? あ! 丸出し!


「え、えっち〜〜〜!」


きゃあ♡じゃない!

あわてて目を逸らす男ども。

大急ぎでスカートで隠す。

もちろん恥ずかしいに決まってる!

悪魔の魅惑のボディで誘惑するのもお仕事のテクニックの一つだったりするけど恥ずかしいものは恥ずかしいの!

しっぽを見られたことよりもおパンツを見られたことの方が大ショックだった。

顔が真っ赤っかで大噴火だよ!

だってわたし生まれてからまだ一歳だもん!

男の人と手をつないだこともないもん!


「み……見られちゃったよー。

くすん」

「お母しゃん、これでかくしゅの。

よしよしなのよ」


まだ見えてた!?

床に丸まってめそめそしてたら水桶と一緒に片づけ忘れてた雑巾をおしりにかけてくれた。

いいんだけど雑巾て。

濡れてるし。

悲しいわたしの頭をラシュカちゃんがなでなでしてくれる。


「ラシュカちゃ〜ん!」


優しいエルフ幼女をハグして涙をぽろぽろ流す。

ラシュカちゃんのミルクのような香りが落ち着くよー。


「ラシュカちゃん、どうしよう?」


そう。プリティ悪魔しっぽを見られてしまった。

わたしが悪魔だってことがバレちゃった。

悪魔は全種族、冒険者の敵。

ここは冒険者ギルドでいろんな職業の冒険者に囲まれてる。

絶対逃げられない。


「わたし……一年しか生きられないのね」

「お母しゃんはラシュカが守るんでしゅよ。

お母しゃんにはラシュカがついてましゅ!」


ラシュカちゃんのほっぺがわたしの濡れたほっぺにすりついてくる。

そんなわたしたちを食い入るように見つめる冒険者たち。


「悪魔……」


新人女の子を食べちゃうって噂のイケメン剣士がわたしの本当の姿をつぶやいてる。

みんなの視線が怖い。

わたしの瞳はいま、恐怖に怯えているはず。


杖をかまえなおす魔法使いの女の子がいる。

そうだよね。

悪魔には魔法だよね。


ドワーフの女僧侶が祈りのポーズをしてる。

これから悪魔祓いされちゃうんだ。


剣に手をかけるイケメン剣士が近づいてくる。

ああ、わたしいまから斬られるんだ。

痛いよね?

死んじゃうよね?


ぎゅっと目をつむったらがちゃりと音がした。

目を開くと床に剣が置かれてる。

イケメン剣士がひざまづいてわたしを見てる。

憐れむような優しいような?


「マリアさん……」



☆次回♡(*>ω<)ω<*)♡ 新生活のスタート?

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