第17話 誕生日おめでとう

 昨日は婚約者(予定)の誕生日だった。特に5歳の誕生日は名前を貰うと言う大切な日なので血縁者以外は婚約者位しか参加できない。

一応僕も参加できなくはないが、今参加すると婚約を確定したと言う事になるので今回の誕生日会の参加は見送った。

でも翌日会う約束をしていたので、近くに咲いていた花を少しだけ持って行った。


「こんにちは。レオニダスです」と言うと……

「昨日からアビシニアンという名前を貰いました。アビとでも呼んでください」

「アビシニアン……可愛い(猫みたいな)名前だね」

「先祖が生まれたと言われる地名の1部を貰っています。ありがとうございます」

「話し方上手になったね」

「昔の事は忘れてください!」


「楽しかった二人の思い出も忘れるの?」

「それは忘れてはいけません!」

「難しい事を言うね。全部君と僕の話だし忘れるのは嫌かな?」

「……忘れないで下さい」

「ありがとう」


「なあ、ここ他の人もいるんだよ……もう婚約でいいだろ。今からお祝いか?」

「まだ、アビの気持ちも決まってないと思うので、もう少し仲良くなってからでも……」

「私は……嫌ではないです。ほ、他の人と結婚する位ならレオがいい」


「決まりだな。姪をよろしく頼むよ。今日は……週末はお祝いだ。君の家族も呼ばないとな」

「今週末ですか……。分かりました伝えておきます」

「何だ嬉しくないのか?」

「嬉しくないと言うより、結婚ではなく婚約と言う大切な事をこんなに早く決めていい物かと思いまして……」


「悩み方が子供じゃないな。まあでもいい相手は早めに見付けないと取られるぞ」

「そうですね。ただ結婚ではないですが二人の人生の大切な決定の一つとはなるでしょうから、アビはこれでよかったのかと不安で」

「自分の事はいいのか?」

「アビはどう考えても内外共に美しく育ちそうですが、そんな相手が僕でいいのかと」

「私はお似合いだと思うぞ。それとな、知らん奴より君と結婚してくれた方が安心だ」

ソマリの顔も楽しそうだった。これだけ求められて悪い気はしない。


「ありがとうございます。週末の事を伝えておきますね」

「それはもうすでに使いを出したよ。一応家族だけとは言え貴族からの誘いだからな」

この日はソマリとアビで楽しく雑談してから帰った。


 家に戻ると直ぐに母に声を掛けられた

「お帰り。婚約決めたんだって?おめでとう」

「ありがとう。なんか気に入って貰えているみたいだからね。まだ婚約だし」

「とはいっても理由ない限り婚約は破棄出来ないわよ」

「破棄するつもりで婚約する人は居ない……居ないよね?」


結婚か……まだまだ先だよね。


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