第23話 魔王の使徒との戦い

「さあ、来い!」

ルシエルは剣を構え、使徒に向かって突進した。その目には迷いはない。彼の中で何かが変わり始めていた。


「愚か者め……!」

魔王の使徒も黒い剣を構え、ルシエルの攻撃を迎え撃つ。その剣からは闇の波動が放たれ、二人の力が激しくぶつかり合った。


「グラント、アリシア、援護を頼む!」

ルシエルの叫びに応えるように、グラントが斧を振りかざし、使徒の横から攻撃を仕掛ける。


「行くぞ!」

グラントの一撃は強烈だったが、使徒はそれを軽々と受け流した。次の瞬間、アリシアが魔法を放つ。


「光の槍よ、貫け!」

眩しい光の槍が使徒に向かって飛んでいく。しかし、使徒はそれすらも闇の力で消し去った。


「その程度か……やはり、お前たちでは俺には勝てない」

使徒は嘲笑を浮かべながら、一気に反撃に転じた。黒い剣が繰り出されるたびに、広間が激しい衝撃に包まれる。


「負けるもんか……!」

ルシエルは剣を振るい、使徒の攻撃を受け止める。しかし、剣を通じて伝わる呪いの力が彼の体力を徐々に蝕んでいく。


「ルシエル、大丈夫!?」

アリシアが叫ぶが、ルシエルはそれに答える余裕もなかった。


その時、エクリプスの剣が再び強烈な光を放った。ルシエルの体内に眠っていた力が、ついに覚醒したのだ。


「この剣が、俺を導いてくれる!」

彼は剣を振り下ろし、その一撃が使徒の防御を突き崩した。


「ぐっ……!」

使徒はその力に圧倒され、後退を余儀なくされた。


「今だ、ルシエル!」

グラントとアリシアが声を上げる。


ルシエルは力を振り絞り、もう一度剣を振り下ろした。その刃が魔王の使徒の胸を貫き、眩い光が広間全体を包み込む。


「これが……父の意志を受け継ぐ力だ」

ルシエルは剣を見つめながら呟いた。


使徒は最後の力を振り絞って呪いの言葉を残す。

「だが、これで終わりではない……真の敵は……さらに深い闇の中で待っている……」


その言葉とともに、使徒は光に消えていった。


ルシエルは剣を握りしめながら立ち尽くしていた。呪いの言葉が頭の中に残り、戦いの恐怖と責任が彼の心に重くのしかかる。


「ルシエル……大丈夫?」

アリシアがそっと彼の肩に手を置いた。


「俺は……絶対に負けない」

彼は覚悟を新たにし、深い息を吐いた。彼の旅は、ここからさらに過酷なものになるだろう。だが、エクリプスの剣が彼の心に新たな光を灯していた。

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