鋼鉄の戦火 〜第502特務戦車大隊第4中隊従軍記〜

夢追い人

登場人物・部隊紹介―――第502特務戦車大隊第4中隊・取材記録抜粋

※当面の主要登場人物の抜粋・部隊の簡単な紹介です。

※未読でも物語の進行に支障はありません。















―――とある広報官の取材メモより抜粋



・帝国陸軍第502特務戦車大隊第4中隊

 戦況悪化に伴い、帝国軍史上初の女性戦車兵を試験的に採用、もといその有用性を示すことを目的に設立された部隊。

 なお、他の特務戦車大隊にはこのような特性はない。

 複数ある特務戦車大隊の中でも、そして第502特務戦車大隊と言う括りにおいても、この第4中隊だけがこのような経緯で設立されている。

 男性隊員は、他の特務戦車大隊同様に各部隊から選抜。

 女性隊員は、国防女子予備隊員から適性検査や厳しい訓練を経て選抜。

 一般部隊には配備されない特別な高性能戦車であるティーガー。

 その運用を任されていた帝国陸軍最強の―――いや、装備や練度、あちこちの戦線での目覚ましい戦果の数々を思えば、恐らくは名実ともに世界最強の戦車部隊である特務戦車大隊の1部隊だけあって、基本的には凄腕揃いの精鋭。

 他の特務戦車大隊と同じく、困難な作戦や重要な局面に数多く投入されている。

 その一方、戦果報告や叙勲、隊員の進退、装備の更新なんかに政治が絡むこともある不条理な一面もある。

 だけど、少なくともボクが見る限り、隊員の結束はずっと固い。

 彼らと同じ時代に同じ場所をこうして生きているのは、間違いなくボクの誇り。



・ヴォルフ・クラナッハ

 彼は決して天才じゃなくて、失敗から成長する機甲士官だと思う。

 温厚で誠実、どこにでも居そうな、親切な若者って感じ。

 初対面の時は正直拍子抜けしちゃった。

 いや、第4中隊の人はみんなそんな感じか、個性的すぎてびっくりのどっちかな気もするけど……

 でも、誰よりも彼は"孤高の英雄"に対して向き合い続けている。

 だからこそ―――



・クラリッサ・ラインフェルト

 ボクがこの部隊の取材を担当することになった最大の理由である、"孤高の英雄"と評されていた帝国史上初の女性機甲士官。

 お人形さんみたいなすっごい美人で、長い銀髪が印象的。

 無表情気味で口数が少なくて静かな人なんだけど、いきなり自分の戦車単独で突出して暴れ回ったり、初対面の時は"よく分からない人"としか言いようがない人だった。

 「考え込んで自分で自分の人生を難しくするタイプ」、「正直、この人めっちゃめんどくさいと何度も思った」って感じのことをみんな言ってるけど、ぶっちゃけ「自分は違う」って思ってるらしい誰かさんとは、はっきり言って似た者同士。



・カミラ・レーヴェ

 ボクがこの部隊の取材を担当することになった理由である、女性戦車兵の車長。

 背が高くて美人だけど、ライオンみたいな印象の豪快な性格の人。

 いつも乗馬鞭を手にして、特に同じ戦車の乗員さんたちが女王陛下とか呼んでたから、部下の皆さん共々、そう言う趣味の人たちなのかと……いや、どうなんだろ?

 書いてて自信なくなってきた。

 ただ、ぶっきらぼうだけど、間違いなく仲間思いの熱い人。

 あと、フィジカルがゴリラとかグリズリーの類。



・フランツ・ヴァルター中隊長

 いろいろ大変な第4中隊をまとめ上げてるすごい人。

 中隊最年長かつ歴戦の戦車兵で、能力と人格の両方、そして副官のリヒャルト・トラレス中尉(ヴァルター中隊長とは同期、この人もすごい人!)たちとの連携で皆を率いてる。

 例えるなら、みんなのお父さんって感じかなぁ。




―――この広報官の日記帳における記載の抜粋


 ボクの周りには、たくさんの人がいる。

 第4中隊の人はもとより、一緒に戦う部隊の人。

 そしてそれは、戦車兵だけじゃない。

 歩兵、砲兵、工兵、対空部隊、整備部隊や補給部隊、なんなら空軍の人だって。

 階級も、一兵卒から部隊長までいろいろだ。

 同じ第4中隊ですら、最前線で戦う人と、それを支える側の人がいる。

 或いは、民間人。

 そして―――敵として戦う人たちも。


 第4中隊の人はともかく、ボクが顔も名前も知らない、知りようがない人が、この東部戦線にいっぱい居るはずだ。

 

 ボクはその全員のことを知らない。

 知ることなど、できるはずがない。

 それでもボクは、少なくともボクが知る限りの人々について、記事にして残したいと、改めて今日、確かに思った。


 彼らが生きた証を。

 数字で、或いは国や組織の印象でしか語られない人々のことを。

 たとえ検閲で阻まれ、戦時中には世に出ることがなくとも、ボクはボクの信念に従おう。

 まあ、処刑とか投獄とかはされたくないから、うまくやらないとだけど。

 やり方は、まあ追々考えようかな。











―――2人の人物の筆跡が残され、書き損じにより最後まで読めない別の取材メモ。


・フォルカー・ロンベルク

 バカ。すぐ調子乗る。デリカシーない。

 隙あらばすぐボクのことからかってくる、いい年した無駄に背が高いクソガキ戦車長。

 なんでこんなのが、乗れるだけでも栄えある最高の戦車ティーガーの車長席に座れてるんだか、ボクにはさっぱり分からない。

「俺は軽い女に興味はない」とか言ってカッコつけてるけど、女性と見ればすぐ話し掛けようとする奴。

 毎回袖にされても全然懲りない変態。


・ヨゼフィーネ・ルーベンス伍長

 第621広報隊所属、第502特務戦車大隊第4中隊専属広報官。

 上記のバカとは違い、天使のような慈愛、賢者の如き知性、一流執事の如き気遣いを兼ね備えた素晴らしき女性広報官。

 赤髪セミロングのポニーテールがチャームポイントの美少女ジャーナリストなフロイライン。

 このメモを観た人へ。

 上記は嘘です。騙されてはいけません。

 こいつは割とアホで、後先考えないお調子者で、事あるごとに道に迷う方向音痴女です。

 そして、フォルカー・ロンベルクは第4中隊屈指の性格良し、すらっと背が高く、器も大きな金髪イケメ―――








「おいおいなんだよこれは……」


「どうした?」


「見ろよこれ!! 酷い名誉毀損だぜ!!」


「そうか? 割と当たってると思うぞ」


「どこがだよ!? そのくせ、自分はこれ見よがしに美化しやがって―――こんなものは、こうして、こうして……」


「ああっ!? ボクの大事な資料に何してくれてるのさ!?」


「うるせえ!! 邪悪な偏向報道を俺が正してやる!!」


「はあ!? 清く正しいジャーナリストなボクの何処が……ちょっとなにこれ!? 酷い名誉毀損と事実歪曲だよ!? と言うかボクの万年筆とメモ返してよ!! 大事なものなんだから!!」


「やかましいわポンコツ記者!!」


「なにをッ、このヘタレ戦車長!!」


「やれやれ……今日も騒がしいな」


「仲良しなのは良いことでは?」


「「誰がこんな奴と!!」」

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