第2話 幼馴染の母親とデートする
「だって、甘奈と仲直りしたいのよね?」
「まぁ……そうですけど」
「だったら、女心を知るのが一番だわ」
「どうやって?」
「だから、私とデートするの!」
「は、はぁ」
「こういうのは実践あるのみよ。そうしたら、翔太くんだって女の子の気持ちわかるようになるわよ」
「そう言うもんなんすかねぇ。まぁでも甘奈にも言われたしな、女心わかってないって。
なんか悔しくなってきました」
「そうこなくっちゃ! 私が翔太くんを立派な男の子にしてあげるわっ」
♢♢♢
それから数日後。
「とりあえず、駅前で待っててって言われたけど
……」
それにしても、お洒落なとこだな。有り合わせの私服を着て、一人佇む俺は
人の多さにまず、ビビっていた。
つか気付いたら集合時間、過ぎてるし。
すると、不意にトントンと肩を叩かれた。
「ごめんね、翔太くん。待った?」
「もー、待ちましたよ──ってえぇ!?」
「準備に手間取っちゃって……どう? なにかおかしい?」
(……おかしいというか、美人すぎる。
本当にシングルマザーか!? 私服と相待って、どう見たって大学生くらいにしか見えないんだが……)
「それじゃあ早速、女心について教えていくわね。まずはレッスン1よ」
「ちなみにそのレッスンは何個まであるんですか
?」
「ん〜200個くらい?」
「多いなっ!」
「ふふっ!安心して今日は、初歩的な
女心を理解できないダメダメな翔太くんでも
大丈夫だから」
「やっぱり、甘奈の母親だな!口が悪い!」
俺の小言を聞こうとはせず、真由さんは続けた。
「いい?まずは、男の子が車道側を歩くこと。
さりげなく女の子を守ってあげるだけで
ドキッとするもんなんだから」
「なるほど」
途端、スピードを出した車が、真由さんの側を、猛スピードで駆け抜けて行く。
「きゃっ!」
「大丈夫ですか、真由さん。ったく、危ないなぁ」
俺は真由さんを抱きしめる形で、
車に小言を吐く。
「は、はぅ!あ、ありがと。この子、自然に私を守って……な、なんて将来が恐ろしい子」
「なんか言いました?」
「い、いえ。つ、つぎ行こっかー」
♢♢♢
──映画館か、久しぶりだな。映画を家以外で
見るなんて、いつぶりだろう。
「じゃあレッスン2に入るわよ。今日はホラー映画を観ます。女の子が怖がっている姿を見たら優しく手を握ってあげるの」
「え、それって、ただしイケメンに限るってやつじゃ」
「ふふ、否定はしないわ」
うわー。意味ねー。
滅べ、イケメン。
──映画が始まって30分が経っただろうか。
「はぅん!」
「ひっ!」
「きゃっ!」
……いや、めちゃくちゃ驚いとる。
大丈夫か、この人。
とりあえず手を握れば良いのか?
俺は真由さんの手を取り、声をかける。
「大丈夫ですか? 無理しないでくださいね」
「ひゃうんっ!や、優しいね翔太くん……」
「僕はそんなに怖くないので」
「うぅ……私としたことが年甲斐もなく、変な声出ちゃった。それに、こんなにキュンとするものなのね」
「?」
映画が終わり、外へ出た。辺りには、沢山の屋台がある。どれも美味しそうだ。
早速、クレープを二つ頼むと、
街を眺めながら俺たちは、食べ歩きを始めた。
「クレープ美味そー。いただきます」
「ふふふ、翔太くんは、お子ちゃまね。じゃあレッスン3。こういうときに自然と交換しちゃうと女の子は──」
真由さんのクレープ美味しそうだな。
「そっちのも美味しそうですね。いただきます
」
「はぅ!? そこ、私の食べかけ……」
パクッ。
真由さんのクレープを一口食べた。
「む、む、無意識にーーー!?」
「すいませんつい美味しそうで。で、自然と交換しちゃうとどうなるんですか?」
「お、女の子がドキッとします!!」
「でも、これもイケメンに限りそうだなぁ」
「うぅん。違うと思うけど……翔太くんはズルイよ!」
「あぁ、すいませんっ。勝手に食べちゃって。
俺のクレープ、どうぞ」
「そういうことじゃないのーーーー!」
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